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はぁぁぁぁぁぁ?
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週末になりました。
そして、
僕は、今………………………………
凄~~~く困惑している。
怜 「黒木、何処か行きたいところ、見つかった?」
黒木 「………とりあえず……。」
亜木人「どーせ、見つけられなかったんだろ?テキトーに、ブラブラすれば何か見つかんじゃね?」
黒木 「………ですね……。」
聞いてない。
亜木人くんが一緒の事も。
何よりも………………………
君たち二人が仲良い事も―!!
……お父さん。
……………今すぐ帰りたいです。
★☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★
あちこち歩き回る僕ら。
週末は、人が凄い。
あんまり賑やかなのは、僕は、嫌なんだよね。
二人を見て、気付いた事。
身長差があまりない。
凄く今どきな服装。
格好いい髪型。
大人っぽい顔つき。
僕は、周りからみたら「浮いてる」……よね?
きっと、釣り合う事が出来ない。
「友達」って、こんなに差があるものなんだ。
勉強は、遅れてない。
人間的に、遅れてる。
僕は、二人の並ぶ少し後ろを歩いた。
二人が並んで歩く姿が、
何故か、
凄く、
合っているように感じたから…。
怜 「……黒木?どうしたの?」
黒木 「…何でもないよ…。…大丈夫…だから……先に…進んで……ふ、二人で…」
怜 「……あのさぁ。…勘違い…」
亜木人「ほぉら、黒木。お前、真ん中歩けよ。小さいから、見失う。」
亜木人くんに、手を引っ張られて、二人の間を歩く僕は………………………
違和感しかない……。
怜くんが何かを言いかけてたけど…………
自分の事ばかり考えてた僕は、深く感じていなかった。
怜 「そろそろ、ご飯食べよう。」
亜木人「だな。」
黒木 「了解シマシタ。今検索シテミマス。」
怜 亜木人「何でロボ?」
近くのファミレスで、食事。
高校生になっても、食べれない僕。
だから、身長も体重も伸びないし増えないだな。
怜 「そういえば、黒木の私服初めて見た。」
嬉しそうに言ってるけど、僕も怜くんの私服姿は、初めて見たよー。
亜木人「黒木らしい服装だよな。まんま、って感じ。」
亜木人くん……。
イヤミですか?
君たちのように、私服とかで外見変わる容量なんて、僕には、ありません。
黒木 「…二人は、脚も長いし、顔も大人っぽいから、何でも似合うよ……。」
褒めてあげる優しい僕。
友達には、優しくしてあげないとね。
ただでさえ僕は、友達少ないから………。
怜 「…いや、黒木は、黒木なりに似合うよ。……か、可愛い……。」
…………………ねぇ?
…………………それは、
………………褒めてるつもり?
………………イヤミ?
………………嬉しくない。
……………優しくもない。
亜木人「黒木はさぁー。身長気にして脚の長さ気にするなら、いっそのこと女装すれば?」
亜木人くん………
それは、間違いなくイヤミだよ。
誰が聞いても嫌がらせ。
何で亜木人くん僕と友達なの?
何でクラスで人気の二人が僕みたいなロボと友達ナンデスカ?
データ初期化シタイデス。
全テ削除シタイデス。
黒木 「……ソロソロ帰リマス……。バッテリー切レマス……。」
怜 亜木人「だから何でロボ?」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
玄関を開けると、
黒漆「深井ー!待ってた………よ……………ぅ……」
黒木「オ邪魔シマス。」
黒漆「……空……デート…は……?」
黒木「只今、データヲ確認シテオリマス。ピー。初期化ニ入リマス。」
黒漆「空が、空が、バグったー!!!」
そして、部屋に閉じこもりました。
もう、僕は、僕じゃなくなってきてる………。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
深井先生が、お父さんと会う約束をしていたのだけど、
深井「は?若い二人が喧嘩してるのを見つけて、補導した?」
渋谷「あぁー。悪ぃけど、署まで、来てくねぇ?最近のガキは、何を聴いてもダメだ!!怪我してるから、念のためにさ。」
深井「あー。解ったよ。」
電話を切る刑事課の渋谷(しぶたに)さん。
で、誰が補導されたのかと言うと…………。
渋谷「……で、何であのファミレスで殴り合いになったんだよ?」
怜 亜木人「好きな奴に逃げられた腹いせ。」
渋谷「あ―そ―。そんなに良い女だったんだ―。はーい。若いって良いねー。オジサンには、昔の話だー。」
渋谷さんにとって、この事件は、全く何処にでもある事なので、全くつまらなそうにしてる。
平和な事だよ。
深井「お疲れ様です。」
渋谷「お!ようやく来たか!おい!ガキ共、怪我してる所、治療してもらえ!」
深井「……の、前に……。」
渋谷「あ?」
深井先生の目付きが変わる。
そして、
深井「渋谷刑事ー、タバコは、次の検査結果出るまで、禁煙してくださいって………あれだけキツく、言いましたよね…?」
渋谷「……い、いや、あのー、こ、これは…」
深井「医者の言うこと聞けないあんたに、ガキ共を更正させるんて………矛盾してるだろーがー!!」
深井先生の制裁を受ける渋谷さん。
それを見ていた怜くんと亜木人くん。
二人に、恐怖心が根づきました。
渋谷「いてぇ……。あー。所で、おめぇら、何処の学校?」
怜 「……学校に、言うんですか?」
渋谷「…場合によっては……な。大体、どんな女なんだよ?おめぇら、みたいに今時な感じなのか?それとも、年下か?それとも、年上の大学生とかか?」
亜木人「……同じ学校の奴だよ。見た目とか全然今ドキじゃねぇよ。」
渋谷「随分と、差がある女が好きなんだなぁ。まぁいいや。学生手帳見せろ。」
投げるように二人は、渋谷さんに渡す。
そして、ある事実を知る。
渋谷「ほー。この辺じゃ有名な男子校だなー。頭良いんだなー。……て………ん?」
深井「………………。」
渋谷「…あのー。…オジサン聞き間違えちまったかなー?……喧嘩の原因の子ってー……確か…」
怜 「同じ高校です。」
渋谷「……うん。…じ、じゃあ……女……じゃなく…」
亜木人「男だよ。」
目が点になる渋谷さん。
くわえようとしていた電子タバコを落とし、口を大きく開けて、微動だにしない。
深井「…渋谷さん。今時の思春期に、良くある傾向ですよ。」
渋谷「良くねぇーよ!こんな事があって日本の未来はどうなんだよ!だから少子化問題が加速すんだよ!」
亜木人「安心しろよ。未来なら、男でも子ども作れっから。」
渋谷「何を断言してんだよ!予言者か!」
そんなこんなで、学校には、連絡しない事で、一段落した。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
昨日は、逃げるように帰ってしまった…………。
学校で二人に会うの気まずい………。
黒漆「空~。朝だよ!早く起きないと、遅刻するよー!」
黒木「……気持ち悪い……。」
黒漆「…空…………もしかしてー………つわり…」
僕は、お父さんが大好きだよ。
でもね、低血圧の僕にそんな事を言う……。
今日は、使い物にならない目覚まし時計をお父さんの顔面に投げつけました。
気を取り直して。
黒漆「あははは!まさかまさかの三角関係かなぁ?♪」
黒木「……だから……違う……!」
黒漆「まぁ、空が〈友達〉って思うことにするなら、何も言えないけどさぁ~。なんか、〈愛されてる〉よね?♪」
黒木「……あい~~??」
黒漆「……ねぇ………ホントに、僕の子どもなの……?」
黒木「……お父さんと不倫相手と駆け落ちしたお母さんの子どもだよ……。」
黒漆「………ぅ……うぅ…グス………。」
黒木「……………行ってきます。」
僕は、逃げるように学校へ向かった。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
もうすぐ夏だね―。
そして、梅雨時期は、じめっとしてる………。
今日から、制服も夏用になって、肌の露出が増えるのが僕は、嫌です。
何故かって?
肌が白すぎるし、細い腕が見えて、男っぽくなくなるから。
亜木人「おはよー。」
黒木 「……おはよう…。」
亜木人くん………。
良かった。いつも通りだ。
黒木 「…そういえば、勉強教える話だけど…」
亜木人「あぁ。もういいや。」
…………え?
…………………やっぱり、怒ってるのかな……?
……謝った方が………………。
……………………………良いよね?
黒木 「…あの……ごめ…」
生徒 「オーイ!亜木人ー!この雑誌見てみろよ!」
亜木人「今、行くー。」
クラスの友達が亜木人くんを呼んでしまって、僕の小さい声は、掻き消される。
身体だけじゃなく、声まで小さい。
心も小さい。
ちゃんと言いたいことも、聞きたいことも、何も………
………勉強しよう。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
そういえば、亜木人くんの顔、傷あった気がしたけど……。
聞きづらい………。
明日にでも聞けそうな時に、聞いてみよう。
さぁー。帰ろう………。
疲れた……………。
そして、教室を出た瞬間に、いつも通りに怜くんが廊下を猛ダッシュで僕を目掛けて突進。
こんなじめっとしてる時期に、相変わらず君は………。
黒木「……ぐ……るじぃ……。」
怜 「今日も、一緒に帰ろう!」
黒木「…ぷわっ…!!…はぁ………怜くんって……力あるね……。」
苦しかったー。
廊下をあれだけのスピードで走って、息切れしないのが、不思議だよ。
怜 「ごめん!痛かった?俺、最近筋力ついてさぁ。」
黒木「………なんで?」
怜 「…あれ?…俺、黒木に言ってなかったっけ?部活で、選抜入りしたから…」
黒木「………?……選抜?」
怜 「……うん。……陸上部の。」
あー。
だからー。
足がー。
早いのとー。
力がー。
あるのねー。
はよー気付かんかい!僕!!
