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ボコりました
(いずれにしても、このままにはしておけないよな)
今まで反撃しなかったのは事を荒立てたくなかったからだ。ちょっと腹パンされるくらいなんてことない。こっちは若く見えても(こっちの世界じゃかなり年齢より若く見えるらしい)成人済みの社会人だ。それなりの分別もあるし客を取られて腹を立てるヤンの気持ちもわからなくはない、とまで思っていた。
「でも、ここまでいくと、さすがにやり過ぎだよなぁ…」
幸い、支配人はかなりの上機嫌で暁斗を人気の男娼が入る部屋に通してくれた。
この扱いをみるに、店側がそう簡単に暁斗をクビにすることはないだろう。
(ちょっと反撃するくらい、バチは当たらないよな)
なんせこっちは顔を焼かれかけているのだ。
今後またあの暴漢に襲われる可能性がないとは言い切れないが、それはそれ、これはこれ。まあなるようにしかならないだろう。
「……………てなわけで、ついボコっちゃった」
「はぁ、それで謹慎三ヶ月?」
「そそ、減給されなかっただけ良かったけどさー」
それに仕事は普通にさせてもらえてるし、と暁斗は差し入れてもらったスイーツを頬張りながらへらりと笑う。
「でも休日に出歩けないって、結構メンタルきつくない?」
「まあなぁ、でも今不用意に出歩いてまた襲われても嫌だしさ」
どっちにせよ暫くはおとなしくしてるつもりだったんだよ、だからちょうどよかった!などと言う暁斗に、ヴィリは「へぇ」と気のない返事をかえす。
部屋を移動してからというもの、数日置きにヴィリが窓から侵入してくるようになっていた。
恐らくはアーデルベルトの差し金なのだろうが、そのことには互いに触れず、ただ日常にあるなんてことのない会話を交わすだけの時間をまったりと過ごしていた。たまに食べ物や酒を持って来るので泊まりの客がいない時は深夜まで酒盛りをすることも屢々で、今夜もふらりと現れたヴィリ相手に暁斗は先日あった出来事を話して聞かせていたのだった。
「しかし、よく殴ったなその細腕で」
「はあ?これでも俺、結構筋肉あると思うけど?」
「それ、アーデルベルトの身体見た後でも言えるの?」
「いやまぁ、あそこまでじゃないけどさ…」
でもでも、結構きれいに入ったんだよね、と暁斗は笑う。
「ヤンの奴、やり返されると思ってなかったみたいでポカンとしててさ」
「へえ」
「最初から、こうしときゃ良かったのかもな」
変に気なんか使わないでさ、と続ける暁斗の横顔を眺めながら
ヴィリは「そうかもな」と、そう返すしかなかった。
今まで反撃しなかったのは事を荒立てたくなかったからだ。ちょっと腹パンされるくらいなんてことない。こっちは若く見えても(こっちの世界じゃかなり年齢より若く見えるらしい)成人済みの社会人だ。それなりの分別もあるし客を取られて腹を立てるヤンの気持ちもわからなくはない、とまで思っていた。
「でも、ここまでいくと、さすがにやり過ぎだよなぁ…」
幸い、支配人はかなりの上機嫌で暁斗を人気の男娼が入る部屋に通してくれた。
この扱いをみるに、店側がそう簡単に暁斗をクビにすることはないだろう。
(ちょっと反撃するくらい、バチは当たらないよな)
なんせこっちは顔を焼かれかけているのだ。
今後またあの暴漢に襲われる可能性がないとは言い切れないが、それはそれ、これはこれ。まあなるようにしかならないだろう。
「……………てなわけで、ついボコっちゃった」
「はぁ、それで謹慎三ヶ月?」
「そそ、減給されなかっただけ良かったけどさー」
それに仕事は普通にさせてもらえてるし、と暁斗は差し入れてもらったスイーツを頬張りながらへらりと笑う。
「でも休日に出歩けないって、結構メンタルきつくない?」
「まあなぁ、でも今不用意に出歩いてまた襲われても嫌だしさ」
どっちにせよ暫くはおとなしくしてるつもりだったんだよ、だからちょうどよかった!などと言う暁斗に、ヴィリは「へぇ」と気のない返事をかえす。
部屋を移動してからというもの、数日置きにヴィリが窓から侵入してくるようになっていた。
恐らくはアーデルベルトの差し金なのだろうが、そのことには互いに触れず、ただ日常にあるなんてことのない会話を交わすだけの時間をまったりと過ごしていた。たまに食べ物や酒を持って来るので泊まりの客がいない時は深夜まで酒盛りをすることも屢々で、今夜もふらりと現れたヴィリ相手に暁斗は先日あった出来事を話して聞かせていたのだった。
「しかし、よく殴ったなその細腕で」
「はあ?これでも俺、結構筋肉あると思うけど?」
「それ、アーデルベルトの身体見た後でも言えるの?」
「いやまぁ、あそこまでじゃないけどさ…」
でもでも、結構きれいに入ったんだよね、と暁斗は笑う。
「ヤンの奴、やり返されると思ってなかったみたいでポカンとしててさ」
「へえ」
「最初から、こうしときゃ良かったのかもな」
変に気なんか使わないでさ、と続ける暁斗の横顔を眺めながら
ヴィリは「そうかもな」と、そう返すしかなかった。
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