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第四章
ここに居るはずのない人
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「す、少しならつかえるぞ?」
前陛下は抵抗する。
「例えば?」
マドレーヌの祖父が問う。陛下は少しばつが悪そうに答える。
「ライト、とか……」
「クリアもクリーンもウォッシュも使えない、狩ったウサギを捌いたら肉が殆ど残らない、そんな冒険者集団を一か月も山の奥にこもらせられますか。不衛生で病人が出る」
マドレーヌの祖父は前陛下の言い分を一刀両断にした。グランサニュー公爵は笑いをこらえている。
「……お前と側近、集団で迷子になるしな」
「叔父上、それは中等部一年目の話でしょう」
「12~3で学園に出すと自覚がなさ過ぎて……って話でエクトルの代から学園は高等部だけになったんだよ」
とグランサニュー公爵はアルに教えてくれる。
「あら!」
エマが鉢植を見て喜んだ。小さな小さな葉が新しく出てぷるん、と揺れた。
「これでこの子は大丈夫。今日は寝る時間は旦那様の横に置いておきましょう。いいわね?あなた」
これに対して公爵は拒否権はない。公爵は暫く考えていたがアルに言う。
「明日の朝、ちょっと買い物につきあってくれんか。装備一式を揃えたい」
「装備?」
「神殿まで儂も一緒に行こうと思ってな」
グランジエ一家以外の人員が『は?』という顔になる。マドレーヌ、フロラン、二人の祖父は自分も言い出すだろうな、このじーさんと思っていたのだ。三人は目くばせする。すると前陛下が口を出す。
「叔父上は慣れてないから辞めてください」
「あ?神官共が多分一緒に登るから最悪やつの力を借りる」
「叔父上、……それはずるって言うんです」
マドレーヌの祖父が口をだした。
「エリクが来ている?」
「来てる」
公爵は簡潔に返事をする。
「なら、エリクと来てください。あの子なら運べるし」
エマは心配そうな顔だが口は出さなかった。
「マドレーヌは一緒に来て、神殿回りの雑魚掃除をしてほしいところなんだが……、エリクが出張ってるってことはここ一連のあれですかね?」
マドレーヌの祖父の問いに公爵は頷いている。
「多分侯爵の館は出張所みたいな感じで本拠地が神殿じゃないかとエリクは見てる。俺はマジックバッグにドニの新兵器を持たされたから当たりなんじゃないかなって思ってる」
公爵は素の口調になる。
「今ドニの元でアランは生活してるよ。アルノーの家は男爵に落ちるのだけど、夫人だけじゃ心もとないし、アランも大分思想は入れ替わってるから」
フロランが片眉を上げる。
「何をしたんですか?」
「それは俺じゃわからんが……、アランとドニは薬物もつかってるだろうなぁ」
「あの二人だと過激になる一方だな」
マドレーヌの祖父は苦笑する。アランという名を聞いてもマドレーヌは眉一つ動かさない。元婚約者に毛ほどの興味もないようだった。
「そろそろ私はテントに戻りますね、お先に失礼します」
マドレーヌがそのまま女性用テントの方へ歩いてる。が、途中で足が止まって踵を返して
戻ってきた。
「リディ・バスチエがいた気がします」
前陛下は抵抗する。
「例えば?」
マドレーヌの祖父が問う。陛下は少しばつが悪そうに答える。
「ライト、とか……」
「クリアもクリーンもウォッシュも使えない、狩ったウサギを捌いたら肉が殆ど残らない、そんな冒険者集団を一か月も山の奥にこもらせられますか。不衛生で病人が出る」
マドレーヌの祖父は前陛下の言い分を一刀両断にした。グランサニュー公爵は笑いをこらえている。
「……お前と側近、集団で迷子になるしな」
「叔父上、それは中等部一年目の話でしょう」
「12~3で学園に出すと自覚がなさ過ぎて……って話でエクトルの代から学園は高等部だけになったんだよ」
とグランサニュー公爵はアルに教えてくれる。
「あら!」
エマが鉢植を見て喜んだ。小さな小さな葉が新しく出てぷるん、と揺れた。
「これでこの子は大丈夫。今日は寝る時間は旦那様の横に置いておきましょう。いいわね?あなた」
これに対して公爵は拒否権はない。公爵は暫く考えていたがアルに言う。
「明日の朝、ちょっと買い物につきあってくれんか。装備一式を揃えたい」
「装備?」
「神殿まで儂も一緒に行こうと思ってな」
グランジエ一家以外の人員が『は?』という顔になる。マドレーヌ、フロラン、二人の祖父は自分も言い出すだろうな、このじーさんと思っていたのだ。三人は目くばせする。すると前陛下が口を出す。
「叔父上は慣れてないから辞めてください」
「あ?神官共が多分一緒に登るから最悪やつの力を借りる」
「叔父上、……それはずるって言うんです」
マドレーヌの祖父が口をだした。
「エリクが来ている?」
「来てる」
公爵は簡潔に返事をする。
「なら、エリクと来てください。あの子なら運べるし」
エマは心配そうな顔だが口は出さなかった。
「マドレーヌは一緒に来て、神殿回りの雑魚掃除をしてほしいところなんだが……、エリクが出張ってるってことはここ一連のあれですかね?」
マドレーヌの祖父の問いに公爵は頷いている。
「多分侯爵の館は出張所みたいな感じで本拠地が神殿じゃないかとエリクは見てる。俺はマジックバッグにドニの新兵器を持たされたから当たりなんじゃないかなって思ってる」
公爵は素の口調になる。
「今ドニの元でアランは生活してるよ。アルノーの家は男爵に落ちるのだけど、夫人だけじゃ心もとないし、アランも大分思想は入れ替わってるから」
フロランが片眉を上げる。
「何をしたんですか?」
「それは俺じゃわからんが……、アランとドニは薬物もつかってるだろうなぁ」
「あの二人だと過激になる一方だな」
マドレーヌの祖父は苦笑する。アランという名を聞いてもマドレーヌは眉一つ動かさない。元婚約者に毛ほどの興味もないようだった。
「そろそろ私はテントに戻りますね、お先に失礼します」
マドレーヌがそのまま女性用テントの方へ歩いてる。が、途中で足が止まって踵を返して
戻ってきた。
「リディ・バスチエがいた気がします」
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