異世界で高級男娼になりました

文字の大きさ
41 / 62

お仕事ですから

しかしそれから数日後、予期せぬ客がやってきた。



「おう、久しぶりだな」
「………………!」

フードを外した男の顔を見て、暁斗は愕然とする。忘れるはずもない、路地裏で暁斗を襲った、あの男が立っていた。

咄嗟に、危険を知らせる従業員向けのベルに手を伸ばす。だが、途中で考えをあらためた。おそらくここで助けを求めても、魔法を使えるこの男が暁斗を傷つける方が遥かに早い。

(落ち着け)

動揺を悟られぬよう、静かに一呼吸する。狼狽えるな、と自らに強く言い聞かせる。こういう時に大事なのはいかに平静を装えるか、虚勢を張れるかだ。


「いらっしゃいませ、旦那様」
「…まさか、俺を覚えてねえのか?」
「いいえ、しっかり記憶しておりますよ」

一度咥えた男のモノは忘れないタチなので、と下品なジェスチャーをウインクつきでかましてやると、男はプッと噴き出した。あーよかった、とりあえずウケは取れたぜ…


「お前、やっぱ肝が据わってんな」

いい度胸してる、と男は暁斗の脇を通り過ぎ、ソファの上にどっかと座った。ベットをスルーしたのは恐らく意図的なのだろう。話をする、ということでいいのだろうか…

目線だけで着席を促され、おとなしく従う。それほど大きなソファでもないので妙な距離感になってしまった。えっちも無しに男同士でこの距離感は地味にキツい…



「お前のこと逃したせいでヤンにはフラれるわ、殴られたとこは破裂してるわで散々な目にあったぜ」
「それは……どうも、申し訳…」

ないのか…?と思いながらもなんとなくの謝罪を口にする。だが台詞とは裏腹に男からはそれほど怒っている印象は受けない。なんだったらとても、かなり、落ち着いている様子に見える。


「お前、貴族の上客がついてんだろ。そいつの手下か?アレは……かなり乱暴なやり方で忠告してきたぜ。あんなんがいちゃあ俺たちみてえのは手出しが出来ねえ」
「え」
「ヤンの奴はまだあきらめていないかもだが、俺や俺の仲間たちは今後一切お前に危害は加えない。…これでいいだろ?」
「???」

最後の一言は、いったい誰に向けて言ったのだろうか??
と問いたくなるほど男は暁斗を見ずに、虚空に向かってそう呟いた。酷く投げやりな口調である。暁斗が困惑していると、用は済んだとばかりに男は立ち上がり部屋を出て行こうとする。

「えっ、あの、………楽しんでいかないの?」

思わずそう呼び止めた暁斗に、男は面食らったような顔で振り返る。

「…………お前、ほんとすげぇな」
「折角来たんだし、遊んでいきなよ。金払ってるんだろ?」

だったらどんな奴だって大事なお客様だよと暁斗が言うと、男は苦笑して、以降は遠慮なくたっぷり時間いっぱい楽しんでから、上機嫌で帰って行ったのであった。
感想 2

あなたにおすすめの小説

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

拾ってないのに、最上位が毎日“帰る”んですがーー飼い主じゃありません!ただの受付係です!

星乃和花
恋愛
王都ギルド受付係リナは、今日も平和に働く予定だった。 ……のに。 「お腹すいた」 そう言って現れたのは、最上位の英雄レオン。 強いのに生活力ゼロ、距離感ゼロ、甘え方だけは一流。 手当てすれば「危ない」と囲い込み、 看病すれば抱きしめて離さず、 ついには―― 「君が、俺の帰る場所」 拾ってない。飼ってない。 ただ世話を焼いただけなのに、英雄が毎日“帰ってくる”ようになりました。 無自覚世話焼き受付嬢 × 甘えた天然英雄の 距離感バグ甘々ラブコメ、開幕! ⭐︎火木土21:20更新ー本編8話+後日談9話⭐︎

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。