53 / 61
閑話 ジュリエット 4
ミレー氏とニコルの二人の沈黙は重かった。ニコルはどうするべきか悩んでいたがミレー氏の妻、義母のためにもジュリエットは家に連れて帰るべきだなとは思っていた。
つかつかつか、と義叔母が入ってきた。
「婦人会で一致で決めたのは、貴方達が離婚しないのなら、ジュリエットは表向きに出さないでください。2年でも3年でも教育してくださっていいですが、貴方達が教育終了と思った時点で私たちが一度様子を見ます。それと婦人会には永久にかかわらなくて結構です。というより、関わる気はないです、こちらとしても」
義叔母はここまで一気に言うと一旦休む。そしてまた口を開く。
「こちらに帰る時は礼拝には顔を出さないようにしてください。それと8家と婦人会はジュリエットさんと縁切りしますので、彼女が関われるのは自分のご実家のみとなります。実家周りとの付き合いもジュリエットさんは極力避けてください。わかりますね?それが我々婦人会と8家の意向です。もちろんですがロメオさんと我が娘の婚約は解消です。娘は王都にやって、そちらで新たに婚約者をみつけます」
「実家周りの付き合いの話はミレー氏におまかせします、そちらの話になると思うので」
ミレー氏も頷く。実家周りはミレー氏の所有地でもあるからだ。ミレー家に婚約破棄の話は早々に正式な使者と立てるということで決まった。
「元気だった?」
ジュリエットの実家でジュリエットと向き合う。24という年齢には幼い容姿で華奢なジュリエットは目に涙を貯めてニコルの胸に飛び込んだ。
「バカっ、なんでほっておくのよ」
娘の言いようにミレー氏ははらはらする。
「………なにも反省してないんだね」
そう言った時のニコルの目を見た周りの人間は『あ、ヤバイ』と思ったが当事者のジュリエットは胸に顔をうずめてぐずぐず言っていたので見えていなかった。
「ドルバックの長として命じます。貴方は本家の本邸で蟄居扱いとなります。数年の教育の仕上がり次第で段階的に蟄居は解かれます。その間実家に帰る事だけは自由にしますが、勝手に実家に帰れば私は迎えに行きませんし、離縁とします。また、貴方は8家と婦人会に接触することは禁止です。これを破れば相応な罰がありますが、それは貴方ではなくミレー氏、及びミレー氏が責任を持つ領地が不利益を被ります。またこちらに来ている間は礼拝への参加は認められません。礼拝に行くと8家と婦人会に関わることになるからね?」
「え?ええ?」
ジュリエットは何故礼拝に行くことが婦人会や8家に関わる事になるのかはわかっていなかった。ニコルは話を続ける。
「教会の運営は婦人会と8家でやっているからね。君はそんなことも知らないので、『教育』されるんだ。最初はレティと一緒にマナーと貴族史の初歩をやる。領地の事は執事長から講義がある。これも最初はレティと一緒にやる」
レティ、ジュリエットとニコルの末の娘、レティシアの事だった。現在4才でマナーの講義を開始し始める年齢でもあった。
「君は変わらないといけない。このまま、表には出せない『妻』なんだよ、今の君は」
「ニコル様、あんまりです」
乳母が声をあげる。
「貴方に発言を許可していない。貴方は二度とドルバックの本邸に足を踏み入れられないと思っておいてくれ。王都でも、領地でも」
乳母は下を向き、拳を握りしめている。ニコルは、ああ、ジュリエットとそっくりだと思った。ミレー氏の妻、エセルはハンカチを握りしめていて、姉妹、母娘の動作の似てることにニコルは遺伝なのか、生活を一緒にしたことによる相似なのか、と横にそれたことを考えていた。
「それでも本邸に帰るかい?」
「ここに残るって言ったら?」
ニコルにジュリエットは聞く。
「ここで蟄居になる。子供に会えるのは年に1回か2回、その際に全員と会えるとは限らない。彼らのスケジュールを優先するからね。君のせいで君の弟の婚約は解消されるそうだから弟さんからの恨みはあるだろうね」
「なら、本邸に戻ります。教育も受けます…」
「不服そうだね。教育が正しく身に着けば自分がなにをしてなにが出来てないか、わかるよ。ミランダもユーグももう知っている。貴方には私に早々嫁いでもらったから彼らが受けているような教育を受ける機会もなかったので、教育を受けてもらう」
ニコルの言葉にジュリエットは悔しそうだったが頷いた。ルイの下の双子は初等部から学園に属しているので既に貴族社会の事や順位、序列、マナーを叩き込まれている。
学園の初等部は6年間、ずっと爵位ごとのクラスに分けられている。クラスごとに制服のタイの色が違い一目見るだけで爵位がわかる。ただし庶子の場合は全員、平民クラスになるらしい。最近は庶子は初等部からの学園入学をさせる家は殆どない。彼らが庶子に身につけさせたいのは貴族のマナーであって平民の為の授業は必要ではないからだ。
一通りの話を終わらせ、詳細は書式にしてジュリエットとミレー家に送られることになった。
子供たちが使用人に連れられて部屋に入ってきた。5人の子供を抱きしめた後ジュリエットは尋ねる。
「ルイは?」
つかつかつか、と義叔母が入ってきた。