なんか、今更な感じが……。
歩く歩幅も違う。
僕と歩いてて怜くんは、違和感ないのかなぁ?
怜 「…昨日は、ごめん。」
黒木「……え?」
怜 「…なんか、黒木に気使わせたかも……。……あと……。」
気使わせたのは、きっと僕の方なのに………。
怜くんって…………。
優しい。
怜 「……それと…か、可愛いって言ってしまって……イヤ…だったよね……。」
黒木「……………うん。……僕は、男だし………。」
怜 「……ごめん。でも、本当にそう思った…んだ…!…決して…黒木にイヤミ言いたくて、言ったわけじゃないから!」
…………こういう時って〈ありがとう〉かな……?
イヤミとかじゃなくて、本当にそう思ったって………。
なんて返事すれば良いのかな?
とりあえず………
黒木「…イヤミじゃない事は、解っ………。」
怜くんの横顔を見たら……
あの時〈好きだよ〉と言ってた時と同じく
赤くなっていた。
なんか………
また…………………
僕まで……………
恥ずかしい……
黒木「…じ、じゃあ……さようなら……。」
怜 「………うん。また明日、学校でな!」
今日は………
この前みたいな事がなかった…。
良かった………。
そう。
怜くんは、〈友達〉だよ。
大切な。
凄く大切な。
僕の少ない〈友達〉の一人。
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これから話す事は、僕が後に知る事実です。
怜くんから行こう―!
怜くんには、お兄さんがいます。
大学生のお兄さんが。
蓮〈れん〉さん。
怜「ただいまー。」
蓮「お帰り。さっさと風呂入れ。あと洗濯機掛けとけよ。」
怜「あー。分かってる―。」
蓮さんは、怜くんと違って、凄くクールな人みたい。
蓮「メシ。さっさと食え。」
怜「ん―。」
箸を持って、ご飯を摘まんだ瞬間、怜くんの頭に新聞紙を叩き付ける蓮さん。
蓮「何度言ったら分かんだ!このボケ!食う前に〈いただきます〉言えって、言ってんだろ!!」
怜「…いでぇ…。…たく。兄貴は、直ぐに手出すんだから…。」
蓮「手じゃねぇよ。紙だろ。」
怜「動かしてるのは、手だろ!!」
蓮「動かす動作を命令してるのは、脳だバカ!高校生にもなって何の勉強してんだよ。」
怜「理屈だろ!それ!頭叩きすぎるから、尚更覚え悪くなるんだよ!」
蓮「……じゃあ、股間…」
怜「思春期の大事な時期に、そんな所狙われる思い兄貴したことあんのかよ!!」
蓮「…………ある。」
怜「………え?……マジ?」
蓮「…なワケない。俺は、出来が良いからな。」
怜「バカにし過ぎだ!!クソ兄貴―!!」
兄弟喧嘩は、日常茶飯事らしい。
次、亜木人くん行くよー!
亜木人くんには、妹さんがいます。
まだ中学生。
鈴美(すずみ)ちゃん。
鈴美ちゃんは、今、海外にいます。
良く電話で話すようですが………。
鈴美 「だからねぇ、お兄ちゃんとー」
亜木人「無理。」
鈴美 「何で?!パパとママが~…」
亜木人「だから、ダメって言われたんだろ?それにお前まだ中学だし。俺も学校あるから、無理!」
鈴美 「……お兄ちゃん……鈴美の事、キライなの……?」
亜木人「だーかーらー。そう言ってねぇだろ。心配だから、言ってんの。」
鈴美 「…………うん。」
亜木人「…もう、遅いから寝ろよ。じゃあな。」
鈴美 「……お兄ちゃん大好きだよ。…鈴美の事、好き?」
亜木人「あー。好きだよ。はいはい。おやすみー。」
鈴美 「…………なんで、そんなに素っ気ないの……?」
亜木人「……素っ気なくない。普通だよ。もういいから。電話切るぞ…」
鈴美 「お兄ちゃん!!好きな人、出来たでしょーー!!!」
亜木人「……あー。うるせー。もう、切る。」
鈴美 「ちょっ!!お兄ち……」
――ブチッ……ツー…ツー――
妹に優しい。
…………と、思ったのは…………間違い?
と、二人には、兄、妹がいます。
僕は、一人っ子。
羨ましい。
……………と、思う……?
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
次の日。
いつも通りに、教室から出て、帰ろうとすると……相変わらず……来たよ。
凄い猛ダッシュで………。
怜 「黒木ー!!」
またかーい!!
………あれ?
抱きついて来ないで、目の前で急ブレーキした。
しかも、ジャージ?
怜 「ごめん。今日から、選抜の練習やることになって。……大会近いから、ちょっと遅くまで練習しなきゃないから。しばらく一緒に帰れない……。……ごめん。」
黒木「……いや、別に……大丈夫です……。あの……。」
陸上の選抜って、凄い事だから…………。
黒木「………えっと……怜くんなら………出来るよ……ぅん…。」
出来るって、何が出来るのか解らないまま言ってしまった僕。
とにかく、頑張れって言いたかったのに。
なんか、変になった。
怜 「……ありがとう黒木!俺、頑張るよ!じゃあな!」
…………………………凄い。
ちゃんと言いたかった事、理解してる…………。
怜くんって、頭良いかも。
あんな風に自然と笑顔でいれるのが、羨ましいなぁ。
僕は、苦手なんだよねぇ……
亜木人くんに、顔の傷聞くの忘れてた。
亜木人くん、学校終わると姿見えないから、直ぐ家に帰ってるのかなぁ?
まぁ、いいか。
そうだ。
今日の授業で解らない所あったから、先生に聞いてこよう。
★☆★☆★☆★☆☆★☆★★☆
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
職員室に向かう途中で会う、
先輩や後輩たちが何か共通の話をしていたみたい。
でも、全く興味が無かったし、僕と話してるワケじゃないから、聞いてなかった。
職員室に着いて。
黒木「…すみません。あの、今日の授業で、ここが、解らなくて……。もう一度、教えて貰えますか…?」
先生「ああ。良いぞー。黒木は、真面目だからな。勉強も良いけど、息抜きしながらやった方が良いぞ。例えば…〈彼女〉作るとか!」
黒木「………先生……早く、解らない所を…。」
先生「あー。はい。はい。」
教えて貰ってる間に、騒がしくなる職員室。
生徒「先生ー!女子来てるよー!」
生徒「メチャクチャ可愛い子!すげー髪の毛クルクルで、人形みたいなの!」
生徒「誰かの彼女か?って…うわ!!入ってきた!!」
男子校あるあるだよねー。
僕は、勉強優先だから、周りの声は、届いてません。
先生「君。勝手に入って来ちゃダメだよ!何処の学校?なんでここにいるの?」
その子が言うには、「お兄ちゃんに会いにきた」らしい。
そして、
黒木「…ありがとうございました。解りやすかったです。」
先生「黒木は、一度教えると、直ぐに覚えてくれるからな。教え方の問題でもないよ。」
黒木「…いえ。…じゃあ、帰ってまた解いてみます。…ありがとうございました。」
先生「おう!気を付けて帰れよ。」
振り向くと、凄くガン見してる女の子………。
僕は、ようやくその子に、気付いた。
そして、何故か……
突進してきて、抱きつかれました。
周りの生徒職員からみたら、「何でアイツ―?」って感じに、視線を感じたから、
黒木「…ごめん!…だ、誰…?」
鈴美「ねぇ!好き?」
黒木「…………意味が解りません………。」
突然言われる〈好き〉。これほど、恐ろしい経験は、僕は、未だかつて無かった……。
周りの視線の冷たさが見に染みます。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
話を聞くと
黒木「……あー。お兄さんがここの生徒なんだ……。」
鈴美「そうなのー。あのー。……く、黒木さん、お兄さんの所まで、連れて行って?」
ウルウルした瞳で言われる……。
ごめん……。
なんか、怖い………。
黒木「……お兄さんは、何年生なの…?」
鈴美「2年生だよー。」
…………あれ?
僕と同級生か。
こんな可愛い妹って………
誰の妹?
黒木「……僕も2年だから…一応、教室回ってみる?…お兄さんの名前は?」
鈴美「亜木人だよ!」
黒木「…………………………。」
ごめんなさい。
亜木人くんにこんな可愛い妹さんがいるなんて……。
知らなかった。
知らない方が良かった。
あー。だから、なんか恐怖心がわいたのかな?
じゃあ、さっきの〈好き?〉も、兄妹揃って僕に対するイヤミですか?
