42 / 585
ルトガーの章
04
しおりを挟む
エドガーとルトガーは少しだけ緊張した面持ちで迷宮内に入った。迷宮内はほの明るい。
「ここの迷宮は外の時刻に合わせて内部の明るさが変わる。それと夜にしか出ないモンスターもいる」
アキラが今日の目標を立てる。
「暗くなりきる前に東の奥のセーフエリアに行く。今日はそこでキャンプだ。急がないと夜になるぞ?」
ルトガーとエドガーは冒険者ギルドで購入した迷宮の地図を見ながら方向を確認する。二人が真剣に地図をみている隙にアキラは二人に結界を張る。二人は全く気が付いてなかった。
「結局、この大広間通って行かないとセーフエリアやボス部屋に着かない、と。そして戦闘を続けないと進めない」
ルトガーとエドガーは短剣と剣で戦いながら言う。ドロップはそんなにないけど初心者にとっては必要な革や鉱石が落ちる。ボス部屋まで真面目に戦ったら初心者用の武具防具をグレードアップ出来るくらいの素材になる。もちろん、そんなことをアキラは二人に教えてなかった。
ここはギルドが作って管理している人工ダンジョンで、5層までつくりが同じなのは1回に入れるのは1組でギルドで予約し、訓練に使うものだったからだ。ここはクラン作成者にしか教えてもらえない場所であった。アキラは最初に一時所属していたクランでそういうことを教えてもらっていた。
ボス部屋をクリアすると次回からは同じ場所なのだが敵のレベルが上がるのだ。今は5層までしか敵の強化を出来ないので5層、ということになっているがギルドの錬金術師たちが研究中でもっと層を増やしたいらしい。
かなり暗くなってから東の部屋に着いた。その間にアキラの指示による飴玉で多少は消耗を回復はできた。が、部屋に着いたとたん二人ともセーフエリアの床に大の字になった。
「つっかれたー」
「おう」
エドガーの言葉にルトガーも答える。アキラはにやにやしている。
「さて、と。まずは水分な」
マジックバッグからカップをだし水を入れて二人に渡す。
「ゆっくり飲め」
アキラは二人にそう指示した。二人は同じようなしぐさで水を飲みほしていてアキラは笑いをこらえるのが少しつらかった。そしてアイテムボックスから鍋を出してくる。スプーンも出てきたし皿も出てきた。そして固まり肉を薄切りにしたものと黒パンを出してくる。
「食べられるだけ食べろ。ソースはこれな。スープは輪切りのヴルストも入ってるから」
アキラだけならこういう用意はしていなかったのだがマルクから迷宮であったかいもの食べられると回復が早いと言われ、マルクの指示のもといくつか食べ物を用意してアイテムボックスにいれてあるのだ。
「食べられそうならマルクからもらった肉串も食べるといい。その方が体が回復する」
ルトガーが食事前の習慣で自分にクリアをかけている。エドガーもそれをみて『あっ』とか言いながらかける。アキラも黙って自分にクリアをかけた。
「ルトガーはわりとみじまいにうるさい?」
アキラの質問にルトガーは不思議そうな顔だったがエドガーは
「にーちゃん埃とか苦手。すぐくしゃみでるし」
「それは子供の頃だろ」
ルトガーはそういいながら思い出す。埃っぽいと咳こむルトガーの為に自らも掃除をしていた母の姿を。ルトガーは母親に愛情を注がれて育った。なのでふと母親の事を考える瞬間が日常にあった。ルトガーはその思いをふりはらい、食事に向き直った。
「食べすぎた…」
そういいながらルトガーはすぐに歯の清掃をする飴を口にする。これを食べてから口を濯ぐことで虫歯を防ぐのだ。ルトガーもエドガーも当たり前に使っているが、これは父親の商会の大ヒット商品で、これでかなり手軽に歯の清潔を保てるようになったのだ。
ルトガーは疲れた体を床に横たえる。
「ここはかけるものとか…無くても………ね…」
エドガーは自分の腕を枕にしているルトガーの頭の下に先まで来ていた上着を丸めて枕にして差し込む。
「寝つきがいいのはいいけどさー」
とエドガーは言いながらアキラに説明する。
「兄さん、手枕が癖でさ。翌日大抵手がしびれたって言ってるから気が付いた時はこうやって頭の下に枕突っ込んでる。明日武器が握れないと大変だから」
アキラはちょっと頷いた。
「ここの迷宮は外の時刻に合わせて内部の明るさが変わる。それと夜にしか出ないモンスターもいる」
アキラが今日の目標を立てる。
「暗くなりきる前に東の奥のセーフエリアに行く。今日はそこでキャンプだ。急がないと夜になるぞ?」
ルトガーとエドガーは冒険者ギルドで購入した迷宮の地図を見ながら方向を確認する。二人が真剣に地図をみている隙にアキラは二人に結界を張る。二人は全く気が付いてなかった。
「結局、この大広間通って行かないとセーフエリアやボス部屋に着かない、と。そして戦闘を続けないと進めない」
ルトガーとエドガーは短剣と剣で戦いながら言う。ドロップはそんなにないけど初心者にとっては必要な革や鉱石が落ちる。ボス部屋まで真面目に戦ったら初心者用の武具防具をグレードアップ出来るくらいの素材になる。もちろん、そんなことをアキラは二人に教えてなかった。
ここはギルドが作って管理している人工ダンジョンで、5層までつくりが同じなのは1回に入れるのは1組でギルドで予約し、訓練に使うものだったからだ。ここはクラン作成者にしか教えてもらえない場所であった。アキラは最初に一時所属していたクランでそういうことを教えてもらっていた。
ボス部屋をクリアすると次回からは同じ場所なのだが敵のレベルが上がるのだ。今は5層までしか敵の強化を出来ないので5層、ということになっているがギルドの錬金術師たちが研究中でもっと層を増やしたいらしい。
かなり暗くなってから東の部屋に着いた。その間にアキラの指示による飴玉で多少は消耗を回復はできた。が、部屋に着いたとたん二人ともセーフエリアの床に大の字になった。
「つっかれたー」
「おう」
エドガーの言葉にルトガーも答える。アキラはにやにやしている。
「さて、と。まずは水分な」
マジックバッグからカップをだし水を入れて二人に渡す。
「ゆっくり飲め」
アキラは二人にそう指示した。二人は同じようなしぐさで水を飲みほしていてアキラは笑いをこらえるのが少しつらかった。そしてアイテムボックスから鍋を出してくる。スプーンも出てきたし皿も出てきた。そして固まり肉を薄切りにしたものと黒パンを出してくる。
「食べられるだけ食べろ。ソースはこれな。スープは輪切りのヴルストも入ってるから」
アキラだけならこういう用意はしていなかったのだがマルクから迷宮であったかいもの食べられると回復が早いと言われ、マルクの指示のもといくつか食べ物を用意してアイテムボックスにいれてあるのだ。
「食べられそうならマルクからもらった肉串も食べるといい。その方が体が回復する」
ルトガーが食事前の習慣で自分にクリアをかけている。エドガーもそれをみて『あっ』とか言いながらかける。アキラも黙って自分にクリアをかけた。
「ルトガーはわりとみじまいにうるさい?」
アキラの質問にルトガーは不思議そうな顔だったがエドガーは
「にーちゃん埃とか苦手。すぐくしゃみでるし」
「それは子供の頃だろ」
ルトガーはそういいながら思い出す。埃っぽいと咳こむルトガーの為に自らも掃除をしていた母の姿を。ルトガーは母親に愛情を注がれて育った。なのでふと母親の事を考える瞬間が日常にあった。ルトガーはその思いをふりはらい、食事に向き直った。
「食べすぎた…」
そういいながらルトガーはすぐに歯の清掃をする飴を口にする。これを食べてから口を濯ぐことで虫歯を防ぐのだ。ルトガーもエドガーも当たり前に使っているが、これは父親の商会の大ヒット商品で、これでかなり手軽に歯の清潔を保てるようになったのだ。
ルトガーは疲れた体を床に横たえる。
「ここはかけるものとか…無くても………ね…」
エドガーは自分の腕を枕にしているルトガーの頭の下に先まで来ていた上着を丸めて枕にして差し込む。
「寝つきがいいのはいいけどさー」
とエドガーは言いながらアキラに説明する。
「兄さん、手枕が癖でさ。翌日大抵手がしびれたって言ってるから気が付いた時はこうやって頭の下に枕突っ込んでる。明日武器が握れないと大変だから」
アキラはちょっと頷いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
64
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる