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再会はトラブルとともに
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王太子アーサーはじりじりする気持ちを押さえて馬を進めていた。
随分と深い森の中に入っていく。こんな場所に連れ去られたのかと胸がふさがれるような思いを感じた。
アストリッドは騎士団に入っていたが、令嬢ゆえに兵士としての野外訓練に参加したことはなかった。
野営の知識などは全くない。
アーサーの背後には部下の騎士団、そして、ロビンスとチャールズの二人もまたは以下を従えてついてきていた。
先行して様子を見てくる予定の部下とはまだ合流できないでいる。
最悪の可能性を考えておくべきかもしれない。
暗雲が立ち込めた心中を決して顔に出さないほう表情筋を引き締めた状態で、アーサーはただ前だけを見ている。
そして、ようやく先行しているもののうち一人を見つけた。
「状況は」
「お喜びください、妃殿下はとてもお元気です」
その言葉に周囲をうかがう。アストリッドの姿はない。
「連れてきているのではないのか?」
そう言われて、彼は困ったように言いよどむ。
「それは見ていただくほかないかと、それと、ターシャ妃殿下の生存も確認できたようです」
アーサーは、そばに控えていた騎士にチャールズに伝えるよう命じて、馬を進める。
「妃殿下方は現在交戦中です」
言われた言葉が脳にしみこむまでしばらくかかった。
「どういうことだ?」
「我々がたどり着いたときすでには妃殿下方を拉致した者たちとの交戦が始まっておりました」
「さっさと敵を拘束せよ」
「いえ、できれば殿下に早くあちらに向かい、我々が敵ではないと立証していただきたく。さもなければ我々も殺されそうで」
すでに状況を理解することを拒否しようと思った。
一塊になって走ったので、団子状になってまとめて転んだ。
転んだ場所にはとがった石を選んでおいてある。
その激痛が、結局彼らのためらいを消し去った。
とにかく敵は二人なのだ、一斉にかかれば、捌ききれるものではない。ならば。
血を滴らせながら彼らはゆらりと立ち上がる。
まずは一番相手にしやすそうなたーさやを狙う。
ターシャは自分に向かって押し寄せてくるのを見てとっさに走り出した。
むろん途中で落とし穴を飛び越した。
とっさに反応できず、見事に引っかかった誰かの悲鳴を聞きながら、目当ての灌木に素早くよじ登る。
灌木には袋にに小石を詰めて結びつけたものを用意してあった。
ターシャの足元に迫った敵は的確に飛んでくるつぶてを食らって、崩れる。
落下速度プラス以外にあるターシャの腕力だ。
そして今度はアストリッドが弓を使っていた。
離れた場所でも、元パニエの弓はその弾力性を力に変えて、威力はいや増すばかりだった。
とにかく一人でも多く敵をつぶす。
減らしたところで切り伏せる。アストリッドはできうる限り体力の温存しつつ敵の勢力をつぶそうとした。
「薙ぎ払え」
そう雄々しい声が聞こえた。
聞きなれた声だ。
「我が君」
そして気づく。
「我が君、そこ進まないでください、落とし穴があります。それに」
そう叫んだが遅かった。
結わえ付けた枝が、アーサーが進む力で外れ、枝が馬にたたきつけられた。
随分と深い森の中に入っていく。こんな場所に連れ去られたのかと胸がふさがれるような思いを感じた。
アストリッドは騎士団に入っていたが、令嬢ゆえに兵士としての野外訓練に参加したことはなかった。
野営の知識などは全くない。
アーサーの背後には部下の騎士団、そして、ロビンスとチャールズの二人もまたは以下を従えてついてきていた。
先行して様子を見てくる予定の部下とはまだ合流できないでいる。
最悪の可能性を考えておくべきかもしれない。
暗雲が立ち込めた心中を決して顔に出さないほう表情筋を引き締めた状態で、アーサーはただ前だけを見ている。
そして、ようやく先行しているもののうち一人を見つけた。
「状況は」
「お喜びください、妃殿下はとてもお元気です」
その言葉に周囲をうかがう。アストリッドの姿はない。
「連れてきているのではないのか?」
そう言われて、彼は困ったように言いよどむ。
「それは見ていただくほかないかと、それと、ターシャ妃殿下の生存も確認できたようです」
アーサーは、そばに控えていた騎士にチャールズに伝えるよう命じて、馬を進める。
「妃殿下方は現在交戦中です」
言われた言葉が脳にしみこむまでしばらくかかった。
「どういうことだ?」
「我々がたどり着いたときすでには妃殿下方を拉致した者たちとの交戦が始まっておりました」
「さっさと敵を拘束せよ」
「いえ、できれば殿下に早くあちらに向かい、我々が敵ではないと立証していただきたく。さもなければ我々も殺されそうで」
すでに状況を理解することを拒否しようと思った。
一塊になって走ったので、団子状になってまとめて転んだ。
転んだ場所にはとがった石を選んでおいてある。
その激痛が、結局彼らのためらいを消し去った。
とにかく敵は二人なのだ、一斉にかかれば、捌ききれるものではない。ならば。
血を滴らせながら彼らはゆらりと立ち上がる。
まずは一番相手にしやすそうなたーさやを狙う。
ターシャは自分に向かって押し寄せてくるのを見てとっさに走り出した。
むろん途中で落とし穴を飛び越した。
とっさに反応できず、見事に引っかかった誰かの悲鳴を聞きながら、目当ての灌木に素早くよじ登る。
灌木には袋にに小石を詰めて結びつけたものを用意してあった。
ターシャの足元に迫った敵は的確に飛んでくるつぶてを食らって、崩れる。
落下速度プラス以外にあるターシャの腕力だ。
そして今度はアストリッドが弓を使っていた。
離れた場所でも、元パニエの弓はその弾力性を力に変えて、威力はいや増すばかりだった。
とにかく一人でも多く敵をつぶす。
減らしたところで切り伏せる。アストリッドはできうる限り体力の温存しつつ敵の勢力をつぶそうとした。
「薙ぎ払え」
そう雄々しい声が聞こえた。
聞きなれた声だ。
「我が君」
そして気づく。
「我が君、そこ進まないでください、落とし穴があります。それに」
そう叫んだが遅かった。
結わえ付けた枝が、アーサーが進む力で外れ、枝が馬にたたきつけられた。
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