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殺せ
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眼下に間抜けな死に顔があった。
目をむき、その目と鼻と口と耳、東部にあるすべての穴から、血を噴出している。
小柄な少女とはいえ、その全体重を込めた一撃を頭部に食らったのだ、助かるはずはなかった。
月姫は再び武器を構える。
元が鉈の食い込んだ死体を蹴り飛ばして鉈を外す。死体は小刻みに痙攣していたがやがて止まった。
ぬかるむほどの血が地面を汚した。
まともに戦うなと老師は言った。相手は訓練した軍人。ちょっと鍛えただけの民間人が勝てる相手ではない。
勝機を狙うなら不意打ちしかない。
その通りだった。上から飛び降りて攻撃してくるとは誰も思わなかったのだろう。あっさりと殺すことができた。だが、それ以上は無理だろう。
そっと目を伏せた。これから自分たちは殺されるだろう、そして今から考えることは、どれほど道連れを作れるかだ。
仲間が笛を吹いた。作戦成功を知らせる笛だ。
首謀者と思しいものを殺したらその時は笛を吹くとあらかじめ決めていた。
そして、再び武器をうならせた。
呆気にとられていたのだろう、あっさりと当たった、しかしそこまでだ。
斬りかかってきた、何とか武器の鉈で応戦しているが、力負けしそうになっている。
しょせんは体格が違いすぎる。
できれば慰み者に使用などと考えず、あっさりと殺してほしいな。そう思いつつ武器を振り回す。
それなりに距離を置ける武器だ。若い娘だから、近寄られたら終わりだ。
そのため娘達は遠距離から攻撃できるような武器を重点的に訓練された。
ついに一人、斬り伏せられた。
このまま崩れていくのか。月姫は小さく舌打ちした。
それでも、一人でも多く道連れにすることはあきらめない。
弟を生き延びさせるたった一つの方法だからだ。
身を伏せて突っ込んできたやつがいた。とっさの対処が遅れた。
身体を掴まれ地面に叩きつけられる。
まるで人形のように地面に激突した。木の枝が折れるような音がしたが、折れたのはたぶん自分の骨だろう。
「月姫」
仲間の悲鳴のような声。
月姫は地にに伏せながらのたうつ。腕は折れていない。
のたうちながら態勢を整え、短剣を何本か隠し持っていたそれを投げた。
毒はきちんと塗ってある。一人でも多く殺す。そのための準備は怠らない。
何も言葉を発しない月姫に不気味さを感じたようだった。敵が遠巻きにざわめく。
月姫としては、言葉など不要だ、解りたいことも、解ってほしいこともない、あるのはただ殺すということ。
短剣はまだある。とにかく、一人でも多く。
立つことはできない、足がいびつに曲がっている。それでも殺す。
月姫は乾いた眼で短剣と敵の位置を目測で測っていた。
仲間もそれぞれ傷つき、すでに地に付しピクリとも動かない者もいる。
最後は近い。そう思った。
地鳴りが起きた。
地震かと思ったが違う。
とどろくそれは人の言葉、人の叫びだった。
それは先ほどから月姫が心の中で叫んでいた言葉。
「殺せ」
押し寄せてきたのは都の住人達。
怯えていたはずの住人たちが、反撃に移ったのだ。
それは嵐のように、地震のように、ありとあらゆる災厄のように無秩序に。
まだ動けている仲間が引きずって物陰に隠してくれなければ月姫は踏みつぶされていたかもしれない。
それほどの群衆が押し寄せてきたのだ。
もとより数で劣り、頭目を殺され士気が崩れた反乱軍が持ちこたえることはなかった。
目をむき、その目と鼻と口と耳、東部にあるすべての穴から、血を噴出している。
小柄な少女とはいえ、その全体重を込めた一撃を頭部に食らったのだ、助かるはずはなかった。
月姫は再び武器を構える。
元が鉈の食い込んだ死体を蹴り飛ばして鉈を外す。死体は小刻みに痙攣していたがやがて止まった。
ぬかるむほどの血が地面を汚した。
まともに戦うなと老師は言った。相手は訓練した軍人。ちょっと鍛えただけの民間人が勝てる相手ではない。
勝機を狙うなら不意打ちしかない。
その通りだった。上から飛び降りて攻撃してくるとは誰も思わなかったのだろう。あっさりと殺すことができた。だが、それ以上は無理だろう。
そっと目を伏せた。これから自分たちは殺されるだろう、そして今から考えることは、どれほど道連れを作れるかだ。
仲間が笛を吹いた。作戦成功を知らせる笛だ。
首謀者と思しいものを殺したらその時は笛を吹くとあらかじめ決めていた。
そして、再び武器をうならせた。
呆気にとられていたのだろう、あっさりと当たった、しかしそこまでだ。
斬りかかってきた、何とか武器の鉈で応戦しているが、力負けしそうになっている。
しょせんは体格が違いすぎる。
できれば慰み者に使用などと考えず、あっさりと殺してほしいな。そう思いつつ武器を振り回す。
それなりに距離を置ける武器だ。若い娘だから、近寄られたら終わりだ。
そのため娘達は遠距離から攻撃できるような武器を重点的に訓練された。
ついに一人、斬り伏せられた。
このまま崩れていくのか。月姫は小さく舌打ちした。
それでも、一人でも多く道連れにすることはあきらめない。
弟を生き延びさせるたった一つの方法だからだ。
身を伏せて突っ込んできたやつがいた。とっさの対処が遅れた。
身体を掴まれ地面に叩きつけられる。
まるで人形のように地面に激突した。木の枝が折れるような音がしたが、折れたのはたぶん自分の骨だろう。
「月姫」
仲間の悲鳴のような声。
月姫は地にに伏せながらのたうつ。腕は折れていない。
のたうちながら態勢を整え、短剣を何本か隠し持っていたそれを投げた。
毒はきちんと塗ってある。一人でも多く殺す。そのための準備は怠らない。
何も言葉を発しない月姫に不気味さを感じたようだった。敵が遠巻きにざわめく。
月姫としては、言葉など不要だ、解りたいことも、解ってほしいこともない、あるのはただ殺すということ。
短剣はまだある。とにかく、一人でも多く。
立つことはできない、足がいびつに曲がっている。それでも殺す。
月姫は乾いた眼で短剣と敵の位置を目測で測っていた。
仲間もそれぞれ傷つき、すでに地に付しピクリとも動かない者もいる。
最後は近い。そう思った。
地鳴りが起きた。
地震かと思ったが違う。
とどろくそれは人の言葉、人の叫びだった。
それは先ほどから月姫が心の中で叫んでいた言葉。
「殺せ」
押し寄せてきたのは都の住人達。
怯えていたはずの住人たちが、反撃に移ったのだ。
それは嵐のように、地震のように、ありとあらゆる災厄のように無秩序に。
まだ動けている仲間が引きずって物陰に隠してくれなければ月姫は踏みつぶされていたかもしれない。
それほどの群衆が押し寄せてきたのだ。
もとより数で劣り、頭目を殺され士気が崩れた反乱軍が持ちこたえることはなかった。
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