異世界で高級男娼になりました

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ぬか喜び

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「そりゃ侯爵家お抱えの特殊部隊だな」
「と、とくしゅぶたい」

それってSATとかSSTとかそういう…?

「大方お前の身辺調査でもしてたんだろ。俺の目から見ても最近のアーデルベルトは異様だったからな。過保護な侯爵夫人あたりが手をまわしたんだろ」
「そんな、でも俺は別に、やましいことなんて何も…」
「わかってるよ、お前に他意が無いってことは」

でもあちら側からすればそうもいかねえってことなんだろ、とヴァルターは嘆息する。

「俺、暗殺されちゃうの…?」

そう言ってビビり散らかす暁斗の頭を、ヴァルターはなだめるように優しく撫でる。

「されないされない、お前が無害で善良なただの男娼だってことは充分わかっただろうさ」
「そ、そうかな」
「そうさ、じゃなきゃまず先に俺の首が飛んでる」

碌でも無い男をアーデルベルトに紹介したってな、とヴァルターはそう続ける。う、ううん、わかるようなわからないような、微妙な理屈である…


「それにしてもそんなまわりくどい接触の仕方をするなんてな」

もっと荒っぽい連中なのかと思ったが、意外とそうでもないのかねとヴァルターは首を傾げならそんなことを言う。

「ヴィリ……いや、そいつ、最近この街に越してきたって言ってた。俺も娼館の外のことはよく知らないし、遊べる奴もいなかったから普通に…話すようになって、会えば挨拶したり飲みに行ったりするように…」
「友達になったんだな」
「友達…」

そう言われて、気付いた。ああそうか、ヴィリは最初から自分の向こうにいるアーデルベルトを見ていたのだと。

(そっか、友達だと思ってたのは……俺だけだったか)

ヴィリが自分に接触したのは偶然でもなんでもない。ただの任務、仕事の一環に過ぎなかったのだ。


「…………なんだ、ぬか喜びして、馬鹿みたいじゃん」
「アキト?」
「………ううん、なんでもない」


なんでもないんだ、と言って暁斗は笑う。
何に傷ついているのか、自分でもよくわからなかったから。
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