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再びアキラの章

33 交渉一部成立

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  「彼女、体力がなさすぎます。何かあった時に走ってって逃げることもできないでしょ う、あれでは」

フランツがボンに代わり答える。

「万が一のトラブルが会った時にあの方を抱えて逃げるの誰が?少しでも自分の足で逃げられれば生存確率は上がります。そう言う話です」

フランツにそう言われ王子達は何も言えなかった。フランシスは訊ねる。

「何か、とは?」

「……モンスター津波」

ボンが答える。

「こんな初級、中級向けのダンジョンで起きはせんだろう」

エリクの言葉にフランツが返す。

「先ほどのレッドという冒険者に聞きました。現状、4階層目、5階層目で昆虫系のモンスターが異常な増殖を見せているそうです。これが一時的なものかそれとも……、と」

「カマキリだろ?」

エリクは訳知り顔で言う。

「いえ、昆虫系全般です」

フランツは答える。これは真実だった。レッドも言ったはずだがエリクの頭には残ってなかった。


 「ルトガーは大丈夫か?」

ルトガーは苦笑いする。

「あー、人サイズの虫が気持ち悪いだけで後はまじまじ見ない限り大丈夫」

後ろのパーティでヴィーは露骨に生き生きしている。最初の一歩目で赤い小さな音の出ない笛を拭いた。歩いている間、一定期間でその笛を口にしている。
 アキラもレッドもシルバーも口にはしていないが音がしないはずの笛の音を耳が拾っている。アキラはヴィーが笛を口にした途端顔を顰めている。

 4階層目は草原でバッタっぽいモンスターがぴょいぴょい飛んでいるのが見える。

「……この距離であのサイズだろ?あのバッタ、人くらいのサイズないか?」

アキラが周りを見回して呟く。

「ってか草もでかくない?」

ボンが驚いている。

「……昨日まで草は膝まで位だったぞ」

レッドが辺りを見回している。

『呪いが軽減した影響かも』

『って呪いがこれを押えてた?』

『可能性はあるな』

アキラとレッドとシルバーは念話で推察を話す。デヴィッドはルトガーを気遣う。

「大丈夫か?……バッタがえらくでかいようだ」

ルトガーは2枚の聖布を使い、アキラが簡易的に作った聖布のマントを着ている。1枚は半分に折り、一か所を針と糸で縫い合わせフードにしそのフードを布の真ん中をくりぬき縫い合わせ片方の真ん中を切りっぱなしにし即席のマントに仕上げた。薄い緑色の絹の布はマリナによって聖別されたものだった。切りっぱなしにした布は死はシルバーが現状保持の魔法をかけてほつれないようにしてくれた。
 フードは大き目でルトガーは出来る限りフードを目深に被っている。

「このマントのお陰でかなり楽」

ルトガーは青い顔で答えた。
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