28 / 41
時と場合を考えて
しおりを挟む
「最近アキトの元気がない気がする」
「は…?」
何を突然言い出すかと思えば、とヴァルターは後ろ髪を掻く。よくもまあこのタイミングで、この状況下でそんな世迷言を口に出来るなと半ばあきれながらも、それでもその呟きの真意を問うように話の水を向ける。これもまあ所謂ひとつの上官の務め、というやつである。(多分違うけど)
「どうしてそう思うんだ?」
「笑っていても、何処か寂しそうに見える。以前と比べて少し、距離が出来たような……そんな気がしてならない」
「ほう、距離ねえ」
何か心当たりはあるのか?と問えば、アーデルベルトは腕を組んで考え込んでしまう。それがまた絵になるような美しさなのが何か解せない。どんな表情もサマになってしまうのが、果たして良いことなのか悪いことなのかこの男を見ているとわからなくなるなあとヴァルターは内心で溜息を吐く。
「アキトにだって、色々あるだろう。悩みもあれば隠しておきたい秘密だってある。なんでもかんでも知りたいと欲張るのは、傲慢だと思うぞ」
「傲慢…」
「お前に出来るのは、精々アキトにとって良い客でいることだけだ。そこのところ、勘違いするなよ?」
「ですが、俺はアキトのことを…」
「あー言うな言うな!それ以上は口にするな」
一度言葉にしちまうとそれは真実になっちまうからな、とヴァルターはアーデルベルトの言葉を遮る。アーデルベルトが何を言わんとしているかなんて百も承知の上で、だがそれを聞いてしまえば確実に巻き込まれるのは目に見えている。
悪いが、そこまで面倒見きれないぜ、というのがヴァルターの本音であった。
「お前がアキトに好意があるのはわかってるさ。というか、ウチの騎士団の殆どの奴がそうだ。この意味、わかるよな?」
「………………」
うわー、怖い怖い、とヴァルターは内心で白目を剥く。めちゃくちゃ睨まれている…美形の鬼の形相ほんとしんどいわあ…
なんて思いつつも顔には出さずにヴァルターは続ける。一時の火遊びならいざ知らず、これ以上本気になられたら双方幸せになんて絶対になれやしない。それがわかっていて背中を押してやるなんて無責任なことは、ヴァルターには出来なかった。
「お前は侯爵家の嫡男だろう。いずれ良家の子女と婚約し、子供を儲ける義務がある」
アキトを一生妾として囲うつもりか?そう問うと、アーデルベルトはぐっと言葉を飲み込むようにその薄い唇を噛み締めた。血が滲む程に、強く。
その様子を見て、やはりヴァルターは溜息を吐く。これ以上の問答は不毛だと言わんばかりにアーデルベルトの肩を叩いてこう告げる。
「………まあ、とりあえずだ。この話は一旦置いておくとして」
今は目の前の魔獣の群れを殲滅することに全力を尽くして欲しいんだがなと、ヴァルターは至極真っ当な意見を口にするのであった。
「は…?」
何を突然言い出すかと思えば、とヴァルターは後ろ髪を掻く。よくもまあこのタイミングで、この状況下でそんな世迷言を口に出来るなと半ばあきれながらも、それでもその呟きの真意を問うように話の水を向ける。これもまあ所謂ひとつの上官の務め、というやつである。(多分違うけど)
「どうしてそう思うんだ?」
「笑っていても、何処か寂しそうに見える。以前と比べて少し、距離が出来たような……そんな気がしてならない」
「ほう、距離ねえ」
何か心当たりはあるのか?と問えば、アーデルベルトは腕を組んで考え込んでしまう。それがまた絵になるような美しさなのが何か解せない。どんな表情もサマになってしまうのが、果たして良いことなのか悪いことなのかこの男を見ているとわからなくなるなあとヴァルターは内心で溜息を吐く。
「アキトにだって、色々あるだろう。悩みもあれば隠しておきたい秘密だってある。なんでもかんでも知りたいと欲張るのは、傲慢だと思うぞ」
「傲慢…」
「お前に出来るのは、精々アキトにとって良い客でいることだけだ。そこのところ、勘違いするなよ?」
「ですが、俺はアキトのことを…」
「あー言うな言うな!それ以上は口にするな」
一度言葉にしちまうとそれは真実になっちまうからな、とヴァルターはアーデルベルトの言葉を遮る。アーデルベルトが何を言わんとしているかなんて百も承知の上で、だがそれを聞いてしまえば確実に巻き込まれるのは目に見えている。
悪いが、そこまで面倒見きれないぜ、というのがヴァルターの本音であった。
「お前がアキトに好意があるのはわかってるさ。というか、ウチの騎士団の殆どの奴がそうだ。この意味、わかるよな?」
「………………」
うわー、怖い怖い、とヴァルターは内心で白目を剥く。めちゃくちゃ睨まれている…美形の鬼の形相ほんとしんどいわあ…
なんて思いつつも顔には出さずにヴァルターは続ける。一時の火遊びならいざ知らず、これ以上本気になられたら双方幸せになんて絶対になれやしない。それがわかっていて背中を押してやるなんて無責任なことは、ヴァルターには出来なかった。
「お前は侯爵家の嫡男だろう。いずれ良家の子女と婚約し、子供を儲ける義務がある」
アキトを一生妾として囲うつもりか?そう問うと、アーデルベルトはぐっと言葉を飲み込むようにその薄い唇を噛み締めた。血が滲む程に、強く。
その様子を見て、やはりヴァルターは溜息を吐く。これ以上の問答は不毛だと言わんばかりにアーデルベルトの肩を叩いてこう告げる。
「………まあ、とりあえずだ。この話は一旦置いておくとして」
今は目の前の魔獣の群れを殲滅することに全力を尽くして欲しいんだがなと、ヴァルターは至極真っ当な意見を口にするのであった。
150
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。
猫宮乾
BL
異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる