リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの

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 「リリゼットちゃんと兄上いるなら100人くらいこのゲートで移動できそう…」

エドアールが門の前の装置を見ながら言う。

「俺で10人くらい、兄上とリリゼットちゃんは計器が振り切れてる。ほかのみんなは2~3人くらい…、ルイも10人くらい行けそうだな。エリクは二人くらいだね」

ルイが不思議そうにエドアールに聞く。

「エドにーちゃんなんでそんなこと調べてるの?」

ルイは幼児の頃からエドアールと親しんでいたので気安い。

「もし向こうでなにかあったらそれくらいの人数を運んで王宮に行って欲しいからだよ。ルイ、わかるね?」

ルイは真剣な顔で頷いた。この話は視察に同行する人間が決まった時にエドアールから話された事であった。非常事態があれば少しでも多くの人間と一緒にゲートを通って欲しいと。

「そうならないように魔術師隊おれたちがいるんだけどさ」

とエドアールが続ける。

「ま、俺を信じてね」

ルイはじっとエドアールを見る。

「酔っぱらってない時は信じる」

子供の素直な言葉にダンテス公爵が噴き出した。



 「転移酔いはないみたいだな」

リリゼットとルイは早々にリリゼットの父、ユーグにあてがわれた宿舎に移動した。宿舎には何枚もの生皮があり、リリゼットはちょっと匂いの強さに困惑している。ルイには慣れたにおいらしく何も言わない。ユーグは二人をみて言った。

 「じーちゃん」

ルイが走って行って抱きつく。ユーグもルイを抱きとめる。背は低いががっしりした体格のユーグは麗しいとはいいがたい外見であまり貴族らしくない。無口で武骨な職人、というイメージだ。父の代の男たちは基本的に無口武骨がっちり、なので社交の場などが苦手で、これが遠因でドルバックの家計が傾いた、ともいえる。
 リリゼットはユーグに断って、部屋から出て、この宿舎の最上階に向かう。空気は魔道具で温められてるらしく適温を保っている。みな制服なのでリリゼットも安心して制服のまま色々な所を見て回る。
 ユーグのいた宿舎の最上階の奥に綺麗に装飾された扉があった。扉の装飾が修道院の院長室と同じ模様でディアーヌ神を象徴する模様だった。リリゼットは礼拝所かな?と思いながらそっと扉を開ける。そこには今まで見た中で一番美しく優しそうなディアーヌ神の彫像があった。リリゼットはその指先にそっと触れる。修道院で覚えた一番好きな聖句を呟きながらうっとりとその彫像をみていた。


 「リリは自由時間はどうしてるの?」
リーゼが聞いてくる。今は革細工に用がある王太子とエリク、体育会系副代表のアラン・エルネ前騎士団長子息らはユーグの元へ行っている。ルイもそちらにいる。ここにはリーゼ、菫姫、イネス、リリゼットの女子4人とクレマン、文化部系副代表ジャック・ルデュク男爵子息が居た。

「宿舎の3階に礼拝堂があったのでそちらに」

 これに反応したのがジャックだった。

「礼拝堂あるのですか?」

ジャックはまっすぐリリゼットを見た。

「ええ、南西の宿舎の3階に」

「ありがとうございます」

ジャックは殆ど走っている勢いで部屋を飛び出していった。みな唖然としていたがクレマンがふぅっと息を吐いて教えてくれた。

「彼は修道士をめざしているので、日々の祈りをかかさない人です。礼拝堂と聞いて居てもたっても居られなくなったと推察します。………女性ばかりの部屋に男性一人というのも気まずいので失礼します」

とクレマンは言い、そっと部屋を出て行った。

「律儀な子やなぁ」

菫姫はのんびりと焼き菓子を手に取りながら言った。



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