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定石を踏む
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佐藤和夫は中肉中背よりやや細くやや背が高い。あくまでややだ。
適度に乱れた七三分け、グレイのスーツという定番の格好に今日は紺のストライプのネクタイ。
彼のなけなしのしゃれっ気だった。
それにいつもと違うのは真っ白なマスクをつけているということ。この町では風邪が流行っているというので、その姿が浮くことはなかった。
どんな時でも風景に埋没する。それが彼のクオリティだった。
彼は小さなビジネスホテルに滞在中、それがあてがわれた場所だった。
マスクを外して、大きく伸びをする。マスクは基本的に気休めだ。マスクにウィルスを遮断する効果がないのになぜするかと言えば、呼吸器は基本的に湿気を愛するからに他ならない。
犬の鼻が濡れていれば健康というのも犬の鼻孔が湿気を含むようにするからだ。
マスクにより呼吸器の乾燥を防げば、免疫細胞が多少活性化する。その程度の効果でしかないがないよりましだ。
パソコンをアタッシュケースから取り出し、コードをつなぐ。
今どきはどんなへき地のホテルでもWi-Fiは常備している。
テロリストによる細菌テロ、それはまあいろいろだ、一番簡単な細菌による水質汚染もあるし、多少最近について知識のあるものなら報道された瞬間に爆笑したボツリヌス菌を空中散布。
嫌気性細菌を空中散布してどうする気だったのか。人間が呼吸できる程度の酸素があれば活動できなくなるというのに。
ωSIN理狂がやらかしたものである。ふつうにテロに使える炭疽菌と並んでいたのが一層の笑いを誘った。
そんなおまぬけ事件はいいとして、パソコンでインターネットを開く。
グーグルで検索してみたが、事件はいまだ表面化していない。
それは町の出入り口である道路が封鎖されていないことからも分かるが、表面化する前に何とかしろというのが上のお達しだが、具体的な時間は一切教えてもらえないのがつらい。
そして外部からのフォローも0。
食事はレンジアップが部屋の中でできるように電子レンジ付き。食堂がないので、弁当をテイクアウト方式だ。
電子レンジ加熱を生き延びる細菌もウィルスもいないので、これはこれでありがたい。
ホテルにたどり着く前にざっと町を見てみた限り、飲食店は複数あったので、普通はそうした店で食事をする前提なのだろう。
備え付けの電気ポットの中身を一応水道水を入れ替えて沸かし、持参したコーヒーを入れる。
すでに盗聴されていることは分かっている。
無駄にあちこち探しまわるより向こうからの接触待ちのほうが効率がいい。
だが佐藤はこういう待ち時間がそれほど好きではなかった。
「ああ、なるほど、中心はあそこか」
グーグルマップで地図を確認した。出所は病院。院内感染は王道というところだろう。
半端に知恵が回る。
佐藤は唇をゆがめた。
佐藤はあからさまに怪しいものを持ち歩く習慣はない。
仕事はあくまで、ありふれた事故などに見せかけるのが定番だからだ。
だからうかつに荷物をあさられたとしても痛くもかゆくもない。持たないという強みだ。
爆発物取り扱い免許は持っているが、本日は用意していない。
まあ、ホームセンターで仕入れられるようなもので爆発物ぐらい簡単に作れるのだから持っていなくても支障はない。
適度に乱れた七三分け、グレイのスーツという定番の格好に今日は紺のストライプのネクタイ。
彼のなけなしのしゃれっ気だった。
それにいつもと違うのは真っ白なマスクをつけているということ。この町では風邪が流行っているというので、その姿が浮くことはなかった。
どんな時でも風景に埋没する。それが彼のクオリティだった。
彼は小さなビジネスホテルに滞在中、それがあてがわれた場所だった。
マスクを外して、大きく伸びをする。マスクは基本的に気休めだ。マスクにウィルスを遮断する効果がないのになぜするかと言えば、呼吸器は基本的に湿気を愛するからに他ならない。
犬の鼻が濡れていれば健康というのも犬の鼻孔が湿気を含むようにするからだ。
マスクにより呼吸器の乾燥を防げば、免疫細胞が多少活性化する。その程度の効果でしかないがないよりましだ。
パソコンをアタッシュケースから取り出し、コードをつなぐ。
今どきはどんなへき地のホテルでもWi-Fiは常備している。
テロリストによる細菌テロ、それはまあいろいろだ、一番簡単な細菌による水質汚染もあるし、多少最近について知識のあるものなら報道された瞬間に爆笑したボツリヌス菌を空中散布。
嫌気性細菌を空中散布してどうする気だったのか。人間が呼吸できる程度の酸素があれば活動できなくなるというのに。
ωSIN理狂がやらかしたものである。ふつうにテロに使える炭疽菌と並んでいたのが一層の笑いを誘った。
そんなおまぬけ事件はいいとして、パソコンでインターネットを開く。
グーグルで検索してみたが、事件はいまだ表面化していない。
それは町の出入り口である道路が封鎖されていないことからも分かるが、表面化する前に何とかしろというのが上のお達しだが、具体的な時間は一切教えてもらえないのがつらい。
そして外部からのフォローも0。
食事はレンジアップが部屋の中でできるように電子レンジ付き。食堂がないので、弁当をテイクアウト方式だ。
電子レンジ加熱を生き延びる細菌もウィルスもいないので、これはこれでありがたい。
ホテルにたどり着く前にざっと町を見てみた限り、飲食店は複数あったので、普通はそうした店で食事をする前提なのだろう。
備え付けの電気ポットの中身を一応水道水を入れ替えて沸かし、持参したコーヒーを入れる。
すでに盗聴されていることは分かっている。
無駄にあちこち探しまわるより向こうからの接触待ちのほうが効率がいい。
だが佐藤はこういう待ち時間がそれほど好きではなかった。
「ああ、なるほど、中心はあそこか」
グーグルマップで地図を確認した。出所は病院。院内感染は王道というところだろう。
半端に知恵が回る。
佐藤は唇をゆがめた。
佐藤はあからさまに怪しいものを持ち歩く習慣はない。
仕事はあくまで、ありふれた事故などに見せかけるのが定番だからだ。
だからうかつに荷物をあさられたとしても痛くもかゆくもない。持たないという強みだ。
爆発物取り扱い免許は持っているが、本日は用意していない。
まあ、ホームセンターで仕入れられるようなもので爆発物ぐらい簡単に作れるのだから持っていなくても支障はない。
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