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妖狐🦊🐯

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ピース

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浮かびあがるのは表と裏



まだ名残り惜しいと思わせる風の運びに



少しだけ頬に冷ややかさを感じては



そっと芽生える季節の訪れ



運ばれた淡い色の花びらも



この青く澄みきった空を自由に泳いでいく



まるであの頃、どこまでも続くような



誰にも負けなかった空のよう



どんなに深く深く埋めていても



ひと筋のきっかけで手元に置かれる



掘り起こしてはまた埋めて



照らされる日差しにそっと目を閉じた



それでも埋まらないままじゃ



いつか失くなってしまう記憶の欠片




最後の最後はわたし、それとも…




堂々巡ってしまった永遠を



ぽっかりと空いてしまった胸の内に



優しくしまうために、願いを込めて
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