サバイバル×3なお妃さま

karon

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めでたしめでたし?

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 最終的に同盟合意という形に収まった翌日、ターシャとビアトリクスはそれぞれの国に帰る支度を始めることとなった。
 久しぶりに柔らかいベッドで手足を伸ばして眠れる贅沢に浸った三人は忙しく別れの宴の準備に取り掛かっていた。
 傷だらけの掌から二の腕をきっちりとシルクの手袋で覆い隠し、少々日焼けしてしまった肌に厚めの白粉を施される。
 荒れた肌にと帰ってきてから必ず、美容液と称する怪しげな液体を塗り込められていたのだが、その効果はあったのだろうか。
 一応髪はくくってあまり痛まないようにしていたのだが、それでも髪を結い上げるのに支障ない範囲で毛先は切り落とされた。

 宴会場となる大広間には、最上段に王と王妃が、そして人弾下がった場所に王太子夫妻が座っている。
 随行してきた大臣たちがまず一礼してから、それぞれの王太子と王太子妃が挨拶に向かう。
「このほどは我らの不手際で、妃殿下には大変な不都合を」
 とりあえず、わびは入れておくという王の言葉にそれぞれの妃たちは小さく首を振った。
「いいえ、私どもが生き延びたのはひとえにアストリッド様のおかげ、どうぞ頭をお上げになってくださいませ」
 しおらし気にターシャが言った
「いやどちらかというと」
 アストリッドが焦ったように言おうとすると、ターシャは壇上に上がり、アストリッドの手を握り締めた。
「アストリッド様のおかげですわ」
 にこやかにほほ笑んでいても目が笑っていない。
「いや、そんなことを」
 アストリッドが少々気圧されたようにのけぞる。
「アストリッド様にはお礼の言いようもありません」
 アストリッドの手を少々行き過ぎ課と思うくらい力強くターシャは握りしめる。
 その圧力に屈するようにアストリッドは小さく首肯した。
 その様子を見ていたビアトリクスは振り向いたターシャを見て小さく息をのんだ。
「ええ、そうですね、アストリッド様がいてくださって本当に助かりました」
 息継ぎなしで言い切って思わず息を吐く。
「いや、ビアトリクス様の教養には助けられた、私一人の功績ではない」
 慌ててアストリッドがそう言うと、ビアトリクスはうつむいて頬を染めた。
「それに」
 続けようとして、アストリッドは思わず言葉を失う。
 ターシャの笑顔が怖かった。
 何も言うまいと誓い、そのまま宴が始まった。

 宴が終わり、自室に戻ってきたアストリッドはベッドに行儀悪く座って呟く。
「あの連中、あの状況なら私が最後まで生き延びると思っていたな」
 ソファに座った夫が怪訝そうにアストリッドを見る。
「大きな勘違いだ、あの状況で最後まで生き延びることができたのは絶対ターシャだ」
 何を言っているのか理解できないアーサーは首を傾げた状態でその場で座り込み何やら憤慨している妻を見ていた。

 最終的に三つの王国は、硬い同盟を維持し、帝国の脅威とよく戦った。
 それぞれ即位した年齢こそ違ったが、それぞれの王妃たちの熱い友情がそれを助けたのは言うまでもない。
 そしてその友情が、王妃たちの地位向上にも役立ったがそれはまあいいだろう。
 王妃たちはそれぞれ自分たちの得意分野で実績を上げ、それなりに歴史に名を残した。
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