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【前編】「しのぶ」という名の後輩
(4)楽譜
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「小泉さんにありがとうと伝えてくれ」
平田は鞄の中に雑に入れてある楽譜の側に、小泉という名の後輩からの箱をそっとしまいこむ。
「伝えるのは構わないが、直接お礼言われた方が嬉しいと思うけどな」
「そうできればいいんだけどな。あいにく小泉さんの連絡先も知らないし」
「彼女のLINEなら俺から教えてもいいけど?」
「いや、いいよ。接点ほとんどないし、お礼言うためだけに教えてもらってもお互い気まずい」
宮坂のバンドの練習を見学しに行った時、小泉とも二言か三言話した気もするが、何を話したのかは具体的に思い出せない。そしてそれは相手も同じだろう。
本来ならば、ホワイトデーに些細なお返しが出来ればよかったのだろうが、今年の六ヶ原高校の卒業式はホワイトデーのその日にちょうど被ってしまった。
卒業式当日の忙しさを考えれば、お返しを渡せないまま終わってしまうだろう。
「それでも、もし連絡先を知ることがあったら平田からお礼言った方がいいと思うぞ」
「そんなシチュエーション、俺には思い浮かばないんだが」
「そうか?案外あるもんだぜ」
宮坂は含み笑いをした。
平田は鞄の中に雑に入れてある楽譜の側に、小泉という名の後輩からの箱をそっとしまいこむ。
「伝えるのは構わないが、直接お礼言われた方が嬉しいと思うけどな」
「そうできればいいんだけどな。あいにく小泉さんの連絡先も知らないし」
「彼女のLINEなら俺から教えてもいいけど?」
「いや、いいよ。接点ほとんどないし、お礼言うためだけに教えてもらってもお互い気まずい」
宮坂のバンドの練習を見学しに行った時、小泉とも二言か三言話した気もするが、何を話したのかは具体的に思い出せない。そしてそれは相手も同じだろう。
本来ならば、ホワイトデーに些細なお返しが出来ればよかったのだろうが、今年の六ヶ原高校の卒業式はホワイトデーのその日にちょうど被ってしまった。
卒業式当日の忙しさを考えれば、お返しを渡せないまま終わってしまうだろう。
「それでも、もし連絡先を知ることがあったら平田からお礼言った方がいいと思うぞ」
「そんなシチュエーション、俺には思い浮かばないんだが」
「そうか?案外あるもんだぜ」
宮坂は含み笑いをした。
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