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心境の変化
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(俺って、本当はどうしたいんだろ)
その日の夜は、なんとなく寝付けなかった。
ダームウェルに言われたことと、優しくされたことが交互に脳裏を過ってなんだか胸がモヤモヤして眠れない。
(俺ってそんな、優しくされる価値あんのかな)
この世界にきてやってることといえば、マジでセックスしかない。
金で買われてセックスして、多少甘やかされて自由を与えられて、いざ無理な要求をされたら怖くて逃げ出したくなって…
(…なんて、マジでクズの所業。いい歳の大人としてどうかと思ってきた…)
金で買われたなら、やはりそれだけの恩は返さねばならないのでは?と思う一方で、ダームウェルの台詞が脳裏を過ぎる。
(ダームウェルと逃げる…?レイノルドから?それっていったい、どういうことになるんだろうか…)
ダームウェルとはそういうことをしたこともあったし、つい最近も未遂の一件があったところではあるが、正直な話あの男から特別な感情を抱かれているといった印象はない。
好意は、感じる。だが、それだけだ。大金を払ってもらうほどの熱量がそこに含まれているとは到底思えない。
それならばよっぽどレイノルドの方が自分に執着しているのを感じると、龍之介は思う。
ダームウェルの実体のない好意とレイノルドの執着心を比較してしまえば、信用に足るのはどうしてもレイノルドの方ということになってしまう。
(それは俺が、ダームウェルに何も与えていないからだ)
だから不安になる。優しくされても、どこかでなんでそこまで、と思ってしまう。
(………やっぱり、ちゃんと話し合わないとダメだよなぁ)
今まではただセックスしていれば良かったのが、これからはそのセックスに意味が出来てしまうのだ。
快楽を得る為だけの行為から、子供をつくる為の行為となってしまう。それに、果たして自分は耐えられるのだろうか?と龍之介は真剣に考える。
「………やべ、気分悪くなってきた」
こんなに真剣に物事を考えたことがかつてあっただろうか。否ない。絶対にない。
少し頭を冷やしてこようと、ベッドを出る。
寝ているダームウェルを起こさないよう忍び足で小屋の外に出ると、何故かそこにレイノルドが立っていた。
「!!!!?」
思わず叫びそうになって、慌てて口元を押さえる。
え、マジで?これマジのやつ?夢?幻??と、龍之介は様子を見ながら恐る恐る近づいていく。
手の届くほどの距離まで近づくと、レイノルドの息遣いが聞こえてきた。そこで漸く龍之介はそれが実態の伴ったレイノルド本人だということを理解する。
でもマジで意味わからん。今深夜だし、外寒いし真っ暗だし、なんでこんなところにひとりで立っているのだろうか怖いよホラーだよ…
とか色々考えていたら、抱きしめられていた。その腕も顔も指先も冷え切っていて、いったいいつからこの場所に立っていたのかと思ってしまう。思って、しまった。
「…………風邪ひくぞ」
「………………」
「抱きしめられてんのに、絶妙に寒いし」
「………………」
「…………もう、帰るからさ」
だから、そんな顔すんなよと龍之介は言ってしまった。そんな今にも泣きそうな顔のレイノルドなんて、見たくなかった。
(見なきゃ、よかった)
そうしたら、きっと逃げられたかもしれないのにと、そんなことをぼんやりと考える。
こんな顔を見てしまったら、きっともう、どこにも行けやしない。
(あーあ…)
逃げ損ねてしまったなと、龍之介は苦笑する。
小屋の窓からダームウェルがその様子を見て静かに笑っていたことを、龍之介は知らない。
その日の夜は、なんとなく寝付けなかった。
ダームウェルに言われたことと、優しくされたことが交互に脳裏を過ってなんだか胸がモヤモヤして眠れない。
(俺ってそんな、優しくされる価値あんのかな)
この世界にきてやってることといえば、マジでセックスしかない。
金で買われてセックスして、多少甘やかされて自由を与えられて、いざ無理な要求をされたら怖くて逃げ出したくなって…
(…なんて、マジでクズの所業。いい歳の大人としてどうかと思ってきた…)
金で買われたなら、やはりそれだけの恩は返さねばならないのでは?と思う一方で、ダームウェルの台詞が脳裏を過ぎる。
(ダームウェルと逃げる…?レイノルドから?それっていったい、どういうことになるんだろうか…)
ダームウェルとはそういうことをしたこともあったし、つい最近も未遂の一件があったところではあるが、正直な話あの男から特別な感情を抱かれているといった印象はない。
好意は、感じる。だが、それだけだ。大金を払ってもらうほどの熱量がそこに含まれているとは到底思えない。
それならばよっぽどレイノルドの方が自分に執着しているのを感じると、龍之介は思う。
ダームウェルの実体のない好意とレイノルドの執着心を比較してしまえば、信用に足るのはどうしてもレイノルドの方ということになってしまう。
(それは俺が、ダームウェルに何も与えていないからだ)
だから不安になる。優しくされても、どこかでなんでそこまで、と思ってしまう。
(………やっぱり、ちゃんと話し合わないとダメだよなぁ)
今まではただセックスしていれば良かったのが、これからはそのセックスに意味が出来てしまうのだ。
快楽を得る為だけの行為から、子供をつくる為の行為となってしまう。それに、果たして自分は耐えられるのだろうか?と龍之介は真剣に考える。
「………やべ、気分悪くなってきた」
こんなに真剣に物事を考えたことがかつてあっただろうか。否ない。絶対にない。
少し頭を冷やしてこようと、ベッドを出る。
寝ているダームウェルを起こさないよう忍び足で小屋の外に出ると、何故かそこにレイノルドが立っていた。
「!!!!?」
思わず叫びそうになって、慌てて口元を押さえる。
え、マジで?これマジのやつ?夢?幻??と、龍之介は様子を見ながら恐る恐る近づいていく。
手の届くほどの距離まで近づくと、レイノルドの息遣いが聞こえてきた。そこで漸く龍之介はそれが実態の伴ったレイノルド本人だということを理解する。
でもマジで意味わからん。今深夜だし、外寒いし真っ暗だし、なんでこんなところにひとりで立っているのだろうか怖いよホラーだよ…
とか色々考えていたら、抱きしめられていた。その腕も顔も指先も冷え切っていて、いったいいつからこの場所に立っていたのかと思ってしまう。思って、しまった。
「…………風邪ひくぞ」
「………………」
「抱きしめられてんのに、絶妙に寒いし」
「………………」
「…………もう、帰るからさ」
だから、そんな顔すんなよと龍之介は言ってしまった。そんな今にも泣きそうな顔のレイノルドなんて、見たくなかった。
(見なきゃ、よかった)
そうしたら、きっと逃げられたかもしれないのにと、そんなことをぼんやりと考える。
こんな顔を見てしまったら、きっともう、どこにも行けやしない。
(あーあ…)
逃げ損ねてしまったなと、龍之介は苦笑する。
小屋の窓からダームウェルがその様子を見て静かに笑っていたことを、龍之介は知らない。
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