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お仕事ですから
しかしそれから数日後、予期せぬ客がやってきた。
「おう、久しぶりだな」
「………………!」
フードを外した男の顔を見て、暁斗は愕然とする。忘れるはずもない、路地裏で暁斗を襲った、あの男が立っていた。
咄嗟に、危険を知らせる従業員向けのベルに手を伸ばす。だが、途中で考えをあらためた。おそらくここで助けを求めても、魔法を使えるこの男が暁斗を傷つける方が遥かに早い。
(落ち着け)
動揺を悟られぬよう、静かに一呼吸する。狼狽えるな、と自らに強く言い聞かせる。こういう時に大事なのはいかに平静を装えるか、虚勢を張れるかだ。
「いらっしゃいませ、旦那様」
「…まさか、俺を覚えてねえのか?」
「いいえ、しっかり記憶しておりますよ」
一度咥えた男のモノは忘れないタチなので、と下品なジェスチャーをウインクつきでかましてやると、男はプッと噴き出した。あーよかった、とりあえずウケは取れたぜ…
「お前、やっぱ肝が据わってんな」
いい度胸してる、と男は暁斗の脇を通り過ぎ、ソファの上にどっかと座った。ベットをスルーしたのは恐らく意図的なのだろう。話をする、ということでいいのだろうか…
目線だけで着席を促され、おとなしく従う。それほど大きなソファでもないので妙な距離感になってしまった。えっちも無しに男同士でこの距離感は地味にキツい…
「お前のこと逃したせいでヤンにはフラれるわ、殴られたとこは破裂してるわで散々な目にあったぜ」
「それは……どうも、申し訳…」
ないのか…?と思いながらもなんとなくの謝罪を口にする。だが台詞とは裏腹に男からはそれほど怒っている印象は受けない。なんだったらとても、かなり、落ち着いている様子に見える。
「お前、貴族の上客がついてんだろ。そいつの手下か?アレは……かなり乱暴なやり方で忠告してきたぜ。あんなんがいちゃあ俺たちみてえのは手出しが出来ねえ」
「え」
「ヤンの奴はまだあきらめていないかもだが、俺や俺の仲間たちは今後一切お前に危害は加えない。…これでいいだろ?」
「???」
最後の一言は、いったい誰に向けて言ったのだろうか??
と問いたくなるほど男は暁斗を見ずに、虚空に向かってそう呟いた。酷く投げやりな口調である。暁斗が困惑していると、用は済んだとばかりに男は立ち上がり部屋を出て行こうとする。
「えっ、あの、………楽しんでいかないの?」
思わずそう呼び止めた暁斗に、男は面食らったような顔で振り返る。
「…………お前、ほんとすげぇな」
「折角来たんだし、遊んでいきなよ。金払ってるんだろ?」
だったらどんな奴だって大事なお客様だよと暁斗が言うと、男は苦笑して、以降は遠慮なくたっぷり時間いっぱい楽しんでから、上機嫌で帰って行ったのであった。
「おう、久しぶりだな」
「………………!」
フードを外した男の顔を見て、暁斗は愕然とする。忘れるはずもない、路地裏で暁斗を襲った、あの男が立っていた。
咄嗟に、危険を知らせる従業員向けのベルに手を伸ばす。だが、途中で考えをあらためた。おそらくここで助けを求めても、魔法を使えるこの男が暁斗を傷つける方が遥かに早い。
(落ち着け)
動揺を悟られぬよう、静かに一呼吸する。狼狽えるな、と自らに強く言い聞かせる。こういう時に大事なのはいかに平静を装えるか、虚勢を張れるかだ。
「いらっしゃいませ、旦那様」
「…まさか、俺を覚えてねえのか?」
「いいえ、しっかり記憶しておりますよ」
一度咥えた男のモノは忘れないタチなので、と下品なジェスチャーをウインクつきでかましてやると、男はプッと噴き出した。あーよかった、とりあえずウケは取れたぜ…
「お前、やっぱ肝が据わってんな」
いい度胸してる、と男は暁斗の脇を通り過ぎ、ソファの上にどっかと座った。ベットをスルーしたのは恐らく意図的なのだろう。話をする、ということでいいのだろうか…
目線だけで着席を促され、おとなしく従う。それほど大きなソファでもないので妙な距離感になってしまった。えっちも無しに男同士でこの距離感は地味にキツい…
「お前のこと逃したせいでヤンにはフラれるわ、殴られたとこは破裂してるわで散々な目にあったぜ」
「それは……どうも、申し訳…」
ないのか…?と思いながらもなんとなくの謝罪を口にする。だが台詞とは裏腹に男からはそれほど怒っている印象は受けない。なんだったらとても、かなり、落ち着いている様子に見える。
「お前、貴族の上客がついてんだろ。そいつの手下か?アレは……かなり乱暴なやり方で忠告してきたぜ。あんなんがいちゃあ俺たちみてえのは手出しが出来ねえ」
「え」
「ヤンの奴はまだあきらめていないかもだが、俺や俺の仲間たちは今後一切お前に危害は加えない。…これでいいだろ?」
「???」
最後の一言は、いったい誰に向けて言ったのだろうか??
と問いたくなるほど男は暁斗を見ずに、虚空に向かってそう呟いた。酷く投げやりな口調である。暁斗が困惑していると、用は済んだとばかりに男は立ち上がり部屋を出て行こうとする。
「えっ、あの、………楽しんでいかないの?」
思わずそう呼び止めた暁斗に、男は面食らったような顔で振り返る。
「…………お前、ほんとすげぇな」
「折角来たんだし、遊んでいきなよ。金払ってるんだろ?」
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