1分小説

妖狐🦊🐯

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お風呂

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1日が終わった



なんてことのない1日が



無音の中に吸い込まれるように呟く




「ただいま」




身体中を圧迫する締めつけを取っ払い



ちょっとした解放感



を感じることもなく最優先で湯張りをON



本当は一刻も早く清めたい



この社会にまみれた身体を



そんなモヤモヤを浮かべている間に



冷蔵庫にある残り物をかき集めレンジON



即席晩ごはんで疲れた身体に優しく栄養を補給



味が悪くなければ見てくれは気にしない



そもそも気にする相手がいないのだから



満足するのはわたしだけ



それだけで充分



無音の中にひときわ聞こえる



ハコの中のきらびやかな世界を見ながら



際立つ虚しさをかき消そうとしている



そしてひと枠のきらめきが終わる頃に届く


リズミカルな知らせ




20:00




ここからが私の1日の始まり



手早く片付けを済ませたあと



身体に残る重みを全てを洗濯機へ放り込みON



やっと得られる、本当の意味での解放感



そしてたまには自分へのご褒美



まずはシャワーを浴びて今日という汚れを清算し



普段は躊躇する少し高めの入浴剤を手に取る



湯船はたちまち華やかな香りに包まれて気分が上がる



明日はお休みなんだから



少しくらい長湯してもいいよね



自分に言い聞かせて頷く



もちろん水分補給は欠かさずにと



冷蔵庫から持ち出した600mlをお供に



溶かして流してしまおう



疲労と苦労の一週間を







いつもお疲れ様



今週もよく頑張りました



ゆっくり休んでいい夢見てね





全ての人へ、おやすみ
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