鈴美「黒木さん……ダメ?」
黒木「……同ジ教室ナノデ確認シニ行キマスカ?」
鈴美「うん!!でも、何でロボット?」
断って、後でグダグダ言われなくない………。
亜木人くんも友達だし、友達の妹さんにも、優しくしないと……。
黒木「…あの、君の名前は……?」
鈴美「やだぁー!黒木さん、有名なワンシーンみたいな事言わないでー!恥ずかしい~♪」
何を言ってるのか僕には、理解不能です。
僕の聞き方が間違いでしたか?
黒木「……名前ないと、何て呼んだら…。」
鈴美「ンもう!!台詞に出てるよー♪」
黒木「……はい。…宜しくね……鈴美ちゃん……。」
作者の策略にハマるのは、僕だけでは、なかったー。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
教室に向かう間、鈴美ちゃんは、僕の右腕にしがみついてた。
身長は、僕より少し低い。
ホントに少しだけ。
歩きづらい………!!!
黒木「…あ…あの~……離れて…」
鈴美「やぁ~だぁ~!!」
黒木「…………ふぇい……。」
イヤでは、無いんだけど、歩きづらいし、周りの視線が冷たすぎて凍死する……。
これ、次の日からイジメに遭う勢いです。
黒木「……亜木人くん、帰っちゃったのかなぁ。…学校終わると姿見えないんだよねぇ……。」
鈴美「家には、戻ってなかったよ。だから、まだ学校に居ると思って、来たの。」
黒木「………んー……。」
鈴美「…黒木さんは、お兄ちゃんの事、好き?」
えーっと……………。
黒木「……と、〈友達〉だから……ねー……。」
鈴美「……ふーん……。」
な、なんか素っ気ない…。
いや、間違ってないよね?
僕は、間違ってません!!
教室に着いて、僕の前の席が亜木人くんの席。
あまり居るとは、思ってなかった。
居ました。
イヤホン付けて何か聴いてます。
黒木「亜木人くーん。」
やっぱり教室の中まで入らないとダメなのか、僕のか細い声がダメなのか……?
鈴美「黒木さん、声小さいよー。こういう時は……。」
僕は、ビックリした。
普通さぁ、鞄の中にmyマイクなんて持ち歩いてる中学生居ますか?
ココハ、日本デスヨー。
そして、myマイクにスイッチを入れた。
鈴美「―キー…お兄ちゃん!黒木さんがお兄ちゃんの事、〈好き〉だってーー!!」
耳の鼓膜が今までで一番の震えを起こしたよ。
僕は、難聴になりそうだよ。
亜木人くんもビックリして、硬直してるよ。
亜木人「ナナナナナ何でお前コココここに居んだよ!」
ごめん。
亜木人くんのテンパりを初めて見た僕。
笑いを堪えるのと完全に引いたのと、どっちもどっちで、微妙な顔をしてるんだろうな。
鈴美「だってー、昨日お兄ちゃん肝心な所で電話切っちゃうんだもん!」
亜木人「はぁぁぁ?……何で黒木に案内されてんだよ?」
鈴美「…えー?…だって、お兄ちゃん…黒木さんの事、す…」
鈴美ちゃんの口を思い切り押さえつける亜木人くん。
……流石に窒息するよ……。
止めなきゃ!!!
黒木「…あ亜木人くん!お、落ち着いて。妹さん、死んじゃうから…」
亜木人「あぁ?…何で黒木が俺の妹って、解ってんだよ?」
怖いー!!
亜木人くんって、こんなに怖い人だったっけ?
確かに目付きは、あまり良くないけど、凄く格好いいオシャレな印象で、校内でも有名なイケメンなんて言われてる亜木人くん。
僕には、怖いイメージしか沸きません。
鈴美「お兄ちゃん!黒木さんが可愛いからって、イジメちゃ、めっ!!」
ごめんなさい。
何処に突っ込みいれたら、良いでしょうか?
可愛いは、君だよ。
今時、〈めっ!〉って言う中学生いるの?
怖いー!!
亜木人「あー。面倒臭ぇから、一から説明しろよ。黒木!」
黒木「……了解シマシタ。システムヲ起動シマス。」
亜木人 鈴美「だから何でロボット?」
説明後
亜木人「…へー。…で。何でこっちに帰って来てんの?」
鈴美「……だから…お兄ちゃんと一緒に居たい…」
亜木人「それ、昨日電話で、無理だって言っただろ?」
鈴美「……でも…私…」
亜木人「ダメなものは、ダメ!大体、今日こっちに来たのだって、母さんたち知らないんだろ?」
鈴美「……ぅ……ぅ……グス…」
亜木人「泣いてもダメ!」
鈴美「やだぁー!…グズ…お兄ちゃんとぉ~…グジ…一緒に……グズ……暮らしたい~…!!」
僕には、兄妹が居ない。
だから、鈴美ちゃんの気持ちが解らない。
でも………
〈家族〉なら、解る。
離れるのは、辛い。
僕だって…………。
お父さんと離れるのは、辛い。
黒木「………鈴美ちゃん……これ、使って。」
僕は、ハンカチを渡した。
きっと亜木人くんから見たら、〈おせっかいな奴〉って思ってるだろうなぁ。
でも、こんなにグシャグシャになるくらい泣くのって、亜木人くんの事〈好き〉だから。
鈴美ちゃんにとって、亜木人くんは、
〈大好きなお兄さん〉。
鈴美「……ありがとう…グズ…」
亜木人「……はぁー…。鈴美、向こうの学校は?」
鈴美「……今は…夏休み…。」
亜木人「……そっか。…母さんに連絡しておくからな。夏休み期間だけ、こっちで預かるって。」
鈴美「…お兄ちゃーん!!」
鈴美ちゃんが、亜木人くんに、抱きついた。
亜木人くんの顔が凄く、幸せそうだった。
やっぱり、良いお兄さんなんだね。
泣きつかれた鈴美ちゃんを背負って帰る亜木人くん。
その道の途中まで一緒に歩く僕。
亜木人「……悪いな…。」
黒木「……え…?…何が…?」
亜木人「……迷惑だっただろ?」
黒木「……いや、全然!」
亜木人「……ホント、お前ってさぁ……。」
その後の言葉に僕は、困惑した。
亜木人「…可愛い奴だな。」
……………………?
……………イヤミ?
でも……………
なんか…………
亜木人くんの顔が……………
赤い気がした………。
なんか………
僕まで………………
恥ずかしい…………。
何で?
…………沈黙の中、ようやく思い出した事を亜木人くんに聞いてみた。
黒木「…あのぉ……顔の傷……大丈夫……?」
亜木人「…ああ。……別に。大したこと無い。」
黒木「………そっか……。」
何で怪我したのかとか……
あの日の後、どうしたのかとか…
聞きたくても、怖くて聞けない。
亜木人「…あのさぁ黒木。…俺さぁ…やっぱ、お前の事、好きだわ。」
亜木人くんは、前を見ていた。全く僕と視線を合わせない状態で。
あっさりと〈好きだわ〉って。
これも、〈友達〉として。
……………………だよね?
他に見当たらない。
見当たるハズが無い。
だって。
僕は………………。
男です!!
お父さん。
僕は、あなたの子供ですか?
………だとしたら、要素丸々遺伝したかも?
