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金と銀の玉の章

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 「あの人は、勝機をうかがうのが趣味なんですが」

エドモンドの言葉にヨアヒムが楽しそうに突っ込む。

「良い趣味だな」

「ほんとに…」

エドモンド息子も同意する。

「そういう人だから前に誰かがいてこそ、力を十二分に発揮するタイプなんですよ」

ヨアヒムがゆったりと座っている。

「商機じゃなくて勝気ってとこが性格だよな」

と髭の付け根をかきながらぼそぼそと話している。




 「オール、解析できた?」

アキラがブラッドの工房へ来て尋ねる。オールはその一角を自分の研究所にして居座っている。

「なんか、揺らぎがあるんだよな。そのあたりがマリナの魔力も関係してるんだろうけど」

「とりあえず簡易版でもつくれる?」

「作ってどうすんの?」

「効果あるか森の中で考える」

アキラとオールが案を出し合っていると、ブラッドが

「これもつかってみてくれ」

と言う。鉄の杭で、なにか塗っているようだ。

「これなに?」

「オルトロスの血を塗ってある」

とブラッドが言う。

「別に聖なる力じゃなくていいのかもしれんと思ってな」

オールの目が輝く。

「そうか。聖なる力じゃなくて『強者』の力でもいいかもしれん」

「ましてや通るのは冒険者だしな」

アキラも興味を持ったようだ。お互い量産できるだけの分量のある血のストックを書きだした。また、ヨアヒムを連れてきて、魔物除けに一般に使われる薬草の話を聞く。

「そうだよ。身に着いた力だけじゃなくて外部の力も借りりゃいいじゃん。海組の仕事が終わる前にダンジョンまでの道、つけようぜ」

アキラの言葉に他の三人も頷く。結局、4人で魔物の気配が強い森の中心部で実験をすることに決めた。

「魔物の血が役に立つならギルドでもこれがつくれるってことだよね」

アキラの発言にブラッドが頷いた。

「あそこはドラゴンの血もあるはずだしな。吸血鬼の血もあるって噂だ」

「吸血鬼の血は量産に向かないだろうなぁ」

「やっぱオークジェネラル。ゴブリンリーダーあたりの魔物から試すか」

「蛇系は毒があるからやめたほうがいいな」

四人で生き生きとした顔で話し合っている。



 海組の方は難航気味で副ギルド長に

「さっさと船捕まえてくださいね」

とデヴィッドは言われて頭を抱えていた。

「そんなら、暇してる漁師さんとか捕まえるとええんちゃう?」

と宗介が言う。

「そうか、それもありか。小国群に一番近いギルドに頼もう」

「ほかの港町にも声賭けりゃいいと思うぞ」

ヨアヒムも助言してくれる。

「近いうちに船出すからみんな、用意は済ませてくれ」

デヴィッドの言葉に皆頷いた。


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