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妖狐🦊🐯

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写身

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いつだってその身勝手さに頭を抱えている



砂の城のような脆さにはとても似合わない



独尊気質なあなたの振る舞い



まるで合わなくて嫌気がさす



始まりのあなたは違った



暖かすぎるくらい居心地が良くて



どんなに身勝手に呼び出しても



どんなに解決しない相談も



嫌な顔ひとつ見せないで



全部全部、ずっと聞いていてくれた



叶うものなら戻りたいと



何度も、何度も、



だけど違った、もう遅かった



共に時間を過ごしていく中で



おのずとはがれていく



信頼をかき消していくような



信用を塗り潰していくような



黒い声を浴びせては



我に返って自嘲する



その気まぐれにもううんざり



写身のようなあなたの日常



わたしの陽だまりはもうここにはない



わかっていた、こうなってしまう未来も



これから起こりうる足元の霞んだ道も



だからここで見納め



金輪際、もう会うこともないよ





夢の中までさようなら





わたしとよく似てしまったあなた…
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