9 / 11
9
しおりを挟む
暗号は解けた、後は警察にどうこれを伝えるか。俺は山田さんに相談することにした。
俺としてもさっさとケリをつけてしまいたい。
「あのね、確かにつじつまは合う、動機に関してはどうも扇谷誠以外にはほぼ全員あると言ってもいい」
扇谷誠は二階堂の多角関係をずいぶん前から知っていて面白がって付き合っていた。それは調べで裏が取れているんだとか。
「まあ、蝶子さんは家族に見せて体裁のいい彼女って役割だろうね、一応まあ、上品な見た目だ」
山田さんはちょっと言葉を選んでくれた。
まあ、多少の劣化は見られるが、それでも一般よりましなのかね。
「斎藤さんにも来てもらって、警察に訊いてもらおうか」
「こじつけにも思えるが、一応調べるだけ調べてもらわないと」
山田さんはそう言った。
「犯人が分かっただと?」
俺の単刀直入の言い分に相手は敬語を忘れたようだ。どうすんだ公務員。
七三分けのいわゆるちゃんとした大人の格好をした刑事さん。これが丸棒だとどこから見ても立派なチンピラらしい。
「あのな、お姉さんが心配なのはわかるが、わざわざ疑われていない人間に罪を押し付けるのはどうかと思うが」
「警察の安直な思い込みで、丼だけ冤罪事件が起きたかを考えると、ちょっと行ってみたくなっただけです」
俺は単に事実を告げただけである。実際に冤罪で十数年刑務所に送られた人、この人に支払った慰謝料は税金なのだ。
警察は慎重であってほしいもんである。
「実際、ダイイングメッセージはもう一つあったんですよね、鏡が」
俺がそういうと刑事さんの顔色が変わった。
「それは捜査上の機密だろう何故知っている?」
「あの、あのマンションで、親御さんが死体を発見した時駆け付けたおばさんがいたんじゃないですか、あの人あっちこっちで言いふらしてるみたいですよ」
ぐらっと刑事さんがよろめいた。
捜査上の機密を言いふらしているおばさん。あまりにも詰めが甘すぎた。
「あのばばぁ」
とりあえず、聞かなかったことにした。
「それでですね、こちらの斎藤さんが、その鏡について教えてくれたんですよ」
「鏡って何のこと?」
いきなり後ろから声をかけられた。
背後にいたのは見知らぬ女。誰だろ。
「牧羽さん」
青ざめた顔でガタガタ震えているこの女が牧羽鏡子、つまりダイイングメッセージに残された二人目か。
「私、疑われているの、だから呼び出されたの」
だいぶ動揺しているらしい、持っているハンドバッグが小刻みに震えている。
「ええと、それを話しに来たんですよ」
いきなりハンドバッグで殴られた。
「あんたの身内が犯人じゃないって思いこませようとしてるのね」
牧羽鏡子は山田さん曰く親受けのよさそうな地味な女性だった。
「疑ってませんよ、貴女が犯人なら、どうして死体を蹴飛ばして、鏡からずらさなかったんですか?」
鏡子さんは沈黙した。
「うちの姉にしてもそうです、蝶の絵の付いたものを握って死んだなら、それをもぎ取って持ち去るくらいするはずです何故しなかったんでしょう」
そして俺は周囲を見回して言った。
「犯人はそれが自分を指すものだとわからなかった」
「それはあくまでこじつけだ」
七三分け刑事はあくまで言い切った。
俺としてもさっさとケリをつけてしまいたい。
「あのね、確かにつじつまは合う、動機に関してはどうも扇谷誠以外にはほぼ全員あると言ってもいい」
扇谷誠は二階堂の多角関係をずいぶん前から知っていて面白がって付き合っていた。それは調べで裏が取れているんだとか。
「まあ、蝶子さんは家族に見せて体裁のいい彼女って役割だろうね、一応まあ、上品な見た目だ」
山田さんはちょっと言葉を選んでくれた。
まあ、多少の劣化は見られるが、それでも一般よりましなのかね。
「斎藤さんにも来てもらって、警察に訊いてもらおうか」
「こじつけにも思えるが、一応調べるだけ調べてもらわないと」
山田さんはそう言った。
「犯人が分かっただと?」
俺の単刀直入の言い分に相手は敬語を忘れたようだ。どうすんだ公務員。
七三分けのいわゆるちゃんとした大人の格好をした刑事さん。これが丸棒だとどこから見ても立派なチンピラらしい。
「あのな、お姉さんが心配なのはわかるが、わざわざ疑われていない人間に罪を押し付けるのはどうかと思うが」
「警察の安直な思い込みで、丼だけ冤罪事件が起きたかを考えると、ちょっと行ってみたくなっただけです」
俺は単に事実を告げただけである。実際に冤罪で十数年刑務所に送られた人、この人に支払った慰謝料は税金なのだ。
警察は慎重であってほしいもんである。
「実際、ダイイングメッセージはもう一つあったんですよね、鏡が」
俺がそういうと刑事さんの顔色が変わった。
「それは捜査上の機密だろう何故知っている?」
「あの、あのマンションで、親御さんが死体を発見した時駆け付けたおばさんがいたんじゃないですか、あの人あっちこっちで言いふらしてるみたいですよ」
ぐらっと刑事さんがよろめいた。
捜査上の機密を言いふらしているおばさん。あまりにも詰めが甘すぎた。
「あのばばぁ」
とりあえず、聞かなかったことにした。
「それでですね、こちらの斎藤さんが、その鏡について教えてくれたんですよ」
「鏡って何のこと?」
いきなり後ろから声をかけられた。
背後にいたのは見知らぬ女。誰だろ。
「牧羽さん」
青ざめた顔でガタガタ震えているこの女が牧羽鏡子、つまりダイイングメッセージに残された二人目か。
「私、疑われているの、だから呼び出されたの」
だいぶ動揺しているらしい、持っているハンドバッグが小刻みに震えている。
「ええと、それを話しに来たんですよ」
いきなりハンドバッグで殴られた。
「あんたの身内が犯人じゃないって思いこませようとしてるのね」
牧羽鏡子は山田さん曰く親受けのよさそうな地味な女性だった。
「疑ってませんよ、貴女が犯人なら、どうして死体を蹴飛ばして、鏡からずらさなかったんですか?」
鏡子さんは沈黙した。
「うちの姉にしてもそうです、蝶の絵の付いたものを握って死んだなら、それをもぎ取って持ち去るくらいするはずです何故しなかったんでしょう」
そして俺は周囲を見回して言った。
「犯人はそれが自分を指すものだとわからなかった」
「それはあくまでこじつけだ」
七三分け刑事はあくまで言い切った。
1
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる