14 / 18
14話 紳士マンと葛藤と苦悩
しおりを挟む…
これが私が犯した業…まさか雷鳴兄妹の家に…
とんでもないことをしてしまっていたんだな…
あの時私が玄関に火を放ち唯一の出口を塞いだことで、両親は命を落として兄妹も命を落とすかどうかの瀬戸際まで追い詰められた
しかし豪の機転によって何とか生きながらえた…
あいつは本当に家族思いなんだな…
…
暗い…何も見えない、何も感じない
またこの暗闇だ…
夢の中ではある、だが夢を見ていない…
以前もこんな感覚に陥ったことがあった
あの時は一方的に私自身の知らない過去や秘密を告げられて、正直自分のキャパシティを超えていた部分があった
だが今回こそは私の知りたいその先の情報を聞きだす!!!
たとえひとつでも真実の奥に眠っていた業を認識した以上、もはや何がきても動じない
「「そう、自らの過ちによってひとつの家族が崩壊する様子はいかがでしたか、偽善者の紳士マン」」
ああ、今となってはそう言われても何も反論できない
確かに私はとんでもない業を犯していた…
どんなに憎まれて恨まれてもそれを受け入れるしかない…
だが今、やり直しの世界を生きている以上、同じ過ちはおろか今度は救う立場であると確信した
「「そうですか…立場が確立されたことで一体何が変わるのかはわかりませんが…
そういえば以前のあなたの質問にまだ答えていませんでしたね、この場をもってご返答しましょう…まず私たちはあくまであなたが再び破滅の道を歩むのか否かを楽しみに見ているだけであり、更生の機会を与えたわけではありません
その証拠に、あなたが起こした数々の出来事は別の人間に差し代わり多少展開は変わることがありますが同じ年の同じ時間に発生しています
もちろんその被害者たちの運命は変わらずに廻り続けています
そして流れゆく時の中、以前の紳士マンの命日が迫っています」」
あくまでやり直せるのは自分の人生だけということか…
それに私の命日が近いだと!?一体いつなんだ!!
「「本来ならその日が終わるまで傍観するのが私たち、しかしそれだけではつまらないしちょっかいをかけたいのもまた私たち
二度もこうしてコンタクトをとるということは私たちもあなたに何かを伝えたいということでしょう
よってお話しします…
あなたの命日、それは4月4日、つまり明日です!!」」
なっ…あ、明日だと…そんなに急に私の命が終わるものか!!
「「あくまで以前の紳士マンはその日に生涯を終えただけ、やり直しをしているあなたはその先を生きることも充分にあり得ますしそのためのやり直しなのでは?
しかし蓋を開けてみればやり直しの機会を与えたのにもかかわらず、同じ人間に再び関わりをもっているのはやはり運命といったところでしょう
ここからあなたの正義がどのような答えを導くのか楽しみです」」
(現実に置かれている状況からして私の命を脅かす存在はいない…しかしそれはこのまま何もしないという選択をとった場合だ、だが私の正義は…)
…ズキッ
クッ…
「「苦しんでいますね、無理もありません…
既に新たな運命の歯車は複雑に絡み合って動き出しており決して逃れることはできません
それと忘れてはいけないのが、このやり直しを実現させた《あなたを信じる者》の存在です
約束通り彼女の命は今日という日を持って、私たちが預かります
今ごろ彼女は昏睡状態になっているでしょう」」
そ、そんな…しかしその人は一体…
まさか、ぴえんちゃんが…!?!?
…それで、その子の命はどうやったら返してくれるんだ??
「「…愚問ですね、今あなたが生きていることの引き換えに差し出した命ですから、返す返さないの話ではないということを理解していただく必要があります」」
そんな…私の今は他人の人生をひとつ犠牲にして成り立っているなんて…
「「紳士マン、あなたは前の人生で多くの十字架を背負うことになりました
こうやって初めて苦しみとして自分の中に消化し始めた今、これからどう在るべきか、何をすべきかを自分の正義に問いかけて行動するのです
そうしたのならば、おのずと道は開けていくでしょう」」
…
ハッ!!!
ここは病室…夢から覚めたのか
ズキッ
酷く頭が痛む…
夢で起きた出来事が洪水のように脳へ記憶されていく
…少し経ってようやく落ち着いた
しかし依然ぴえんちゃんの意識は戻らない
本来であればもう意識が戻っていてもおかしくはない時間だ…
やはり奴等に命を…クッ…
雷鳴くんが私に託したこの約束を守らないといけないのに…肝心な時に私は無力だ…
紳士マン…
ん?誰だ!?
紳士マン、今のあなたなら大丈夫
この声は…一体…
あなたのやるべきことはひとつ
もうその心に決めているはずです
わかっている、だが…本当にそれでいいのか…
また過ちを繰り返さないか…不安で仕方がないんだ!!
今のあなたには自らの過ちをその身に刻み、分かり合える関係を築くこともできた
大丈夫です…自分を信じて…あなたの心の奥底に眠る「紳士的心得」を今一度信じて!!
私は…過去の私を決して許すことはできない…
しかし今を生きている限り永遠に消えない過去、背負った十字架は想像以上に重たいが…
それでも私はこれからさらに多くの人を救いたい!!!
だから…失われた明日への道を切り開いてみせる!!
考えるよりも先に行動
気づけば病室を後にして病院から抜け出していた
まだ間に合ってくれ…
これはお前だけの問題じゃなかったんだ…雷鳴!!
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
花鳥見聞録
木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。
記憶を取り戻して真実を知った時、ルイとモクの選ぶ道は?
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる