悪役令嬢、冒険者になる 【完結】

あくの

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第二章

エディとアル、昔馴染みに会う

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 「あら。エディ。あんたこっちに来たんっだ」

店を決めかねて4人がうろうろと街を歩いているとエディに声をかけてくる女性がいた。少し年上の気の強そうな女性だった。

「アルもいるよ」

「あ、ほんとだ。おっきくなったね」

アルは天使の一撃に入った頃の天使の一撃のメンバーだった女性だった。3人があれやこれやと話し込んでいるなかマドレーヌとエドは手持ち無沙汰だった。

「あの3人、話し込んじゃってるね」

「そうですね」

ぐぅとエドのお腹が大きくなった。

「……屋台の串でも食べて待っておく?」

エドは少し考えて答える。

「っていうより我々は屋台で何か買ってあそこのベンチで食べて夕食終わらせましょうか?」

マドレーヌは小首を傾げる。

「そうね、あの人達終わりそうもないし声かけて先に食べて帰っておきましょうか。積もる話もあるようだし」

「そうですね」

エドがアルとエディに声をかけて、その場を離れた。

「あら、お邪魔しちゃったかしら。……それともあの二人はカップルなの?」

アルは女性のその言葉を聞いてなにかちょっともやっとするものを感じる。

「そう言うのじゃないと思う」

アルはそう口にしたが、正直な所は判らなかった。エドとマドレーヌはよく一緒に食事をしているし、と考える。二人がそんな心の声を聞いたら『ギルドで会った時だけ』と答えるであろう。

「えー、若い子同士じゃん」

「エドの4つ下だっけ5つ下だっけ、ってエドとアルは同い年か。俺の10下だな、マドレーヌ嬢」

「あら『嬢』?あんたたちにしたらえらく上品な呼び方ね」

「……他国の貴族令嬢だからな」

アルがぶっきらぼうに答えると女性、アンヌはふふと笑う。

「あんた達には手の届かないお嬢様、ってわけか。なんであんな恰好してるのさ、あの娘」

アンヌは女性にしかわからないほんのりした悪意を含んだ口調だ。この女性はアルにこっぴどく振られている。なのでマドレーヌに興味がありげなアルの空気に気が付いたのだ。エディはマドレーヌはアルの恋人だと思い込んでいるのでアルの態度は自然だと思っている。

「えらく綺麗な子だもんね。ドレス着せて連れ歩いたらいいのに」

「あいつは冒険者だよ」

エディがそこを強調する。

「ギルドの利用方法とか俺らの知らない事を良く知ってて教えてくれたし。今じゃ天使の一撃で文字が読めないやつはいない」

エディもマドレーヌを褒める方向なのでアンヌは面白くない。

「ふーん。で、そんなお姫様ほってあんた達はいいの?あたしみたいな女に関わってるの時間の無駄でしょ」

とうとうアンヌが拗ねて女慣れしてないアルや女には慣れているがあえてその意を汲まないエディではアンヌが希望するような扱いをしてもらえない。エディはうすうす理由も判ってるがあえて知らないふりをしている。エディがアンヌに訊ねる。

「そういや、おまえさんの旦那はどうしたよ」

「別れた。あの男、あたしの金だけ持って逃げやがった」

これは藪蛇と思ったがエディとアルの腕を取ってアンヌは宣言した。

「一晩飲み明かすわよ。……逃がさないから」





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