【完結】聞いてないって、そりゃそうです。私も今、聞いたのですから。

あくの

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ギネヴィアの目的は?

 「兄さま、……恨みますからね」

王子宮に賜ったジョージの部屋でメリルは着替えを終えていた。シンプルなドレスだった。

「お陰で首尾は上々だったよ。護衛の気がそれてたからね」

「……兄様の転移ですすっと終わらせればよかったのでは?」

「んー、寝所から気がそれている方が都合が良くてね」

「……兄様、なにかしかけましたね?」

「公爵夫人ん頼まれてね」

ジョージはいつも炊いている香をすり替えたのだという。

「……誰が炊いてるのかわからんが、あそこ部屋に炊かれてるのが催淫の香でな」

「催淫の、香?」

ジョージは頷いた。メリルは先ほどの反動か喉元まできっちり締まる服装だった。

「そう。……正妃が選んだのか、お付きか、商人か。疑わしすぎる」

ジョージが眉間に皺を寄せる。

「アーサー王子がいつも発情してるのもそのせいかもしれん。としたら……あの正妃とは離した方がいいな。一応は王族だしランスロット殿下が使う駒の一つには出来るだろ。捨て駒はいくつあってもいい」

黒く笑う兄を見て、こういうところ、兄様とランスロット殿下は気が合いそうだなとメリルは思った。

「正妃様は駒にはなりえないの?」

「んー、あの狂った人を取り扱うのはな。なんせ呪い以上の爆弾があったからな」

「なにがあったんですか?」

メリルは呪い以上なんてなにがと思っていた。

「ロマンス官能小説の原稿」

「はぁ?」

メリルはその類の小説は殆ど読んだ事がなかった。好きな小説が騎士物語や冒険譚だったからだ。また冒険者の手記を読むのも好きだった。

「……困った事にこれが結構売れてる小説だったようで」

メリルはそれがなぜ?という顔だった。

「その本を読むと後宮の構造が分かっちゃうんだな、これが」

「えーと」

「図面に起こしたら侵入経路を確定できる。……警備の薄い所をみつけられるしね。そう言う問題」

ジョージは溜息をついた。

「これで追い落とすんだけど。王弟殿下を表にだしてやるつもり。ランスロット殿下は裏で糸を引くけど。王弟殿下から諫めてもらう」

「理由は?」

メリルは兄の考えをまとめる為に質問をしていく。こうやって考えをまとめるのは兄弟でよくやりやり方であった。

「王太子に内定したといっても、モードレッド殿下を呪いから解放して、健康を取り戻すようなら殿下にも道を残したいのだと思う、ランスロット殿下は」

「それは……なりたくて王太子になっているのではない、と?」

「多分、ね」

ジョージは肩を竦める。ジョージとメリルは母親とよく似た黒髪黒い目であった。兄のリチャードと三男のネヴィルは父親に似て赤っぽい茶色の髪に茶色の目である。

 メリル達の母親は王弟妃の乳母の姪で今、王弟妃のお付きの女官長の従妹であった。その縁でイゾルデとメリルは姉妹のように育っている。母親と王弟妃も仲が良いようだ。

「ああ、兄様、私よりは母様の方がロマンス小説は詳しいから他に著作をあたってみては?こういう事書いて出版してるって事は他に著作があったら全てチェックすべきでしょうね」

「そうか母さんか。王弟妃様も協力してもらおう。建築系は……ジョンが得意か」

ジョージは王弟の子供の一人で同級生で他国の大学で建物の研究をしてる人物に思い当たったようだった。



********************* 

あと2話で終われる(はず)
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