「婦人会で一致で決めたのは、貴方達が離婚しないのなら、ジュリエットは表向きに出さないでください。2年でも3年でも教育してくださっていいですが、貴方達が教育終了と思った時点で私たちが一度様子を見ます。それと婦人会には永久にかかわらなくて結構です。というより、関わる気はないです、こちらとしても」
義叔母はここまで一気に言うと一旦休む。そしてまた口を開く。
「こちらに帰る時は礼拝には顔を出さないようにしてください。それと8家と婦人会はジュリエットさんと縁切りしますので、彼女が関われるのは自分のご実家のみとなります。実家周りとの付き合いもジュリエットさんは極力避けてください。わかりますね?それが我々婦人会と8家の意向です。もちろんですがロメオさんと我が娘の婚約は解消です。娘は王都にやって、そちらで新たに婚約者をみつけます」
「実家周りの付き合いの話はミレー氏におまかせします、そちらの話になると思うので」
ミレー氏も頷く。実家周りはミレー氏の所有地でもあるからだ。ミレー家に婚約破棄の話は早々に正式な使者と立てるということで決まった。
「元気だった?」
ジュリエットの実家でジュリエットと向き合う。24という年齢には幼い容姿で華奢なジュリエットは目に涙を貯めてニコルの胸に飛び込んだ。
「バカっ、なんでほっておくのよ」
娘の言いようにミレー氏ははらはらする。
「………なにも反省してないんだね」
そう言った時のニコルの目を見た周りの人間は『あ、ヤバイ』と思ったが当事者のジュリエットは胸に顔をうずめてぐずぐず言っていたので見えていなかった。
「ドルバックの長として命じます。貴方は本家の本邸で蟄居扱いとなります。数年の教育の仕上がり次第で段階的に蟄居は解かれます。その間実家に帰る事だけは自由にしますが、勝手に実家に帰れば私は迎えに行きませんし、離縁とします。また、貴方は8家と婦人会に接触することは禁止です。これを破れば相応な罰がありますが、それは貴方ではなくミレー氏、及びミレー氏が責任を持つ領地が不利益を被ります。またこちらに来ている間は礼拝への参加は認められません。礼拝に行くと8家と婦人会に関わることになるからね?」
「え?ええ?」
ジュリエットは何故礼拝に行くことが婦人会や8家に関わる事になるのかはわかっていなかった。ニコルは話を続ける。
「教会の運営は婦人会と8家でやっているからね。君はそんなことも知らないので、『教育』されるんだ。最初はレティと一緒にマナーと貴族史の初歩をやる。領地の事は執事長から講義がある。これも最初はレティと一緒にやる」
レティ、ジュリエットとニコルの末の娘、レティシアの事だった。現在4才でマナーの講義を開始し始める年齢でもあった。
「君は変わらないといけない。このまま、表には出せない『妻』なんだよ、今の君は」
「ニコル様、あんまりです」
乳母が声をあげる。
「貴方に発言を許可していない。貴方は二度とドルバックの本邸に足を踏み入れられないと思っておいてくれ。王都でも、領地でも」
乳母は下を向き、拳を握りしめている。ニコルは、ああ、ジュリエットとそっくりだと思った。ミレー氏の妻、エセルはハンカチを握りしめていて、姉妹、母娘の動作の似てることにニコルは遺伝なのか、生活を一緒にしたことによる相似なのか、と横にそれたことを考えていた。
「それでも本邸に帰るかい?」
「ここに残るって言ったら?」
ニコルにジュリエットは聞く。
「ここで蟄居になる。子供に会えるのは年に1回か2回、その際に全員と会えるとは限らない。彼らのスケジュールを優先するからね。君のせいで君の弟の婚約は解消されるそうだから弟さんからの恨みはあるだろうね」
「なら、本邸に戻ります。教育も受けます…」
「不服そうだね。教育が正しく身に着けば自分がなにをしてなにが出来てないか、わかるよ。ミランダもユーグももう知っている。貴方には私に早々嫁いでもらったから彼らが受けているような教育を受ける機会もなかったので、教育を受けてもらう」
ニコルの言葉にジュリエットは悔しそうだったが頷いた。ルイの下の双子は初等部から学園に属しているので既に貴族社会の事や順位、序列、マナーを叩き込まれている。
学園の初等部は6年間、ずっと爵位ごとのクラスに分けられている。クラスごとに制服のタイの色が違い一目見るだけで爵位がわかる。ただし庶子の場合は全員、平民クラスになるらしい。最近は庶子は初等部からの学園入学をさせる家は殆どない。彼らが庶子に身につけさせたいのは貴族のマナーであって平民の為の授業は必要ではないからだ。
一通りの話を終わらせ、詳細は書式にしてジュリエットとミレー家に送られることになった。
子供たちが使用人に連れられて部屋に入ってきた。5人の子供を抱きしめた後ジュリエットは尋ねる。
「ルイは?」
あなたにおすすめの小説
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします
タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。
悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!