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ダンジョン攻略の章
30
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「神殿でたらこれが楽しみで」
良い勢いで聖女はワインを飲み干す。聖女見習いたちは『お子様はねるじかんでちゅよー』と聖女にからかわれながらとっくの昔に寝室に引き取らせている。
「ワインなら神殿でもあるだろう」
ブラッドが呆れたように言う。
「神殿のはなぁ…、水で割ってるんだ。生ぬるいしな」
「生ぬるい水っぽいワイン、はなぁ…」
聖女マリナとオールたちは古いなじみだった。マリナの冒険者時代一緒に依頼をこなすことが多かったのだ。途中まで宗介は気を使って精進な料理をつまみとして出していたが、マリナが
「ディアーヌ様は肉食を禁じてないから普通のもので良いです。残したりする方がいけないことになるのかな」
と申告してくれたので宗介は肉やソーセージを使って簡単なつまみを出すと
「俺は寝る。あとはまかせた」
と言って自室に下がった。
翌朝、ニーアが起きてくると、床に聖女様が落ちていた。
「聖女様、朝ですよ」
ニーアの優しい声で起こされてマリナはぼんやりと座り込んだ。
「朝、スープ飲まれます?トマトベースで野菜とソーセージが入った軽いスープです」
「…飲みます」
マリナは枯れた声で返事をした。ニーアはマグカップに八分目のトマトのスープを渡す。トマトジュースがベースで、キャベツと玉ねぎとソーセージが入ったスープだった。
「お腹が空いてきてますか?」
「…少し」
「パン、食べられそうですか?」
「スープをもう少し貰いたい」
「わかりました」
マリナはしっかりスープを飲む。
「この家、女性専用の浴室もありますからよろしければ」
ニーアに案内されてマリナは風呂に足を運んだ。マリナはゆっくりと湯船で汗をかきながら
「これは聖女辞めて冒険者に戻りたくなるなぁ」
と呟いている。
「用意は出来たのか?」
デヴィッドに問われマリナは頷いた。ブラッドが小さな箱を渡す。
「これはロックがかかってないマジックボックスだ。あんた用の食料と水とちょっとした着替えなんかを入れている。適当に使ってくれ」
「ありがたい」
ヨアヒムは各人に対してテーブルの上を指さした。
「聖水のHQ品。それと冷えた特製ドリンク。一応持って行ってくれ」
「これもありがたいねぇ。…神殿で売ってるのよりずいぶん品質がいいね、この聖水」
「俺は世界一の錬金術師だからな」
とヨアヒムがにやり、とする。
「…こんなものつくれる冒険者もいるんだね。冒険者がつらくなったらいつでも神殿で雇えるよ。この聖水の品質なら今すぐでも来てほしいところだ、十分吸血鬼退治に使える」
アキラは頷く。
「ああ、これはいつも世話になってる。あいつら足止めできるからな」
ヨアヒムはとても自慢そうであったしエドガーはそんなヨアヒムを尊敬の眼差しで見つめていた。
良い勢いで聖女はワインを飲み干す。聖女見習いたちは『お子様はねるじかんでちゅよー』と聖女にからかわれながらとっくの昔に寝室に引き取らせている。
「ワインなら神殿でもあるだろう」
ブラッドが呆れたように言う。
「神殿のはなぁ…、水で割ってるんだ。生ぬるいしな」
「生ぬるい水っぽいワイン、はなぁ…」
聖女マリナとオールたちは古いなじみだった。マリナの冒険者時代一緒に依頼をこなすことが多かったのだ。途中まで宗介は気を使って精進な料理をつまみとして出していたが、マリナが
「ディアーヌ様は肉食を禁じてないから普通のもので良いです。残したりする方がいけないことになるのかな」
と申告してくれたので宗介は肉やソーセージを使って簡単なつまみを出すと
「俺は寝る。あとはまかせた」
と言って自室に下がった。
翌朝、ニーアが起きてくると、床に聖女様が落ちていた。
「聖女様、朝ですよ」
ニーアの優しい声で起こされてマリナはぼんやりと座り込んだ。
「朝、スープ飲まれます?トマトベースで野菜とソーセージが入った軽いスープです」
「…飲みます」
マリナは枯れた声で返事をした。ニーアはマグカップに八分目のトマトのスープを渡す。トマトジュースがベースで、キャベツと玉ねぎとソーセージが入ったスープだった。
「お腹が空いてきてますか?」
「…少し」
「パン、食べられそうですか?」
「スープをもう少し貰いたい」
「わかりました」
マリナはしっかりスープを飲む。
「この家、女性専用の浴室もありますからよろしければ」
ニーアに案内されてマリナは風呂に足を運んだ。マリナはゆっくりと湯船で汗をかきながら
「これは聖女辞めて冒険者に戻りたくなるなぁ」
と呟いている。
「用意は出来たのか?」
デヴィッドに問われマリナは頷いた。ブラッドが小さな箱を渡す。
「これはロックがかかってないマジックボックスだ。あんた用の食料と水とちょっとした着替えなんかを入れている。適当に使ってくれ」
「ありがたい」
ヨアヒムは各人に対してテーブルの上を指さした。
「聖水のHQ品。それと冷えた特製ドリンク。一応持って行ってくれ」
「これもありがたいねぇ。…神殿で売ってるのよりずいぶん品質がいいね、この聖水」
「俺は世界一の錬金術師だからな」
とヨアヒムがにやり、とする。
「…こんなものつくれる冒険者もいるんだね。冒険者がつらくなったらいつでも神殿で雇えるよ。この聖水の品質なら今すぐでも来てほしいところだ、十分吸血鬼退治に使える」
アキラは頷く。
「ああ、これはいつも世話になってる。あいつら足止めできるからな」
ヨアヒムはとても自慢そうであったしエドガーはそんなヨアヒムを尊敬の眼差しで見つめていた。
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