ワカラナイ
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
怜くんの陸上部は、結構遅くまで練習します。
先輩「怜!お疲れ~!大分速くなってきたな。」
怜 「お疲れ様です。脚力は、もう少し付けないとダメっスけどね。」
先輩「顔に似合わず筋肉あるけどなぁ。身長もあるし、脚も長いし。お前、絶対モテるだろ?」
怜 「いやいや、モテないです。…特に……ホントに好きな奴には…。」
先輩は、ニヤニヤしてる。
先輩「ほー…!!やっぱモテんじゃん!ってか、本命には、意識してもらえないのは、キビシー!」
大声でゲラゲラ笑う先輩。
怜 「先輩!楽しんでますよね!?俺スゲー悩んでるんスよ!」
先輩「あーひー。ごめん。ごめーん!怜も思春期なんだなーって!でもさっ。お前なら大丈夫そうな気がすっけどなぁ。学年でも結構引っ張ってるみたいだし、後輩たちの面倒も良く見てくれるしさぁ。ああ、頭は、悪いな。お前は!」
最後の一言が余計だと思う怜くん。
でも先輩なので、あえて、
怜 「アリガトウゴザイマス。頑張リマス。」
先輩「何でロボ!?」
着替えようと怜くんが上着を脱いだ。
先輩は、上半身の傷に驚いた。
先輩「何だその傷!?うわ……痛そう……。」
怜 「ああー。大したことないですよ。全然平気です。」
先輩「どっかの学校の奴と喧嘩でもしたのかー?チンピラに絡まれたとか?」
怜 「…さぁ。…まぁ、そんな所ですかねー…。」
先輩「…ったく。大会近いし、ようやく選抜入りしたんだから、怪我には、気を付けろよ!特に…脚は!」
怜 「はい。」
笑顔が似合う怜くん。
いつも笑ってて、泣いてる顔なんか想像もつかない。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
流石は、梅雨時期。
朝から雲が厚い。
黒漆「空ー。朝だよー。早く起きないと、遅刻するよー!」
黒木「……ぅーん……。」
僕は、朝は、凄く苦手。
毎日お父さんは、テレビで天気予報をチェックしてる。
黒漆「空、今日一応傘持って行きなよ。降るのは、いつも自宅に戻って来てる時間帯だけど…。」
黒木「……ぅー……。」
眠いー。
朝ごはん食べてるのか、寝てるのか、判断出来てなかった。
黒漆「空!時間!早く支度して!!」
いつものように慌てて家を飛び出す僕。
傘を忘れてた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★
亜木人「おはよー。」
黒木「……おはよう……。」
亜木人「…相変わらずテンション低いな。」
黒木「…………ふぇい……。」
亜木人「…ここ。寝癖?直ってねぇぞー。」
黒木「…え?…どの辺…?」
亜木人「こーこ。」
手を伸ばして亜木人くんが、僕の髪の毛を触った。
黒木「……いや、これは、寝癖じゃなくて……癖毛……。」
亜木人「フっ。マジかよ!じゃあ、これは?」
ふざけ始めた亜木人くんと本気で嫌がる僕。
亜木人くんに、髪の毛グシャグシャにされて、尚更グロッキーになってきた僕。
けど、本当は………
凄く嬉しかったんだ……。
〈友達〉っぽく感じたから。
からかい合って、ふざけ合って、笑い合って、泣き合って、喧嘩し合って。
そんな〈友達〉が、凄く憧れだった僕。
勉強しか出来なくて、いつも一人で机に座ってた入学当時から比べると、二年生になって、亜木人くんが前の席になってから、〈友達〉と呼べる初めての人が、亜木人くんだった。
亜木人くんは、勉強も得意で、クラスでも凄く人気者。
先生にもズバッと言えるし、今の流行的な事は、いち早く解ってる。
僕は、そういう流行とか全く解らないし、ズバッとなんて言えない。
でも、勉強に関しては、凄く理解できる。
嫌なのに、嬉しいって……
なんか気持ち悪いかなぁ……。
亜木人「…なんか、お前…顔赤くない?」
黒木「…赤くない……!」
亜木人「ホント、可愛い!!」
やっぱり、イヤミだよね。
バカにされてるよね。
嬉しいなんて思わなきゃ良かった…。
そんな僕と亜木人くんを廊下で見ていた怜くんの事は、全く解らなかった。
生徒「怜ー。そろそろ教室戻ろう。担任来るし。」
怜 「………うん。」
生徒「お前ってスゲーな。黒木と友達なんて、俺無理だよ。」
怜 「話してみると結構面白いよ。」
生徒「無理無理ー。スゲー真面目そうだし、あんまり笑わないし。…でも……。」
怜 「………でも?」
生徒「一年の時よりは、マシになったかなぁー。」
怜 「…そう言えば、お前一年の時、同じクラスだったもんな…。」
生徒「…っかさぁー。何で怜、黒木と一年の時も、今も同じクラスじゃねぇのに、あんなに仲良くなってんの?全然面識無かったよなぁ?黒木自体、存在感薄いのにー。」
怜 「もうー。言い過ぎ。ホント黒木良い奴なんだぞ。良く見ると、可愛いしさぁ!」
怜くんの友達は、固まりました。
生徒「あんな奴を〈可愛い〉って……!!怜!お前、大丈夫か?…頭悪いの知ってるけど、マジでヤバイんじゃないのか?…び、病院行った方が…」
怜 「ひでぇ!!そこまでバカにすんな!!勉強出来なくても、友達の良い悪いは、判断出来るよ!」
そんなこんなで、チャイムが鳴り、今日も学校が始まります。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
今日も無事に学校終わったー。
亜木人「じゃあな。また明日。」
黒木 「…さようなら。」
亜木人くん、学校終わるとやっぱり直ぐ帰ってるのかなぁ?
昨日から妹の鈴美ちゃんと、暫く一緒だから、心配なのかな?
優しいね。
さて。僕も帰ろう。
その頃、
先輩「怜居るかー?」
陸上部の先輩が怜くんの教室に来た。
怜 「はい!」
先輩「今日、練習中止だって。雨が予定より早く降り始めたからな。」
怜 「解りました。念のため傘持ってきて良かったですよ。予報だと、夕方6時だったんで、迷ったんですけど。」
先輩「なんか、雨強くなるらしいから、走ったりして、滑って転倒して、脚怪我すんなよ。」
怜 「大丈夫ですよ。」
怜くんは、僕の教室へ向かった。
でも僕は、もう教室を出ていて、雨が降ってるのに気付いたのは、正面玄関出て直ぐだった。
黒木「………あ。……忘れてた…。」
僕は、慌てて学校に来たので、傘を持って来るのを忘れてました。
途方に暮れる僕。
いつ頃止むのかも解らないし…。
……どうしよう。
すると、何故か横から凄い見た事のある脚力者が………
怜 「黒木ー!」
そして、何時ものごとくプロレス並みの暑い抱擁(ほうよう)。
黒木「……ぐぅ…じ……ぬ……。」
怜 「…もしかして…待っててくれたの?」
バカが付くプラス思考だね!
黒木「……いや……傘を持って来てなくて……。」
怜 「…じゃあ、一緒に帰ろう!傘一つしかないけどさ。」
複雑です!
……でも……ずぶ濡れで帰るより……
黒木「……お願いします…。」
怜 「おう!お願いされました!」
意味不明!
もう早く帰ろう。
とにかく帰ろう。
雨の中、一つの傘に二人。
怜くんを見たら、左側が傘からはみ出てて、鞄もびしょ濡れ。
僕を濡らさないように傘を自分より僕に傾けていた。
黒木「…怜くん。…濡れてるよ。…もう少しそっちに…」
怜 「だいじょーぶ。黒木が濡れて風邪引いたら大変だから。」
怜くんの瞳って、凄く綺麗だなぁ。
笑うと尚更、格好いいね。
怜くんは、クラスのムードメーカー的な存在。いつも明るくて、ふざけて遊んでる。運動神経は、良くて時々他の部活からも、臨時で試合出て。とか言われてる。
先輩からも信頼されてるし、後輩からも、良い先輩だって思われてる。
そんな怜くんと〈友達〉。
僕には、荷が重い。
それでも、怜くんは、僕と友達でいてくれる。
でも、おかしいなぁ。
僕は、怜くんとの接点なにも無かったし、同じクラスになったこと無いし、存在感無い僕を…………
一体、何処で見つけたの?
黒木「…怜くん。…僕、大丈夫だから……。」
怜 「…黒木。……分かれ道…。」
いつの間にか、分かれ道。
ここからは、濡れて帰らなきゃいけない。
結局、濡れてしまうのに……
怜くんに甘えてしまった…。
ちゃんと、断れば、怜くんは、全く濡れずに帰れたのに……。
黒木「……ごめん……なさい。」
怜 「……何が…?」
黒木「………ぅー……と……」
ちゃんと言わなきゃ……
ちゃんと……ハッキリ……
怜 「…黒木。…傘、明日で良いから、使って。」
黒木「…いや…!…怜くんが…」
怜 「…大丈夫!じゃあ、明日学校でな!」
黒木「……ま、待って!僕は…!!」
どしゃ降りの雨の中。
怜くんは、猛ダッシュで行ってしまった。
呆然とする僕。
でも、僕は…………。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
雨の中、怜くんは、考えながら走ってた。
でも、雨は、急ぐ怜くんの足を滑らせてしまった。
怜 「うぉわ!!」
後ろに、しりもち付く感じに転んだ。
びっくりしたのと、僕に聞きたい事を言えなかった後悔で、直ぐ立ち上がれなかった。
怜 (何で……亜木人には、あんな馴れ馴れしいのに、俺には、よそよそしいんだ……。…アイツと俺は、何が違うんだよ……!……黒木!!)
遠くから、息を切らしながら、そこで座り込んでる君を………
僕は、今何をしてる?
雨の音が凄い。
僕の心臓の音と重なって。
黒木「…はぁ…れ…い……くん!」
振り向いた怜くんの顔は、凄く驚いてた。
だって、今僕は、怜くんを追いかけて必死に全力疾走で、来たから。
怜 「…く、くろ…」
黒木「意味ナーシ!!」
走ってきたせいで、傘借りた意味無し。
走ってきたせいで、水溜まり踏みまくって意味無し。
結局濡れてしまうから、意味無し。
ここに来たのだって…………
意味無し。
怜 「…な、なん……で……?」
黒木「…はぁ…ごめ…ん……はぁ……もう……じぶん…も……わか……ん……ない……!」
ねぇ。
何で僕なの?
ワカラナイ
ワカラナイヨ
怜くんが今どう思ってるかなんて、解らない。
〈バカな奴〉って、思ってるのか、イヤミじゃなく〈可愛い〉って思ってるのか……。
顔見れない。
怖い。
嫌われたくない。
どうして僕は、小さいんだろう?
どうして、怜くんと亜木人くんと同じじゃないんだろう。
何で二人は、僕に〈好き〉〈可愛い〉なの?
〈友達〉なの?
怜 「…………ごめん………。」
怜くんがそう呟いたから、顔を上げようとしたら………
怜くんが僕をいつものように抱きしめた。
でも、いつもとは、違う。
優しくて。
でも苦しくて。
怜 「…俺……やっぱ、黒木の事が〈好き〉……。」
雨の音がこの言葉だけは、掻き消してくれなかった。
ひんやりする身体。
怜くんの身体の温かさを感じて………………
〈好き〉の意味を誰か教えて下さい
###############
はぁぁぁぁぁぁ? 完
そして、
僕は、今………………………………
凄~~~く困惑している。
怜 「黒木、何処か行きたいところ、見つかった?」
黒木 「………とりあえず……。」
亜木人「どーせ、見つけられなかったんだろ?テキトーに、ブラブラすれば何か見つかんじゃね?」
黒木 「………ですね……。」
聞いてない。
亜木人くんが一緒の事も。
何よりも………………………
君たち二人が仲良い事も―!!
