後宮ダンジョン

karon

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側室オパールの回想5

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 何とか無事だった箪笥からオパールは生成りの麻のショートドレスにマントを羽織り、膝までのブーツという姿になった。
 麻のショートドレスは鍛錬用のものだ。
 そして赤い髪はスカーフで覆い食料を少し分けてもらった。
 本来ならば途中で食事をとるほどの距離ではないのだが、それは普通に歩いた場合。今の状況ならその数倍の時間がかかると踏んでいた。
 利き手に付け爪をして、腰に太いベルトを巻く。
 付け爪は精緻な彫刻が施された金属でできている。先端は鋭くとがり、至近距離魔できた相手に使うようだった。
 小さな宝石のついた首飾りを五連付け左右の耳にもイヤリングを三つ付けた。。宝石は魔法の触媒として使う。
 そこまでの装備を整えて、オパールは上級妃のいる場所まで出発することにした。
 他の何とか無事だった品物は調理場で預かってもらっている。
 そして、オパールは見覚えがあるが変わり果てた道を進んだ。
 数歩も歩かないうちに鼻をつく生臭いにおい。
 人間の残骸が落ちていた。
 死んでさして経っていないはずなのに、遺体は残骸と言ってもいいくらい壊れていた。
 ざっと見た限りではそれが誰であるかはわからない。パールはコーラルの指輪で確認したと言っていたがそれらしい装身具も落ちていない。
 あきらめてオパールは先に進んだ。
 オパールの首めがけて飛んできたものをオパールは爪ではじく。
 はじいたものから何かがしたたり落ちた。そしてしたたり落ちた雫から薄く煙が上がった。
 どうやらさっきの遺体はこれにやられたらしい。
 イヤリングを一つ外して封じておいた魔術を解放する。まばゆい光がイヤリングの宝石から放たれた。
 オパールが目を細め光を直視しないようにした。
 そしてオパールがもう一度目を開くとそれは焼き尽くされた後だった。
 魔力切れになったイヤリングを放り投げるとオパールは先に進んだ。
 かつては真ッ平らだった廊下はでこぼこができて歩きにくく、訳の分からない植物が視界を遮る。
 果たして自分は本当に目的地にまっすぐ歩いているのかそれも不安になりそうだ。
 そして、遺体が点々と見つかった。
 遺品と見られる装身具も。
 おそらく異変が起きた時にオパールたちはまず食堂に向かったが指示を仰ぐために上級妃のいる場所に向かったものも相当数いたらしい。
 巨大な蜥蜴五匹と相対しながらオパールはそう考える。大きさはオパールと同じくらいか。
 基本的に他の妃と仇討ちをしてやるほど親しかったわけではない。いやいざとなったら命のやり取りをする可能性すらある相手だった。
 オパールのチャクラムはある程度距離を置いて攻撃ができる。それが強みだった。
 オパールのチャクラムはあっさりと蜥蜴の首を斬っていく。ぐちゃぐちゃしたわけのわからない生き物だと、どこが急所だかわからないので魔法で吹っ飛ばすが、四つ足の生き物だと弱点がよくわかる。
 最後の一匹そう思ったオパールの前で、いきなりその一匹が真っ二つになった。
 大剣を手にした。黒髪の女が立っていた。
 軽甲冑に身を包んだその女はオパールを見下ろす。
 中肉中背のオパールに比べて大分長身だ。
「サファイア様」
 オパールは膝をつく。三人の上級妃のうちの一人だった。
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