悪役令嬢、冒険者になる 【完結】

あくの

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第二章

王都着

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 アルとエディはその日宿に帰ってこなかった。マドレーヌは全く気にせずぐっすり眠っていたがエドは気が気で無かった。声をかけて来た女はあからさまにアルに気がある風だったからだ。
 マドレーヌとエドが宿で朝食を取っている時にエディとアルが酷い顔とありさまで帰ってきた。アルとエディの状態はお話にならない。酒の匂いがプンプンしていた。

「これで馬車に乗る前に湯あみしてほしいわ」

「ちょっと俺、部屋に二人を触れて行きます、ここの共同風呂に突っ込んで置きます」

「うん。その方がいいと思う」

 小一時間立って、二人は腰にタオルを巻いた姿で宿のベッドの上でぐったりしていた。



 馬車の中で揺れる度に顔が青くなっていたので、マドレーヌは清涼感のある葉っぱを二人に渡した。

「気持ち悪いなら噛んでおきなさい、ミントだからもっともってるし、何ならミントティいれとく?」

エディもアルも言葉もなく馬車の座席で横になっていた。1/4日かけて王都に着き、王都の商会の店に顔を出すと、既に宿の手配がされていて、4人はさっさと宿に入った。

「エド、アルとエディにたっぷり水飲ませて起きるまで寝かせて。夕飯は宿から出しても
らう手配をしておくから」

「わかった」

エドも酔っ払いの回復が先だなと判断したようだった。



マドレーヌは3人をおいてギルドに行き、着いていた手紙を引き取ってきた。夕食前なのにエディは猛烈に腹が減ったといいながらエドを連れて屋台に入ったらしく、部屋にはあるだけがいた。強めの珈琲を飲んでいるようだ。

 「あら、グランサニューのおじさまから手紙」

マドレーヌ宛ての手紙をマドレーヌはアルに渡す。

「多分それ、認証魔法の応用が掛かってる。私の魔力通しても文章が出ないからアルの魔力通してみて」

小さな声でマドレーヌが呟く。アルはおっかなびっくりグランサニュー家の紋章が着いた便箋に自分の魔力を纏わせた。
 じわっと古語が浮かんできた。それが段々濃くなり最期にはマドレーヌ宛ての手紙がアルに当てた手紙に変わった。

「これは神官長の創作した魔法らしいよ、あ、前神官長だった」

アルが手紙の説明をする。二重手紙というらしい。一度でも黒魔術やなんやで中を見たら手紙自体が破棄されて神官長に知らせる仕組みになっているらしい。

「へぇ、個人認証より便利そう」

「でもなんでマドレーヌはわかったの?」

「手紙に魔力を通せって古語で書いてあったじゃない。私が通しても通らないって事は多分アルだなって」

アルはマドレーヌ宛ての手紙の本文は読んでいなかったのでそう言ったらマドレーヌがウージェーヌそっくりの表情で告げる。

「ここに書いてあるでしょ」

アルが便箋の模様と思い込んでいた部分を指さす。言われてみればそう書いてある。が一見模様にも見えるデコラティヴな装飾過多な文字列だった。マドレーヌ曰くちょっと前から女子に流行っている書体だとか。

「グランサニューのおじさまが書いたのかな」

「……夫人じゃないのかな」

「奥様なら女学生と文通してそう」

マドレーヌはコロコロ笑った。そう言いながらマドレーヌは思い出して口にした。

「レア様かも」

「レアか。それならあり得るな」

アルはその文字をなぞる。

「来年の夏までに国に戻れればレア様の卒業式に間に合いますね」

アルは俄然やる気がでたようだった。

「この国は一月くらいで次に行きたい」

「殿下の御心のままに」

マドレーヌはにやりとする。

「レア様はロクサーヌ様の親衛隊の隊長なんです」

「ベルティエ公爵令嬢の?」

マドレーヌは頷く。

「私はロクサーヌ様と仲良くしていただいてるからレア様とお話する機会も結構あって」

その後アルは満足できるまでレアの、妹の話をマドレーヌに聞くのであった。
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