寓意による遺言

karon

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 俺の前には六人の女達。そして山田さんと斎藤さん。そして刑事の岡崎さん。
 姉貴と他五名。プラス四名の九人でファミレスの島になった場所の三つのテーブルを占拠している。
 姉貴と同じ真面目系の三人、そしていわゆる遊んでる系が三人。きっちり分かれている。
 牧羽鏡子と姉貴そして八ツ屋未来が真面目系。扇谷誠が際立ってけばいが、新藤真理も姉貴と同級生だが、明らかにタイプが違う。佐藤絵里も来ているものが原色系でメイクもチャラい。
 チャラいグループと地味グループで別れて座っている。
「とりあえず、死亡時点で、二階堂が蝶の絵の付いた扇を握り、鏡を指す姿勢で倒れていた。ここまでが前提です」
 俺がそういうと、岡崎さんが苦い顔をしている。しかし、すでにあっちこっちでばれている内容、俺がここで話したところで大した問題はないと思う。
「ちょっと、つまりあたしが疑われているってわけ」
 扇と聞いて、扇谷誠が立ち上がる。
「冗談じゃないわ、私にはアリバイがあるって言ったでしょう」
「アリバイって?」
 俺には初耳だが。
「この女と合っていたのよ」
 そう言って姉貴を指さした。
「姉貴?」
「だって、その、私、言われるまで知らなかったって言っちゃったし」
 嘘をついてしまって、引くに引けなくなってしまったらしい。とりあえず後で殴る。
「後ろ姿だけだが、その着ているコートを店の防犯ビデオではきっちりボタンを留めてきていたか?まあ、角度が悪くて扇谷もそれほどはっきり映っていないんだが」
 岡崎さんが眉をしかめる。
 本日の姉貴はクリーム色のシャツワンピースの前をあけて着て下にこげ茶のワンピースを着ている。太ったのを気にして、目の錯覚で細く見えるコーデだ。
 そしてボタンを留めていないのは太って留められなかったのか。
「アリバイって?」
「死亡推定時刻、被害者はまず腹を刺され、周囲を逃げ回った末に倒れ、背中を刺されてとどめ、つまり死亡推定時刻に犯人は現場にいたってことだな」
「その時間アリバイがあると」
 何でそんなわけの分からない嘘をついた。そのわけのわからん行動のせいでどれだけ人が迷惑したかと。
「だって、私、この人が二階堂さんの恋人だって、私は遊ばれていたって言われて、信じたく
なくて」
 姉貴はべそべそ泣きだしたが、俺は白けた視線を送った。
 いい加減悲劇のヒロインごっこはやめとけと。
 そして牧羽鏡子は真っ蒼になっている。ここ一番の容疑者が消えたことになる。
「まあ、きっちりとどめまで刺しているにもかかわらず、どうしてダイイングメッセージを消さなかったのかが問題なわけで」
 俺は最初の疑問に移った。
「鏡ですが、これに書いてあります。僕の証言だけじゃ疑うでしょう」
 そう言って取り出したのは、漫画本だった。
「栞を挟んだところを開いてください」
 美術品を扱うキュレーターの漫画だと説明をしてくれた。
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