……お父さん。
……………今すぐ帰りたいです。
★☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★
あちこち歩き回る僕ら。
週末は、人が凄い。
あんまり賑やかなのは、僕は、嫌なんだよね。
二人を見て、気付いた事。
身長差があまりない。
凄く今どきな服装。
格好いい髪型。
大人っぽい顔つき。
僕は、周りからみたら「浮いてる」……よね?
きっと、釣り合う事が出来ない。
「友達」って、こんなに差があるものなんだ。
勉強は、遅れてない。
人間的に、遅れてる。
僕は、二人の並ぶ少し後ろを歩いた。
二人が並んで歩く姿が、
何故か、
凄く、
合っているように感じたから…。
怜 「……黒木?どうしたの?」
黒木 「…何でもないよ…。…大丈夫…だから……先に…進んで……ふ、二人で…」
怜 「……あのさぁ。…勘違い…」
亜木人「ほぉら、黒木。お前、真ん中歩けよ。小さいから、見失う。」
亜木人くんに、手を引っ張られて、二人の間を歩く僕は………………………
違和感しかない……。
怜くんが何かを言いかけてたけど…………
自分の事ばかり考えてた僕は、深く感じていなかった。
怜 「そろそろ、ご飯食べよう。」
亜木人「だな。」
黒木 「了解シマシタ。今検索シテミマス。」
怜 亜木人「何でロボ?」
近くのファミレスで、食事。
高校生になっても、食べれない僕。
だから、身長も体重も伸びないし増えないだな。
怜 「そういえば、黒木の私服初めて見た。」
嬉しそうに言ってるけど、僕も怜くんの私服姿は、初めて見たよー。
亜木人「黒木らしい服装だよな。まんま、って感じ。」
亜木人くん……。
イヤミですか?
君たちのように、私服とかで外見変わる容量なんて、僕には、ありません。
黒木 「…二人は、脚も長いし、顔も大人っぽいから、何でも似合うよ……。」
褒めてあげる優しい僕。
友達には、優しくしてあげないとね。
ただでさえ僕は、友達少ないから………。
怜 「…いや、黒木は、黒木なりに似合うよ。……か、可愛い……。」
…………………ねぇ?
…………………それは、
………………褒めてるつもり?
………………イヤミ?
………………嬉しくない。
……………優しくもない。
亜木人「黒木はさぁー。身長気にして脚の長さ気にするなら、いっそのこと女装すれば?」
亜木人くん………
それは、間違いなくイヤミだよ。
誰が聞いても嫌がらせ。
何で亜木人くん僕と友達なの?
何でクラスで人気の二人が僕みたいなロボと友達ナンデスカ?
データ初期化シタイデス。
全テ削除シタイデス。
黒木 「……ソロソロ帰リマス……。バッテリー切レマス……。」
怜 亜木人「だから何でロボ?」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
玄関を開けると、
黒漆「深井ー!待ってた………よ……………ぅ……」
黒木「オ邪魔シマス。」
黒漆「……空……デート…は……?」
黒木「只今、データヲ確認シテオリマス。ピー。初期化ニ入リマス。」
黒漆「空が、空が、バグったー!!!」
そして、部屋に閉じこもりました。
もう、僕は、僕じゃなくなってきてる………。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
深井先生が、お父さんと会う約束をしていたのだけど、
深井「は?若い二人が喧嘩してるのを見つけて、補導した?」
渋谷「あぁー。悪ぃけど、署まで、来てくねぇ?最近のガキは、何を聴いてもダメだ!!怪我してるから、念のためにさ。」
深井「あー。解ったよ。」
電話を切る刑事課の渋谷(しぶたに)さん。
で、誰が補導されたのかと言うと…………。
渋谷「……で、何であのファミレスで殴り合いになったんだよ?」
怜 亜木人「好きな奴に逃げられた腹いせ。」
渋谷「あ―そ―。そんなに良い女だったんだ―。はーい。若いって良いねー。オジサンには、昔の話だー。」
渋谷さんにとって、この事件は、全く何処にでもある事なので、全くつまらなそうにしてる。
平和な事だよ。
深井「お疲れ様です。」
渋谷「お!ようやく来たか!おい!ガキ共、怪我してる所、治療してもらえ!」
深井「……の、前に……。」
渋谷「あ?」
深井先生の目付きが変わる。
そして、
深井「渋谷刑事ー、タバコは、次の検査結果出るまで、禁煙してくださいって………あれだけキツく、言いましたよね…?」
渋谷「……い、いや、あのー、こ、これは…」
深井「医者の言うこと聞けないあんたに、ガキ共を更正させるんて………矛盾してるだろーがー!!」
深井先生の制裁を受ける渋谷さん。
それを見ていた怜くんと亜木人くん。
二人に、恐怖心が根づきました。
渋谷「いてぇ……。あー。所で、おめぇら、何処の学校?」
怜 「……学校に、言うんですか?」
渋谷「…場合によっては……な。大体、どんな女なんだよ?おめぇら、みたいに今時な感じなのか?それとも、年下か?それとも、年上の大学生とかか?」
亜木人「……同じ学校の奴だよ。見た目とか全然今ドキじゃねぇよ。」
渋谷「随分と、差がある女が好きなんだなぁ。まぁいいや。学生手帳見せろ。」
投げるように二人は、渋谷さんに渡す。
そして、ある事実を知る。
渋谷「ほー。この辺じゃ有名な男子校だなー。頭良いんだなー。……て………ん?」
深井「………………。」
渋谷「…あのー。…オジサン聞き間違えちまったかなー?……喧嘩の原因の子ってー……確か…」
怜 「同じ高校です。」
渋谷「……うん。…じ、じゃあ……女……じゃなく…」
亜木人「男だよ。」
目が点になる渋谷さん。
くわえようとしていた電子タバコを落とし、口を大きく開けて、微動だにしない。
深井「…渋谷さん。今時の思春期に、良くある傾向ですよ。」
渋谷「良くねぇーよ!こんな事があって日本の未来はどうなんだよ!だから少子化問題が加速すんだよ!」
亜木人「安心しろよ。未来なら、男でも子ども作れっから。」
渋谷「何を断言してんだよ!予言者か!」
そんなこんなで、学校には、連絡しない事で、一段落した。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
昨日は、逃げるように帰ってしまった…………。
学校で二人に会うの気まずい………。
黒漆「空~。朝だよ!早く起きないと、遅刻するよー!」
黒木「……気持ち悪い……。」
黒漆「…空…………もしかしてー………つわり…」
僕は、お父さんが大好きだよ。
でもね、低血圧の僕にそんな事を言う……。
今日は、使い物にならない目覚まし時計をお父さんの顔面に投げつけました。
気を取り直して。
黒漆「あははは!まさかまさかの三角関係かなぁ?♪」
黒木「……だから……違う……!」
黒漆「まぁ、空が〈友達〉って思うことにするなら、何も言えないけどさぁ~。なんか、〈愛されてる〉よね?♪」
黒木「……あい~~??」
黒漆「……ねぇ………ホントに、僕の子どもなの……?」
黒木「……お父さんと不倫相手と駆け落ちしたお母さんの子どもだよ……。」
黒漆「………ぅ……うぅ…グス………。」
黒木「……………行ってきます。」
僕は、逃げるように学校へ向かった。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
もうすぐ夏だね―。
そして、梅雨時期は、じめっとしてる………。
今日から、制服も夏用になって、肌の露出が増えるのが僕は、嫌です。
何故かって?
肌が白すぎるし、細い腕が見えて、男っぽくなくなるから。
亜木人「おはよー。」
黒木 「……おはよう…。」
亜木人くん………。
良かった。いつも通りだ。
黒木 「…そういえば、勉強教える話だけど…」
亜木人「あぁ。もういいや。」
…………え?
…………………やっぱり、怒ってるのかな……?
……謝った方が………………。
……………………………良いよね?
黒木 「…あの……ごめ…」
生徒 「オーイ!亜木人ー!この雑誌見てみろよ!」
亜木人「今、行くー。」
クラスの友達が亜木人くんを呼んでしまって、僕の小さい声は、掻き消される。
身体だけじゃなく、声まで小さい。
心も小さい。
ちゃんと言いたいことも、聞きたいことも、何も………
………勉強しよう。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
そういえば、亜木人くんの顔、傷あった気がしたけど……。
聞きづらい………。
明日にでも聞けそうな時に、聞いてみよう。
さぁー。帰ろう………。
疲れた……………。
そして、教室を出た瞬間に、いつも通りに怜くんが廊下を猛ダッシュで僕を目掛けて突進。
こんなじめっとしてる時期に、相変わらず君は………。
黒木「……ぐ……るじぃ……。」
怜 「今日も、一緒に帰ろう!」
黒木「…ぷわっ…!!…はぁ………怜くんって……力あるね……。」
苦しかったー。
廊下をあれだけのスピードで走って、息切れしないのが、不思議だよ。
怜 「ごめん!痛かった?俺、最近筋力ついてさぁ。」
黒木「………なんで?」
怜 「…あれ?…俺、黒木に言ってなかったっけ?部活で、選抜入りしたから…」
黒木「………?……選抜?」
怜 「……うん。……陸上部の。」
あー。
だからー。
足がー。
早いのとー。
力がー。
あるのねー。
はよー気付かんかい!僕!!
なんか、今更な感じが……。
歩く歩幅も違う。
僕と歩いてて怜くんは、違和感ないのかなぁ?
怜 「…昨日は、ごめん。」
黒木「……え?」
怜 「…なんか、黒木に気使わせたかも……。……あと……。」
気使わせたのは、きっと僕の方なのに………。
怜くんって…………。
優しい。
怜 「……それと…か、可愛いって言ってしまって……イヤ…だったよね……。」
黒木「……………うん。……僕は、男だし………。」
怜 「……ごめん。でも、本当にそう思った…んだ…!…決して…黒木にイヤミ言いたくて、言ったわけじゃないから!」
…………こういう時って〈ありがとう〉かな……?
イヤミとかじゃなくて、本当にそう思ったって………。
なんて返事すれば良いのかな?
とりあえず………
黒木「…イヤミじゃない事は、解っ………。」
怜くんの横顔を見たら……
あの時〈好きだよ〉と言ってた時と同じく
赤くなっていた。
なんか………
また…………………
僕まで……………
恥ずかしい……
黒木「…じ、じゃあ……さようなら……。」
怜 「………うん。また明日、学校でな!」
今日は………
この前みたいな事がなかった…。
良かった………。
そう。
怜くんは、〈友達〉だよ。
大切な。
凄く大切な。
僕の少ない〈友達〉の一人。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
これから話す事は、僕が後に知る事実です。
怜くんから行こう―!
怜くんには、お兄さんがいます。
大学生のお兄さんが。
蓮〈れん〉さん。
怜「ただいまー。」
蓮「お帰り。さっさと風呂入れ。あと洗濯機掛けとけよ。」
怜「あー。分かってる―。」
蓮さんは、怜くんと違って、凄くクールな人みたい。
蓮「メシ。さっさと食え。」
怜「ん―。」
箸を持って、ご飯を摘まんだ瞬間、怜くんの頭に新聞紙を叩き付ける蓮さん。
蓮「何度言ったら分かんだ!このボケ!食う前に〈いただきます〉言えって、言ってんだろ!!」
怜「…いでぇ…。…たく。兄貴は、直ぐに手出すんだから…。」
蓮「手じゃねぇよ。紙だろ。」
怜「動かしてるのは、手だろ!!」
蓮「動かす動作を命令してるのは、脳だバカ!高校生にもなって何の勉強してんだよ。」
怜「理屈だろ!それ!頭叩きすぎるから、尚更覚え悪くなるんだよ!」
蓮「……じゃあ、股間…」
怜「思春期の大事な時期に、そんな所狙われる思い兄貴したことあんのかよ!!」
蓮「…………ある。」
怜「………え?……マジ?」
蓮「…なワケない。俺は、出来が良いからな。」
怜「バカにし過ぎだ!!クソ兄貴―!!」
兄弟喧嘩は、日常茶飯事らしい。
次、亜木人くん行くよー!
亜木人くんには、妹さんがいます。
まだ中学生。
鈴美(すずみ)ちゃん。
鈴美ちゃんは、今、海外にいます。
良く電話で話すようですが………。
鈴美 「だからねぇ、お兄ちゃんとー」
亜木人「無理。」
鈴美 「何で?!パパとママが~…」
亜木人「だから、ダメって言われたんだろ?それにお前まだ中学だし。俺も学校あるから、無理!」
鈴美 「……お兄ちゃん……鈴美の事、キライなの……?」
亜木人「だーかーらー。そう言ってねぇだろ。心配だから、言ってんの。」
鈴美 「…………うん。」
亜木人「…もう、遅いから寝ろよ。じゃあな。」
鈴美 「……お兄ちゃん大好きだよ。…鈴美の事、好き?」
亜木人「あー。好きだよ。はいはい。おやすみー。」
鈴美 「…………なんで、そんなに素っ気ないの……?」
亜木人「……素っ気なくない。普通だよ。もういいから。電話切るぞ…」
鈴美 「お兄ちゃん!!好きな人、出来たでしょーー!!!」
亜木人「……あー。うるせー。もう、切る。」
鈴美 「ちょっ!!お兄ち……」
――ブチッ……ツー…ツー――
妹に優しい。
…………と、思ったのは…………間違い?
と、二人には、兄、妹がいます。
僕は、一人っ子。
羨ましい。
……………と、思う……?
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
次の日。
いつも通りに、教室から出て、帰ろうとすると……相変わらず……来たよ。
凄い猛ダッシュで………。
怜 「黒木ー!!」
またかーい!!
………あれ?
抱きついて来ないで、目の前で急ブレーキした。
しかも、ジャージ?
怜 「ごめん。今日から、選抜の練習やることになって。……大会近いから、ちょっと遅くまで練習しなきゃないから。しばらく一緒に帰れない……。……ごめん。」
黒木「……いや、別に……大丈夫です……。あの……。」
陸上の選抜って、凄い事だから…………。
黒木「………えっと……怜くんなら………出来るよ……ぅん…。」
出来るって、何が出来るのか解らないまま言ってしまった僕。
とにかく、頑張れって言いたかったのに。
なんか、変になった。
怜 「……ありがとう黒木!俺、頑張るよ!じゃあな!」
…………………………凄い。
ちゃんと言いたかった事、理解してる…………。
怜くんって、頭良いかも。
あんな風に自然と笑顔でいれるのが、羨ましいなぁ。
僕は、苦手なんだよねぇ……
亜木人くんに、顔の傷聞くの忘れてた。
亜木人くん、学校終わると姿見えないから、直ぐ家に帰ってるのかなぁ?
まぁ、いいか。
そうだ。
今日の授業で解らない所あったから、先生に聞いてこよう。
★☆★☆★☆★☆☆★☆★★☆
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
職員室に向かう途中で会う、
先輩や後輩たちが何か共通の話をしていたみたい。
でも、全く興味が無かったし、僕と話してるワケじゃないから、聞いてなかった。
職員室に着いて。
黒木「…すみません。あの、今日の授業で、ここが、解らなくて……。もう一度、教えて貰えますか…?」
先生「ああ。良いぞー。黒木は、真面目だからな。勉強も良いけど、息抜きしながらやった方が良いぞ。例えば…〈彼女〉作るとか!」
黒木「………先生……早く、解らない所を…。」
先生「あー。はい。はい。」
教えて貰ってる間に、騒がしくなる職員室。
生徒「先生ー!女子来てるよー!」
生徒「メチャクチャ可愛い子!すげー髪の毛クルクルで、人形みたいなの!」
生徒「誰かの彼女か?って…うわ!!入ってきた!!」
男子校あるあるだよねー。
僕は、勉強優先だから、周りの声は、届いてません。
先生「君。勝手に入って来ちゃダメだよ!何処の学校?なんでここにいるの?」
その子が言うには、「お兄ちゃんに会いにきた」らしい。
そして、
黒木「…ありがとうございました。解りやすかったです。」
先生「黒木は、一度教えると、直ぐに覚えてくれるからな。教え方の問題でもないよ。」
黒木「…いえ。…じゃあ、帰ってまた解いてみます。…ありがとうございました。」
先生「おう!気を付けて帰れよ。」
振り向くと、凄くガン見してる女の子………。
僕は、ようやくその子に、気付いた。
そして、何故か……
突進してきて、抱きつかれました。
周りの生徒職員からみたら、「何でアイツ―?」って感じに、視線を感じたから、
黒木「…ごめん!…だ、誰…?」
鈴美「ねぇ!好き?」
黒木「…………意味が解りません………。」
突然言われる〈好き〉。これほど、恐ろしい経験は、僕は、未だかつて無かった……。
周りの視線の冷たさが見に染みます。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
話を聞くと
黒木「……あー。お兄さんがここの生徒なんだ……。」
鈴美「そうなのー。あのー。……く、黒木さん、お兄さんの所まで、連れて行って?」
ウルウルした瞳で言われる……。
ごめん……。
なんか、怖い………。
黒木「……お兄さんは、何年生なの…?」
鈴美「2年生だよー。」
…………あれ?
僕と同級生か。
こんな可愛い妹って………
誰の妹?
黒木「……僕も2年だから…一応、教室回ってみる?…お兄さんの名前は?」
鈴美「亜木人だよ!」
黒木「…………………………。」
ごめんなさい。
亜木人くんにこんな可愛い妹さんがいるなんて……。
知らなかった。
知らない方が良かった。
あー。だから、なんか恐怖心がわいたのかな?
じゃあ、さっきの〈好き?〉も、兄妹揃って僕に対するイヤミですか?
鈴美「黒木さん……ダメ?」
黒木「……同ジ教室ナノデ確認シニ行キマスカ?」
鈴美「うん!!でも、何でロボット?」
断って、後でグダグダ言われなくない………。
亜木人くんも友達だし、友達の妹さんにも、優しくしないと……。
黒木「…あの、君の名前は……?」
鈴美「やだぁー!黒木さん、有名なワンシーンみたいな事言わないでー!恥ずかしい~♪」
何を言ってるのか僕には、理解不能です。
僕の聞き方が間違いでしたか?
