お仕事(声優)に行ったら捕まりました。

逢流

文字の大きさ
2 / 10
誰かこの状況を説明してくれ…

2




 「えっと……俺達は初対面だよね?」
 「はい!!」
 (何故そんなに自信満々で答えるか…。)
 「なら、付き合ってください……とは?
 もしかして場所とかの事かな?だとしたら俺が勘違いを……。」
 「そのままの意味で受け取ってもらって結構です!」

 食い気味で返された。

 「ああ……尚更なおさら意味を説明して欲しいんだけど……俺達はさっきも言った通り初対面で、告白をされても無理かな。」

 俺はなるべく丁寧に答える。
 争い事は好きではないし、性格も温厚な方だと思う。

 (時々怖い事を言う、とはよく言われるけど。)
 「あ、それもそうですね、すみません。俺、念願の昴さんに会えると思うと舞い上がっちゃって…。」

 焦りより照れが強いように見える。

 (念願って、どういう事だ?)
 「まず、俺の上から退いてくれないかな?」
 「嫌です。」
 「は?」

 ついつい怖い声を出してしまった。

 「いやでも、俺もいつまでも誰かに押し倒されてるのは、決していい気分ではないんだけど?」
 「すみません、でも多分もう少しで退けるのでもうちょっと我慢してください。」

 いい笑顔でそう言われてしまった。

 (もう少しで退けるってなんだよ…さっさと退いてくれ。)

 「俺、ずっと昴さんのファンで大学生の頃も昴さんが出てる作品は全部聞いてて、昴さんに憧れて声優目指したんです!だから、会えたのが嬉しくて。」
 「………ありがとう、そこまで言ってくれて、嬉しいよ。」  

 嬉しいのは本当だ。
 まぁ、だからといって、付き合うのとは別の話だ。

 「本当に嬉しいよ、けど、君と付き合う事は出来ないかな。」
 「……俺の事、よく知らないからですか。」
 「そっちもあるけど、君も俺の事よく知らないでしょ?
 知ってると思うけど、俺はほとんど自分の事公表してないから。だから、ごめんね。」
 「……………なら、これから知っていってください。」
 「えっ?」
 「ニ週間、俺とお試しで恋人になってください。」

 そんな事できる訳ない、そう言おうと思ったのに、彼の顔はあまりにも真剣で、言う事ができなかった。

 (なんで…そこまで……。)
 「………………分かった……お試しなら。」
 「!!、ありがとうございます!!!」

 顔を輝かせて、抱きつこうとしてくる。

 「ただし!」
 
 彼の口の前に人差し指たてる。

 「お試し期間はニ週間じゃなくて一週間、これはゆずれないよ。」

 ニ週間後は家族が家に来る予定だからだ。

 「…………分かりました。」

 ものすごく不満そうな顔をしながらも、俺の意志が揺らがない事に気付いたのか、渋々承諾しょうだくした。

 「あの、俺達は今恋人ってことですよね?」
 「まぁ……そうなるね。」

 何故だろうか、心なしか顔が近づいて来てるような…?

 「なら、キスだけ、していいですか?」
 「はぁ?」
 「安心してください!お試し期間はキス以上の事はしません!」
 (どこをどう安心すればいいんだ?)

 そう思いながらも、彼はやめようとする様子はなく、どちらかと言うとより近くなって……

 「あ、ちょっ!」

 そのままキスされてしまった……。

 触れるだけのキスだったが、それでも許可なくするのはどうなんだ……?

 「ありがとうございました、よろしくお願いします。 」

 そろそろ仕事ですよね?俺練習してくるんで部屋居て大丈夫ですよ!

 それだけ言い残し、俺を自分の部屋に置いて行ってしまった。

 「これからもって……付き合う気満々かよ……。」

 それに、俺を押し倒してたのは多分コレが目的だよな?
 つまり、最初からお試し期間をもうけるつもりで、俺がそれを承諾するのも予想してたってことだよな?

 (ああ…結構、マズイ奴に。)
 「捕まったかもしれない……。」






















感想 0

あなたにおすすめの小説

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とスタッフ達とBL営業をして腐女子や腐男子たまに普通のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。 ※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり