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アキラの章

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 「うえぇぇぇぇ」

グリーナーが大声を出した途端、デヴィッドがそのまま飛び込んできた。その体の中心部をぶらぶらさせて。それを見たグリーナーは大笑いしている。

「なんなんだ?」

デヴィッドが呆然としながら尋ねる。

「えー。全裸でブラッドと話してることに気が付いてさ」

これをいうのにも間に笑いの発作が挟まれてかなりの時間がかかった。かなり頭が煮えていたデヴィッドもつられて苦笑いになってから大声で笑いだした。ブラッドはこのカップル絶対おかしいと思っていた。



 「ブラッド、心配かけた。浮気の事は…割り切れてないけど、グリーナーを手放す気はないし、今までの3回は飲み込む。だから、明日にでも二度と浮気ができないように結婚の書類を出してくる。俺は王都との行き来は自由だしな。浮気相手だった第三王子も今は結婚して浮気したら酷い目にあうからな」

「ああ、魔女の森の王女だろ?どうやって来たんだ?」

魔女の森というのはデアードの古い一族で黒龍の住まう山のふもとに住んでいる一族だった。デアードの王族とも強いつながりがある。

「ああ、…黒龍に乗ってきた。おつきたちはかなり苦労して海沿いからこの国の国境ぎりぎりまで来て中に入ってもらったらしい」

「アーサー、尻に敷かれてんのか」

グリーナーがまた地雷を踏みぬくようなことを言う。この第三王子とグリーナーは幼馴染でグリーナーとデヴィッドが最初の交合を済ませてからすぐに浮気が始まったらしい。これが着かず離れず、100年近く続いていたのがデヴィッドが病んだきっかけだったのだが。

「グリーナー、それはデヴィッドにも、アーサー殿下にも失礼な物言いだ」

デヴィッドが爆発するより先にブラッドがグリーナーを諫める。ブラッドの言葉のおかげでデヴィッドも息をついた。

「グリーナー、跳ね返えりが持ち味としても、他人を侮るな、俺はそう忠告するぞ」

ブラッドの言葉にグリーナーもうつむくしかなかった。

「いい時間だし、夕食に出よう。デヴィッド、ちゃんと明日王都に立つならみんなに言っといてくれ。オールも奴なりに心配してるし、アキラなら本気ならお前たちに追いつくのは可能だしな」

「アキラ、何者なんだ?あっというまにS級まで上がってきたけど」

服を身に着けながらデヴィッドがブラッドに尋ねる。

「蒼の竜、の本人は『端末』という言い方をしていたが…。俺はあれはほぼ本体だと思う」

ブラッドがそう答える。

「口止めはされてないのか?」

「口止め…してなかった気がする」

ブラッドへの問にグリーナーが答える。

「奴がしなくても俺がするからな?」

デヴィッドが言った。

「早々にS級からも上がってもらった方がいいかな」

というデヴィッドにブラッドが

「大丈夫、あいつ自身がわかって動いてるだろう。アキラの事を信用してやって欲しい」

と諭す。

「…ま、なにかあってもどうにかするだろう、アキラ自身が」

デヴィッドもブラッドの言うことを受け入れた。


 そんなやりとりがあって小屋から3人は出てきたのだった。




 「そうだ、北方をまとめる侯爵から、今回のお詫びにA級からC級に対しての大盤振る舞いの依頼が出るぞ。今回の虎の牙の始末、ということだ。各ギルドと参加者に対する慰謝料的な依頼なので難易度の割に実入りがいい。ギルド内ポイントも、収入も。明日は早めにギルドに行くといいぞ」

夕飯を食べながらデヴィッドが言った。
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