蒼炎の公爵令嬢 〜追放された私は、最強冒険者と共に真実の力に目覚める〜

雛月 らん

文字の大きさ
24 / 41

闇の使者2

しおりを挟む
「入るわけないでしょ!」

 エリアナは即答した。

「即答か。」

「考える必要もありません」

 エリアナはダリウスを睨みつけた。

「あなたたちは、母の敵。私が加わるわけがない」

「そうか、残念だ」

 ダリウスは肩をすくめた。

「だが、これは警告だ。我々は、お前を必ず手に入れる。力ずくでも」

「やってみろ」

 レイヴンが剣を抜いた。

「お前たちの好きにはさせない」

「ふふ、頼もしいな」

 ダリウスは後ずさりした。

「だが、レイヴン。お前一人で、我々全員を相手にできるか?」

 その瞬間、ギルドの窓ガラスが割れた。

 黒い影が数体、ギルドの中に飛び込んでくる。

 黒装束の男たち——エクリプスの刺客だ。

「皆、逃げろ!」

 レイヴンが叫ぶ。

 ギルドにいた冒険者たちが、慌てて逃げ出す。

「エリアナ、リリア!」

「分かってる!」

 リリアが弓を構える。

「エリアナ、私が前を抑える!あんたは魔法で援護して!」

「はい!」

 エリアナは魔力を集中させた。

 黒装束の男たちが、ナイフや短剣を持って襲いかかってくる。

「風よ、障壁となれ——ウィンドバリア!」

 エリアナの周囲に、風の障壁が出現する。

 ナイフが障壁に阻まれ、弾かれる。

「やるな」

 ダリウスが感心したように言った。

「だが、これはどうだ?」

 ダリウスが手を上げると、闇の魔力が集まり始めた。

「闇よ、全てを飲み込め——ダークネスボール!」

 黒い球体が、エリアナに向かって飛んでくる。

「させるか!」

 レイヴンが前に出て、剣で球体を切り裂いた。

 闇の魔力が四散する。

「レイヴンさん!」

「気にするな!お前は攻撃に専念しろ!」

「分かりました!」

 エリアナは両手を前に突き出した。

「火よ、嵐となれ——フレイムストーム!」

 蒼い炎の渦が、黒装束の男たちを襲う。

 悲鳴が響き、数人が倒れる。

「さすがだな」

 ダリウスは余裕の表情を崩さない。

「だが、これで終わりだと思うなよ」

 ダリウスが指を鳴らすと、黒装束の男たちが一斉に撤退し始めた。

「次は、もっと本気で来る。覚悟しておけ」

 ダリウスも窓から飛び出し、姿を消した。

 ギルドに静寂が戻る。

「大丈夫?」

 リリアがエリアナに駆け寄る。

「ええ、なんとか」

「レイヴンは?」

「問題ない」

 レイヴンは剣を鞘に収めた。

「だが、これは始まりに過ぎない」

 ギルドマスター——この街の冒険者ギルドを統括する老人が、三人を個室に呼んだ。

「無事か」

 ギルドマスターは三人の様子を確認した。

「ええ、なんとか」

 エリアナが答えた。

「エクリプスが動き出したか…」

 ギルドマスターは深刻な表情で呟いた。

「噂は聞いていたが、まさかこの街にまで現れるとは」

「エクリプス…奴らは、昔から問題を起こしている」

 ギルドマスターは重い口調で続けた。

「各国の王室や貴族を暗殺し、禁術を行使し、魔物を使役する。まさに、闇の組織だ」

「彼らの目的は何なんですか?」

「世界の破壊と再生」

 レイヴンが答えた。

「奴らは、現在の世界秩序を破壊し、自分たちの理想とする世界を作ろうとしている」

「そんな…」

「そして、そのためには強大な魔力が必要だ」

 レイヴンはエリアナを見つめた。

「お前のような、全属性持ちの魔法使いの力がな」

「私を…利用するつもりなの?」

「ああ。おそらく、お前の魔力を吸収するか、あるいは洗脳して配下にするつもりだ」

 エリアナは拳を握りしめた。

「絶対に、させない」

「ギルドマスター」

 レイヴンが老人に向き直った。

「この街は、もう安全ではない。俺たちは一度、別の場所に移動する」

「分かった」

 ギルドマスターは頷いた。

「君たちの安全が第一だ。どこへ行くつもりだ?」

「王都だ」

 レイヴンの答えに、エリアナは驚いた。

「王都…?」

「ああ。王宮には、最強の魔法騎士団がいる。そこなら、エクリプスも簡単には手を出せない」

「でも…」

 エリアナは躊躇した。

 王都には、家族がいる。また会うことになる。

「大丈夫だ」

 レイヴンは優しく言った。

「お前は、もう彼らに怯える必要はない。お前は『蒼炎の魔導士』だ」

 その言葉に、エリアナは勇気をもらった。

「分かりました。王都に行きましょう」

「私も行くわよ!」

 リリアが元気よく言った。

「あんたたちを放ってはおけないもの」

「ありがとう、リリア」

 エリアナは微笑んだ。

 三人は荷物をまとめ、翌日には王都へ向けて出発した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

• 『社交界の華は、影に咲く毒。〜私を捨てた世界、すべてお返しいたします〜』

YOLCA(ヨルカ)
ファンタジー
「その黄金の瞳……なんて気持ち悪いの。我が家に化け物は必要ないわ」 名門伯爵家の娘として生まれたエレーナ。しかし、彼女に宿った未知の能力を恐れた継母イザベラは、実父の留守中を狙い、幼い彼女を雪の降る町に捨て去った。 死を覚悟した彼女を拾ったのは、帝国の裏社会を支配する「皇帝の弟」ヴィンセント公爵。 彼はエレーナの力を「至宝」と呼び、彼女を公爵家の実の娘として迎え入れた。 それから数年。 エレーナは、二人の過保護な兄と、五人の精鋭部下に囲まれ、美しくも最強の工作員へと成長していた。 すべてを暴く『黄金の瞳』、すべてを操る『魅了』、そして伝説の師匠たちから授かった至高の淑女教育を武器に。 一方、継母イザベラは父を捨て、さらなる権力を手に入れるため、悪名高い侯爵の妻として社交界の頂点に君臨していた。 「お久しぶりです、お母様。……化け物と呼ばれた私からの、お返しを受け取ってくださいね」 捨てられた少女による、優雅で残酷な復讐劇。 今、その幕が上がる。

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

処理中です...