黒木「……名前ないと、何て呼んだら…。」
鈴美「ンもう!!台詞に出てるよー♪」
黒木「……はい。…宜しくね……鈴美ちゃん……。」
作者の策略にハマるのは、僕だけでは、なかったー。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
教室に向かう間、鈴美ちゃんは、僕の右腕にしがみついてた。
身長は、僕より少し低い。
ホントに少しだけ。
歩きづらい………!!!
黒木「…あ…あの~……離れて…」
鈴美「やぁ~だぁ~!!」
黒木「…………ふぇい……。」
イヤでは、無いんだけど、歩きづらいし、周りの視線が冷たすぎて凍死する……。
これ、次の日からイジメに遭う勢いです。
黒木「……亜木人くん、帰っちゃったのかなぁ。…学校終わると姿見えないんだよねぇ……。」
鈴美「家には、戻ってなかったよ。だから、まだ学校に居ると思って、来たの。」
黒木「………んー……。」
鈴美「…黒木さんは、お兄ちゃんの事、好き?」
えーっと……………。
黒木「……と、〈友達〉だから……ねー……。」
鈴美「……ふーん……。」
な、なんか素っ気ない…。
いや、間違ってないよね?
僕は、間違ってません!!
教室に着いて、僕の前の席が亜木人くんの席。
あまり居るとは、思ってなかった。
居ました。
イヤホン付けて何か聴いてます。
黒木「亜木人くーん。」
やっぱり教室の中まで入らないとダメなのか、僕のか細い声がダメなのか……?
鈴美「黒木さん、声小さいよー。こういう時は……。」
僕は、ビックリした。
普通さぁ、鞄の中にmyマイクなんて持ち歩いてる中学生居ますか?
ココハ、日本デスヨー。
そして、myマイクにスイッチを入れた。
鈴美「―キー…お兄ちゃん!黒木さんがお兄ちゃんの事、〈好き〉だってーー!!」
耳の鼓膜が今までで一番の震えを起こしたよ。
僕は、難聴になりそうだよ。
亜木人くんもビックリして、硬直してるよ。
亜木人「ナナナナナ何でお前コココここに居んだよ!」
ごめん。
亜木人くんのテンパりを初めて見た僕。
笑いを堪えるのと完全に引いたのと、どっちもどっちで、微妙な顔をしてるんだろうな。
鈴美「だってー、昨日お兄ちゃん肝心な所で電話切っちゃうんだもん!」
亜木人「はぁぁぁ?……何で黒木に案内されてんだよ?」
鈴美「…えー?…だって、お兄ちゃん…黒木さんの事、す…」
鈴美ちゃんの口を思い切り押さえつける亜木人くん。
……流石に窒息するよ……。
止めなきゃ!!!
黒木「…あ亜木人くん!お、落ち着いて。妹さん、死んじゃうから…」
亜木人「あぁ?…何で黒木が俺の妹って、解ってんだよ?」
怖いー!!
亜木人くんって、こんなに怖い人だったっけ?
確かに目付きは、あまり良くないけど、凄く格好いいオシャレな印象で、校内でも有名なイケメンなんて言われてる亜木人くん。
僕には、怖いイメージしか沸きません。
鈴美「お兄ちゃん!黒木さんが可愛いからって、イジメちゃ、めっ!!」
ごめんなさい。
何処に突っ込みいれたら、良いでしょうか?
可愛いは、君だよ。
今時、〈めっ!〉って言う中学生いるの?
怖いー!!
亜木人「あー。面倒臭ぇから、一から説明しろよ。黒木!」
黒木「……了解シマシタ。システムヲ起動シマス。」
亜木人 鈴美「だから何でロボット?」
説明後
亜木人「…へー。…で。何でこっちに帰って来てんの?」
鈴美「……だから…お兄ちゃんと一緒に居たい…」
亜木人「それ、昨日電話で、無理だって言っただろ?」
鈴美「……でも…私…」
亜木人「ダメなものは、ダメ!大体、今日こっちに来たのだって、母さんたち知らないんだろ?」
鈴美「……ぅ……ぅ……グス…」
亜木人「泣いてもダメ!」
鈴美「やだぁー!…グズ…お兄ちゃんとぉ~…グジ…一緒に……グズ……暮らしたい~…!!」
僕には、兄妹が居ない。
だから、鈴美ちゃんの気持ちが解らない。
でも………
〈家族〉なら、解る。
離れるのは、辛い。
僕だって…………。
お父さんと離れるのは、辛い。
黒木「………鈴美ちゃん……これ、使って。」
僕は、ハンカチを渡した。
きっと亜木人くんから見たら、〈おせっかいな奴〉って思ってるだろうなぁ。
でも、こんなにグシャグシャになるくらい泣くのって、亜木人くんの事〈好き〉だから。
鈴美ちゃんにとって、亜木人くんは、
〈大好きなお兄さん〉。
鈴美「……ありがとう…グズ…」
亜木人「……はぁー…。鈴美、向こうの学校は?」
鈴美「……今は…夏休み…。」
亜木人「……そっか。…母さんに連絡しておくからな。夏休み期間だけ、こっちで預かるって。」
鈴美「…お兄ちゃーん!!」
鈴美ちゃんが、亜木人くんに、抱きついた。
亜木人くんの顔が凄く、幸せそうだった。
やっぱり、良いお兄さんなんだね。
泣きつかれた鈴美ちゃんを背負って帰る亜木人くん。
その道の途中まで一緒に歩く僕。
亜木人「……悪いな…。」
黒木「……え…?…何が…?」
亜木人「……迷惑だっただろ?」
黒木「……いや、全然!」
亜木人「……ホント、お前ってさぁ……。」
その後の言葉に僕は、困惑した。
亜木人「…可愛い奴だな。」
……………………?
……………イヤミ?
でも……………
なんか…………
亜木人くんの顔が……………
赤い気がした………。
なんか………
僕まで………………
恥ずかしい…………。
何で?
…………沈黙の中、ようやく思い出した事を亜木人くんに聞いてみた。
黒木「…あのぉ……顔の傷……大丈夫……?」
亜木人「…ああ。……別に。大したこと無い。」
黒木「………そっか……。」
何で怪我したのかとか……
あの日の後、どうしたのかとか…
聞きたくても、怖くて聞けない。
亜木人「…あのさぁ黒木。…俺さぁ…やっぱ、お前の事、好きだわ。」
亜木人くんは、前を見ていた。全く僕と視線を合わせない状態で。
あっさりと〈好きだわ〉って。
これも、〈友達〉として。
……………………だよね?
他に見当たらない。
見当たるハズが無い。
だって。
僕は………………。
男です!!
お父さん。
僕は、あなたの子供ですか?
………だとしたら、要素丸々遺伝したかも?
