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そのスープは芋と肉片がゴロゴロと浮いていた。それに果物をすりつぶしたものを加えて塩気を和らげてある。実にスープだけで腹いっぱいになりそうな食べ応えのあるだろうスープだった。
「これは」
アンナの作ったスープを飲んで料理人たちは息をのんだ。
「なるほどスープで薄めるのか」
「あの今まではいったいどうしていたんですか?」
本気で素朴な疑問だったのだが、あっさりと答えられた。
「焼いて、そのまま食べていた」
アンナはテーブルに頭を打ち付けそうになった。
いくらなんでも塩辛い塩漬け肉をそのまま焼いて食べるなんてそんなのは拷問とそう変わらない。
「よくそんなの食べてましたね」
塩漬け肉を焼いた後、細かく刻んで潰した芋と合わせたことはあったが。それを丸めて焼くとなかなかおいしい軽食になる。
「なんといっていいのかわからんが、採用だ」
アンナはそう言われて頷いた。どうせここから出られないなら、幽閉よりは働いていたほうがいい。
アンナの提案した塩漬け肉入りスープは今まで以上に肉が食べられるというので竜騎兵に大いに受け入れられた。
そしてアンナは肉入りのつぶし芋団子の軽食をせっせと作り日々だった。
そして牢につながれたままのゴロウアキマサに毎日料理を届けながらエドワードはどうしているのだろうねとつぶやく日々。
「なんか知ら考えてるよ、多分、ただここで俺らのできることはあんまりねえな」
芋団子をむしむしと食べながらゴロウアキマサはそう答えた。
「できれば出してあげたいけど」
料理を届けるのが精いっぱいだ。牢の鍵は鍵付きの金庫にしまわれたままだ。
エドワードはまずウィルファとして会える人間を目標とした。
手にはアンナ特性のベーコンとソーセージを持って。
そして訪ねたのは貴族の中でもそれなりの地位を持つ政治家のところだ。
壮麗な屋敷に土地の高い首都とは思えないほど広い庭園を持っている。
今自分は赤い花で覆われている。
この庭は季節によって花の色が変わる。
その季節に花の咲く時期に合わせてその色の花だけを植えてあるのだ。
それがこの屋敷の主の趣味なのだろう。
イングリッシュガーデンとは違うが、この国は庭園を楽しむ趣向がある。
エドワードは主に会いたい旨を伝えて客間に通された。
「久しぶりだな、ウィルファ」
自分の今の父親の従兄弟であり、こちらの事業を少々胡散臭く思っている御仁だ。しかしエドワードはにこやかに頷く。
「お久しぶりです、叔父上」
便宜上の呼び名を用いた後手土産のベーコンとソーセージを渡す。
「これは異世界の料理です、ですが、すぐ食べきってはいけませんよ、これはかなり長時間食べることができる食材なのです。これをぜひ叔父上に食べていただきたくて」
「ほう、それだけか?」
「ええ、今日のところは」
そう言ってエドワードはあっさりとその場を離れた。
そうしたことを毎日繰り返し、一週間後にようやく最初の連絡が来た。
「どういうことだ、あの肉、一週間たっても痛んでいないぞ」
「そのように加工してありますから、そしてその件について詳しい話をぜひさせていただけませんか?」
そして、似たような問い合わせは次々とエドワードのところに届く。
「根回しはこんなところでいいか」
後はゴロウアキマサをアンナを迎えに行くまでだ。
「これは」
アンナの作ったスープを飲んで料理人たちは息をのんだ。
「なるほどスープで薄めるのか」
「あの今まではいったいどうしていたんですか?」
本気で素朴な疑問だったのだが、あっさりと答えられた。
「焼いて、そのまま食べていた」
アンナはテーブルに頭を打ち付けそうになった。
いくらなんでも塩辛い塩漬け肉をそのまま焼いて食べるなんてそんなのは拷問とそう変わらない。
「よくそんなの食べてましたね」
塩漬け肉を焼いた後、細かく刻んで潰した芋と合わせたことはあったが。それを丸めて焼くとなかなかおいしい軽食になる。
「なんといっていいのかわからんが、採用だ」
アンナはそう言われて頷いた。どうせここから出られないなら、幽閉よりは働いていたほうがいい。
アンナの提案した塩漬け肉入りスープは今まで以上に肉が食べられるというので竜騎兵に大いに受け入れられた。
そしてアンナは肉入りのつぶし芋団子の軽食をせっせと作り日々だった。
そして牢につながれたままのゴロウアキマサに毎日料理を届けながらエドワードはどうしているのだろうねとつぶやく日々。
「なんか知ら考えてるよ、多分、ただここで俺らのできることはあんまりねえな」
芋団子をむしむしと食べながらゴロウアキマサはそう答えた。
「できれば出してあげたいけど」
料理を届けるのが精いっぱいだ。牢の鍵は鍵付きの金庫にしまわれたままだ。
エドワードはまずウィルファとして会える人間を目標とした。
手にはアンナ特性のベーコンとソーセージを持って。
そして訪ねたのは貴族の中でもそれなりの地位を持つ政治家のところだ。
壮麗な屋敷に土地の高い首都とは思えないほど広い庭園を持っている。
今自分は赤い花で覆われている。
この庭は季節によって花の色が変わる。
その季節に花の咲く時期に合わせてその色の花だけを植えてあるのだ。
それがこの屋敷の主の趣味なのだろう。
イングリッシュガーデンとは違うが、この国は庭園を楽しむ趣向がある。
エドワードは主に会いたい旨を伝えて客間に通された。
「久しぶりだな、ウィルファ」
自分の今の父親の従兄弟であり、こちらの事業を少々胡散臭く思っている御仁だ。しかしエドワードはにこやかに頷く。
「お久しぶりです、叔父上」
便宜上の呼び名を用いた後手土産のベーコンとソーセージを渡す。
「これは異世界の料理です、ですが、すぐ食べきってはいけませんよ、これはかなり長時間食べることができる食材なのです。これをぜひ叔父上に食べていただきたくて」
「ほう、それだけか?」
「ええ、今日のところは」
そう言ってエドワードはあっさりとその場を離れた。
そうしたことを毎日繰り返し、一週間後にようやく最初の連絡が来た。
「どういうことだ、あの肉、一週間たっても痛んでいないぞ」
「そのように加工してありますから、そしてその件について詳しい話をぜひさせていただけませんか?」
そして、似たような問い合わせは次々とエドワードのところに届く。
「根回しはこんなところでいいか」
後はゴロウアキマサをアンナを迎えに行くまでだ。
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