蒼炎の公爵令嬢 〜追放された私は、最強冒険者と共に真実の力に目覚める〜

雛月 らん

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深淵への挑戦2

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 階段は長く、果てしなく続いているように感じられた。

 途中、いくつかの罠が仕掛けられていたが、アリアの敏捷さと、エリアナの魔法で全て回避できた。

「もうすぐ最上階だ」

 グレゴールが言った。

 やがて、最上階の扉が見えてきた。

 巨大な黒い扉。そこからは、恐ろしいほどの魔力が漏れ出している。

「この魔力…」

 エリアナは震えた。

「今まで感じたことのない強さです」

「当然だ」

 レイヴンが剣を構えた。

「ヴォイドは、エクリプスの首領。セレスティアでさえ倒せなかった相手だ」

「でも、私たちには勝算があります」

 エリアナは真剣な表情で言った。

「お母様は一人で戦った。でも、私たちは四人います」

「その通りだ」

 グレゴールが頷いた。

「我々の連携なら、必ず勝てる」

「行くわよ」

 アリアが扉に手をかけた。

「準備はいい?」

「ああ」

 四人は頷き合った。

 アリアが扉を開けた。

 その先には——

 広大な空間が広がっていた。

 天井は見えないほど高く、床には巨大な魔法陣が描かれている。

 そして、空間の中央に、一人の人物が立っていた。

 黒いマントを纏い、顔を仮面で隠している。身長は高く、威圧感がある。

「ようこそ」

 低く、重い声が響いた。

「よく、ここまで辿り着いた」

 その人物は仮面を外した。

 現れたのは、美しい顔立ちの男性だった。長い黒髪、深い青色の瞳。年齢は三十代半ばに見える。

「私がヴォイド。闇を統べる者だ」

「ヴォイド…!」

 エリアナが身構える。

「エリアナ・フォン・アルトハイム」

 ヴォイドはエリアナを見つめた。

「セレスティアの娘。君に会えて光栄だ」

「お母様を知っているの?」

「ああ、よく知っている」

 ヴォイドは懐かしそうに微笑んだ。

「彼女は、私の最愛の人だった」

「…!?」

「驚いたか?」

 ヴォイドは静かに言った。

「セレスティアと私は、かつて恋人だった」

「嘘よ!」

 エリアナが叫ぶ。

「お母様は、父を愛していた!」

「ヴェルナーか」

 ヴォイドの声に、わずかな怒りが滲んだ。

「彼女が私を捨てて選んだ男だ」

「何を言っているの…」

「エリアナ、聞け」

 レイヴンが口を開いた。

「ヴォイドの言っていることは、半分本当だ」

「レイヴンさん?」

「セレスティアは、エクリプスにいた頃、ヴォイドと恋仲だった」

 レイヴンは真剣な表情で続けた。

「だが、セレスティアはエクリプスの本当の目的を知り、ヴォイドの元を去った」

「そして、ヴェルナーと出会い、お前を産んだ」

 ヴォイドが続けた。

「だが、それは間違いだった」

「間違い…?」

「ああ。セレスティアは、私と共にいるべきだった」

 ヴォイドは手を広げた。

「彼女は、全属性を持つ者として、世界を変える力を持っていた」

「だが、彼女はその力を無駄にした。愛などという愚かなもののために」

 ヴォイドの目が、冷たく光る。

「だから、私が世界を変える。そして、セレスティアの意志を継ぐ」

「お母様の意志を継ぐですって?」

 エリアナは怒りを露わにした。

「お母様は、あなたたちのやり方を否定したから去ったのよ!」

「違う」

 ヴォイドは首を横に振った。

「セレスティアは、ただ弱かっただけだ。世界を変える勇気がなかっただけだ」

「そんな…!」

「だが、君は違う」

 ヴォイドはエリアナに手を差し伸べた。

「君は、セレスティアの力を受け継いでいる。そして、セレスティアより強い」

「君が私と手を組めば、この世界を完璧に作り変えることができる」

「断るわ!」

 エリアナは即答した。

「私は、お母様の意志を継ぐ。でも、それはあなたと共にではない」

 エリアナは虹の杖を構えた。

「お母様が果たせなかったこと——あなたを倒すことを、私が成し遂げる!」

「そうか」

 ヴォイドは残念そうに首を横に振った。

「なら、仕方ない」

 ヴォイドが手を上げると、周囲に闇の魔力が集まり始めた。

「力ずくで、君を手に入れるしかないな」

「エリアナ、下がれ!」

 レイヴンが前に出た。

「こいつは、俺が相手をする」

「レイヴンさん!」

「お前は、周囲の魔法陣を破壊しろ!」

 レイヴンは叫んだ。

「あの魔法陣が動けば、何かが起こる!」

「分かりました!」

 エリアナは魔法陣に向かって走り出した。

 アリアとグレゴールも、それぞれの役割を果たすべく動き出す。

 最後の戦いが、今始まった。
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