ワカラナイ
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
怜くんの陸上部は、結構遅くまで練習します。
先輩「怜!お疲れ~!大分速くなってきたな。」
怜 「お疲れ様です。脚力は、もう少し付けないとダメっスけどね。」
先輩「顔に似合わず筋肉あるけどなぁ。身長もあるし、脚も長いし。お前、絶対モテるだろ?」
怜 「いやいや、モテないです。…特に……ホントに好きな奴には…。」
先輩は、ニヤニヤしてる。
先輩「ほー…!!やっぱモテんじゃん!ってか、本命には、意識してもらえないのは、キビシー!」
大声でゲラゲラ笑う先輩。
怜 「先輩!楽しんでますよね!?俺スゲー悩んでるんスよ!」
先輩「あーひー。ごめん。ごめーん!怜も思春期なんだなーって!でもさっ。お前なら大丈夫そうな気がすっけどなぁ。学年でも結構引っ張ってるみたいだし、後輩たちの面倒も良く見てくれるしさぁ。ああ、頭は、悪いな。お前は!」
最後の一言が余計だと思う怜くん。
でも先輩なので、あえて、
怜 「アリガトウゴザイマス。頑張リマス。」
先輩「何でロボ!?」
着替えようと怜くんが上着を脱いだ。
先輩は、上半身の傷に驚いた。
先輩「何だその傷!?うわ……痛そう……。」
怜 「ああー。大したことないですよ。全然平気です。」
先輩「どっかの学校の奴と喧嘩でもしたのかー?チンピラに絡まれたとか?」
怜 「…さぁ。…まぁ、そんな所ですかねー…。」
先輩「…ったく。大会近いし、ようやく選抜入りしたんだから、怪我には、気を付けろよ!特に…脚は!」
怜 「はい。」
笑顔が似合う怜くん。
いつも笑ってて、泣いてる顔なんか想像もつかない。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
流石は、梅雨時期。
朝から雲が厚い。
黒漆「空ー。朝だよー。早く起きないと、遅刻するよー!」
黒木「……ぅーん……。」
僕は、朝は、凄く苦手。
毎日お父さんは、テレビで天気予報をチェックしてる。
黒漆「空、今日一応傘持って行きなよ。降るのは、いつも自宅に戻って来てる時間帯だけど…。」
黒木「……ぅー……。」
眠いー。
朝ごはん食べてるのか、寝てるのか、判断出来てなかった。
黒漆「空!時間!早く支度して!!」
いつものように慌てて家を飛び出す僕。
傘を忘れてた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★
亜木人「おはよー。」
黒木「……おはよう……。」
亜木人「…相変わらずテンション低いな。」
黒木「…………ふぇい……。」
亜木人「…ここ。寝癖?直ってねぇぞー。」
黒木「…え?…どの辺…?」
亜木人「こーこ。」
手を伸ばして亜木人くんが、僕の髪の毛を触った。
黒木「……いや、これは、寝癖じゃなくて……癖毛……。」
亜木人「フっ。マジかよ!じゃあ、これは?」
ふざけ始めた亜木人くんと本気で嫌がる僕。
亜木人くんに、髪の毛グシャグシャにされて、尚更グロッキーになってきた僕。
けど、本当は………
凄く嬉しかったんだ……。
〈友達〉っぽく感じたから。
からかい合って、ふざけ合って、笑い合って、泣き合って、喧嘩し合って。
そんな〈友達〉が、凄く憧れだった僕。
勉強しか出来なくて、いつも一人で机に座ってた入学当時から比べると、二年生になって、亜木人くんが前の席になってから、〈友達〉と呼べる初めての人が、亜木人くんだった。
亜木人くんは、勉強も得意で、クラスでも凄く人気者。
先生にもズバッと言えるし、今の流行的な事は、いち早く解ってる。
僕は、そういう流行とか全く解らないし、ズバッとなんて言えない。
でも、勉強に関しては、凄く理解できる。
嫌なのに、嬉しいって……
なんか気持ち悪いかなぁ……。
亜木人「…なんか、お前…顔赤くない?」
黒木「…赤くない……!」
亜木人「ホント、可愛い!!」
やっぱり、イヤミだよね。
バカにされてるよね。
嬉しいなんて思わなきゃ良かった…。
そんな僕と亜木人くんを廊下で見ていた怜くんの事は、全く解らなかった。
生徒「怜ー。そろそろ教室戻ろう。担任来るし。」
怜 「………うん。」
生徒「お前ってスゲーな。黒木と友達なんて、俺無理だよ。」
怜 「話してみると結構面白いよ。」
生徒「無理無理ー。スゲー真面目そうだし、あんまり笑わないし。…でも……。」
怜 「………でも?」
生徒「一年の時よりは、マシになったかなぁー。」
怜 「…そう言えば、お前一年の時、同じクラスだったもんな…。」
生徒「…っかさぁー。何で怜、黒木と一年の時も、今も同じクラスじゃねぇのに、あんなに仲良くなってんの?全然面識無かったよなぁ?黒木自体、存在感薄いのにー。」
怜 「もうー。言い過ぎ。ホント黒木良い奴なんだぞ。良く見ると、可愛いしさぁ!」
怜くんの友達は、固まりました。
生徒「あんな奴を〈可愛い〉って……!!怜!お前、大丈夫か?…頭悪いの知ってるけど、マジでヤバイんじゃないのか?…び、病院行った方が…」
怜 「ひでぇ!!そこまでバカにすんな!!勉強出来なくても、友達の良い悪いは、判断出来るよ!」
そんなこんなで、チャイムが鳴り、今日も学校が始まります。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
今日も無事に学校終わったー。
亜木人「じゃあな。また明日。」
黒木 「…さようなら。」
亜木人くん、学校終わるとやっぱり直ぐ帰ってるのかなぁ?
昨日から妹の鈴美ちゃんと、暫く一緒だから、心配なのかな?
優しいね。
さて。僕も帰ろう。
その頃、
先輩「怜居るかー?」
陸上部の先輩が怜くんの教室に来た。
怜 「はい!」
先輩「今日、練習中止だって。雨が予定より早く降り始めたからな。」
怜 「解りました。念のため傘持ってきて良かったですよ。予報だと、夕方6時だったんで、迷ったんですけど。」
先輩「なんか、雨強くなるらしいから、走ったりして、滑って転倒して、脚怪我すんなよ。」
怜 「大丈夫ですよ。」
怜くんは、僕の教室へ向かった。
でも僕は、もう教室を出ていて、雨が降ってるのに気付いたのは、正面玄関出て直ぐだった。
黒木「………あ。……忘れてた…。」
僕は、慌てて学校に来たので、傘を持って来るのを忘れてました。
途方に暮れる僕。
いつ頃止むのかも解らないし…。
……どうしよう。
すると、何故か横から凄い見た事のある脚力者が………
怜 「黒木ー!」
そして、何時ものごとくプロレス並みの暑い抱擁(ほうよう)。
黒木「……ぐぅ…じ……ぬ……。」
怜 「…もしかして…待っててくれたの?」
バカが付くプラス思考だね!
黒木「……いや……傘を持って来てなくて……。」
怜 「…じゃあ、一緒に帰ろう!傘一つしかないけどさ。」
複雑です!
……でも……ずぶ濡れで帰るより……
黒木「……お願いします…。」
怜 「おう!お願いされました!」
意味不明!
もう早く帰ろう。
とにかく帰ろう。
雨の中、一つの傘に二人。
怜くんを見たら、左側が傘からはみ出てて、鞄もびしょ濡れ。
僕を濡らさないように傘を自分より僕に傾けていた。
黒木「…怜くん。…濡れてるよ。…もう少しそっちに…」
怜 「だいじょーぶ。黒木が濡れて風邪引いたら大変だから。」
怜くんの瞳って、凄く綺麗だなぁ。
笑うと尚更、格好いいね。
怜くんは、クラスのムードメーカー的な存在。いつも明るくて、ふざけて遊んでる。運動神経は、良くて時々他の部活からも、臨時で試合出て。とか言われてる。
先輩からも信頼されてるし、後輩からも、良い先輩だって思われてる。
そんな怜くんと〈友達〉。
僕には、荷が重い。
それでも、怜くんは、僕と友達でいてくれる。
でも、おかしいなぁ。
僕は、怜くんとの接点なにも無かったし、同じクラスになったこと無いし、存在感無い僕を…………
一体、何処で見つけたの?
黒木「…怜くん。…僕、大丈夫だから……。」
怜 「…黒木。……分かれ道…。」
いつの間にか、分かれ道。
ここからは、濡れて帰らなきゃいけない。
結局、濡れてしまうのに……
怜くんに甘えてしまった…。
ちゃんと、断れば、怜くんは、全く濡れずに帰れたのに……。
黒木「……ごめん……なさい。」
怜 「……何が…?」
黒木「………ぅー……と……」
ちゃんと言わなきゃ……
ちゃんと……ハッキリ……
怜 「…黒木。…傘、明日で良いから、使って。」
黒木「…いや…!…怜くんが…」
怜 「…大丈夫!じゃあ、明日学校でな!」
黒木「……ま、待って!僕は…!!」
どしゃ降りの雨の中。
怜くんは、猛ダッシュで行ってしまった。
呆然とする僕。
でも、僕は…………。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
雨の中、怜くんは、考えながら走ってた。
でも、雨は、急ぐ怜くんの足を滑らせてしまった。
怜 「うぉわ!!」
後ろに、しりもち付く感じに転んだ。
びっくりしたのと、僕に聞きたい事を言えなかった後悔で、直ぐ立ち上がれなかった。
怜 (何で……亜木人には、あんな馴れ馴れしいのに、俺には、よそよそしいんだ……。…アイツと俺は、何が違うんだよ……!……黒木!!)
遠くから、息を切らしながら、そこで座り込んでる君を………
僕は、今何をしてる?
雨の音が凄い。
僕の心臓の音と重なって。
黒木「…はぁ…れ…い……くん!」
振り向いた怜くんの顔は、凄く驚いてた。
だって、今僕は、怜くんを追いかけて必死に全力疾走で、来たから。
怜 「…く、くろ…」
黒木「意味ナーシ!!」
走ってきたせいで、傘借りた意味無し。
走ってきたせいで、水溜まり踏みまくって意味無し。
結局濡れてしまうから、意味無し。
ここに来たのだって…………
意味無し。
怜 「…な、なん……で……?」
黒木「…はぁ…ごめ…ん……はぁ……もう……じぶん…も……わか……ん……ない……!」
ねぇ。
何で僕なの?
ワカラナイ
ワカラナイヨ
怜くんが今どう思ってるかなんて、解らない。
〈バカな奴〉って、思ってるのか、イヤミじゃなく〈可愛い〉って思ってるのか……。
顔見れない。
怖い。
嫌われたくない。
どうして僕は、小さいんだろう?
どうして、怜くんと亜木人くんと同じじゃないんだろう。
何で二人は、僕に〈好き〉〈可愛い〉なの?
〈友達〉なの?
怜 「…………ごめん………。」
怜くんがそう呟いたから、顔を上げようとしたら………
怜くんが僕をいつものように抱きしめた。
でも、いつもとは、違う。
優しくて。
でも苦しくて。
怜 「…俺……やっぱ、黒木の事が〈好き〉……。」
雨の音がこの言葉だけは、掻き消してくれなかった。
ひんやりする身体。
怜くんの身体の温かさを感じて………………
〈好き〉の意味を誰か教えて下さい
###############
はぁぁぁぁぁぁ? 完
応援ありがとうございます!
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