7 / 36
生存者あり?
しおりを挟む
ジンジャーが読んできた医者により、パールはさっさと連れていかれた。
「手当が終わったら話はできるかね」
ミントが呟く。
もしパールが中級妃なら、奥のほうから脱出してきたことになる。守護の腕輪があったとしても相当な悪運だ。
「そうね、どの程度の情報がとれるかわからないけど、さっきよりはましな話が聞けそうよね」
ジンジャーが同意する。
「でもさ、もうすぐ三週間だよ、何食べてたの?」
後宮内に備蓄食料があったのだろうか。あったとしてもおかしくないが。
バジリコは後宮内の地図を用意するようにと依頼したがあっさりと断られた。なぜなら後宮の建物が完成すると同時に廃棄したからだという。
後宮内は許された宦官が隅から隅まで記憶しているという。ならば案内人にその宦官を貸せと言ったがそれも断られた。
実にやさしくない依頼人たちだ。
「処置が終わったとのことです」
メイドさんがやってきた。
「話はできそう?」
ジンジャーが代表として聞く。
「はい」
先ほどのシトリンより上等な部屋にパールはいた。
パールは銀髪に抜けるような白い肌。そして赤い目をしていた。
アルピノという言葉がふとバジリコの脳裏に思い浮かんだ。その珍しい容姿ゆえに後宮に収められたのだろうか。
「私は、自分の意思で後宮を出てはいけなかったのに」
パールは自責するように呻く。
「とどまらねばならなかったの」
いや無事に逃げ延びることができて運がよかったと思わないのか。
その場にいた四人の心が一つになった。
いきなり立派な格好をした人たちの一団が飛び込んできた。
パールは身を伏して謝った。
「申し訳ありませんお父様、私は命惜しさに家を危うくしました」
そう言って泣き伏す。
「ああ~」
ミントが小さく手を打った。
「多分中級妃あたりは人質も兼ねているんだろうね、下級貴族なら家の規模もたかが知れている。単なる人数合わせだから出入りは多少の制限で済む。でも規模の大きい家なら妃が勝手に出るのは謀反を疑われる可能性があるってとこか」
ミントは没落したお嬢様上がりだ、政治というものに一番詳しい。
愁嘆場が終わるまで聞き取りは中断した。
「インペリア様、パパラチア様、バライバ様のいらっしゃるところは防御陣が張り巡らされているため無事です。そこにこもっている者達もいますが。後、食堂も何故か無事です。もしかしたら結界が帳られているのかもしれませんわ」
これには心底びっくりした。本当にいたよ生存者。
「そんな丈夫な結界が張られている場所があるの」
ジャスミンが何か引っかかった顔をした。
「それで具体的な地形とかは?」
「覚えておりません、私も進むときは無我夢中で」
その言葉にがっくり来た。
せめてそのインぺリア様やバライバ様パパラチア様とやらの居住空間の具体的な場所を聞いておきたかったが。
「多分大分迷ったと思います、最初に宦官の案内で連れてこられた倍以上歩いたと思いますし」
そう言われてしまえばどうしようもない。
そこで話を終えようとしたところでまた立派な衣装を着た人たちが現れた。
「うちの娘を知らないか?」
息せきっている。
「薔薇をかたどった腕輪をした遺体を見ましたわ、顔はつぶれていたけれど、あれはコーラルの腕輪でしたね」
パールは無情に答えた。
「手当が終わったら話はできるかね」
ミントが呟く。
もしパールが中級妃なら、奥のほうから脱出してきたことになる。守護の腕輪があったとしても相当な悪運だ。
「そうね、どの程度の情報がとれるかわからないけど、さっきよりはましな話が聞けそうよね」
ジンジャーが同意する。
「でもさ、もうすぐ三週間だよ、何食べてたの?」
後宮内に備蓄食料があったのだろうか。あったとしてもおかしくないが。
バジリコは後宮内の地図を用意するようにと依頼したがあっさりと断られた。なぜなら後宮の建物が完成すると同時に廃棄したからだという。
後宮内は許された宦官が隅から隅まで記憶しているという。ならば案内人にその宦官を貸せと言ったがそれも断られた。
実にやさしくない依頼人たちだ。
「処置が終わったとのことです」
メイドさんがやってきた。
「話はできそう?」
ジンジャーが代表として聞く。
「はい」
先ほどのシトリンより上等な部屋にパールはいた。
パールは銀髪に抜けるような白い肌。そして赤い目をしていた。
アルピノという言葉がふとバジリコの脳裏に思い浮かんだ。その珍しい容姿ゆえに後宮に収められたのだろうか。
「私は、自分の意思で後宮を出てはいけなかったのに」
パールは自責するように呻く。
「とどまらねばならなかったの」
いや無事に逃げ延びることができて運がよかったと思わないのか。
その場にいた四人の心が一つになった。
いきなり立派な格好をした人たちの一団が飛び込んできた。
パールは身を伏して謝った。
「申し訳ありませんお父様、私は命惜しさに家を危うくしました」
そう言って泣き伏す。
「ああ~」
ミントが小さく手を打った。
「多分中級妃あたりは人質も兼ねているんだろうね、下級貴族なら家の規模もたかが知れている。単なる人数合わせだから出入りは多少の制限で済む。でも規模の大きい家なら妃が勝手に出るのは謀反を疑われる可能性があるってとこか」
ミントは没落したお嬢様上がりだ、政治というものに一番詳しい。
愁嘆場が終わるまで聞き取りは中断した。
「インペリア様、パパラチア様、バライバ様のいらっしゃるところは防御陣が張り巡らされているため無事です。そこにこもっている者達もいますが。後、食堂も何故か無事です。もしかしたら結界が帳られているのかもしれませんわ」
これには心底びっくりした。本当にいたよ生存者。
「そんな丈夫な結界が張られている場所があるの」
ジャスミンが何か引っかかった顔をした。
「それで具体的な地形とかは?」
「覚えておりません、私も進むときは無我夢中で」
その言葉にがっくり来た。
せめてそのインぺリア様やバライバ様パパラチア様とやらの居住空間の具体的な場所を聞いておきたかったが。
「多分大分迷ったと思います、最初に宦官の案内で連れてこられた倍以上歩いたと思いますし」
そう言われてしまえばどうしようもない。
そこで話を終えようとしたところでまた立派な衣装を着た人たちが現れた。
「うちの娘を知らないか?」
息せきっている。
「薔薇をかたどった腕輪をした遺体を見ましたわ、顔はつぶれていたけれど、あれはコーラルの腕輪でしたね」
パールは無情に答えた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました
Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。
そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。
それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。
必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが…
正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる