幸福サーカス団

もちもちピノ

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悪役令嬢のハッピーエンド

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あの女をギャフンと言わせたいレイナさんの場合

名門私立高校 乙女学園

この学園に通う山田レイナ 山田財閥の御令嬢であり 紫色のウェーブのかかった髪とキリっとした目の美人でテニス部のエースであるがある悩みがあった

「花夢真里亞…わたくしの婚約者に色目を使うだなんて…キィー」

そうこの学園に唯一庶民の出でありながら自身の婚約者で理事長の息子の尾霊おれいオウガにやたら絡むのだ。

「許すまじ!!」

嫉妬の炎をテニスボールに込めるとボールは学園の森の中に落ちてしまった。

「私のしたことが…」
自身の取り巻きの一人が撮りに行こうとするが
「いいえ 自分のことは自分でする主義ですので」

急いで森の中に入るレイナはテニスボールを指しているとボールを手に持つ一人の道化師が立っていた。

「…」

頭にはたんこぶをつけている。

「あらやだ ごめんなさい!」

「大丈夫だよ お嬢さん ほら君の大切にしているテニスボールだよ」

道化師はぽんと手渡した。

「あら…ありがとうございますわ…ところで貴方は…学園は関係者以外は…」

道化師は考える。

「…太陽の光を浴びていたんだよ そこに君のテニスボールがボクの頭を直撃してここに落ちたんだよ」

レイナは道化師の難解な発言に戸惑うが道化師はある名刺を渡す。

「これも何かの縁だね ボクはジョーカー
なんでもできる魔法使いさ」

葉っぱを赤いバラに変える。

「これは何かのマジックかしら?」

ジョーカーは笑う

「マジックじゃないよ本物さ…」
ジョーカーはバラを葉に戻す。

「はわわ」

レイナは驚く。

「喜んでもらえてうれしいよ」

ニコニコと笑う道化師は踊りながら空を飛ぶ。

「君~学校終わったら 名刺の裏の地図を見るといいよ~必ず君を導いてくれるから」
と言い飛び去っていった。

レイナはテニスボールを持ち黒い名刺はポケットの中に入れる。

学校の帰り道 高級車の中で名刺を眺めていると地図が浮かび上がる。

「えっ!」

レイナが驚いていたがあの道化師の言葉を思い出した。

必ず君を導いてくれるよと…


(もし…本当に彼が魔法使いなら…)

「ルーノ!!今すぐにこの名刺の場所に向かいなさい!!」
すぐにお抱えの運転手を強い口調で脅し
向かわせた。

目的の場所にたどり着くとキラキラしたサーカスのテントが自身たちを歓迎しているかのように輝く。

「お待ちしておりました 案内人のメアリーと申します どうぞ中に」

レイナと運転手はテント内に入るとジョーカーが綱渡りをしていた。

ぎいぎいという音を響かせながら歩いたり ジャンプしたり危なっかしい芸にハラハラしていたが…その瞬間 ジョーカーは足を滑らせて下に落ちてしまう。

目も当てられなかったがジョーカーはニヤリと笑いピーターパンのように飛び立ち 華麗に着地するにっこりと微笑むとレイナとルーノの前に立つ

「こんばんは 耀く夜にようこそなんちゃってさて君の願い事を叶えさせてもらうよ」

ニコニコと笑うジョーカーに対してレイナは少し考えたがあの力を目の当たりにしたら信じるしかない。

「私の婚約者に色目をつかいみんなから慕われている あの庶民の花夢真里亞はなゆめまりあをギャフンと言わせたいですわ!!」

「その願い叶えさせていただくよ」
にっこり微笑むジョーカーを見たレイナは邪悪な笑みを浮かべていた。


翌日
金髪の美少女の花夢真里亞は珍しく遅刻をしていた。

「遅刻遅刻」

急いで学校に行こうとすると白い髪の男とぶつかってしまう。

「きゃあ ごめんなさい」

「大丈夫だよ 君に怪我はない?」

男性はメガネをかけておりスレンダーな体格をしているが肌は墨のように黒い。

真里亞はその男を不思議そうに見つめていた。

「…きゃぁ私学校に行かないと遅刻しちゃう また後で」

走っていく真里亞を横目に男性は見ていた。

そして真里亞は見事に遅刻してしまい、クラス中から笑われた。

その光景をオウガはイライラしながら見つめている。

(ざまぁみろ 真里亞)

クラスには笑われ 婚約者の好感度が下がった
真里亞を見てくすくすと笑うレイナ。

その後 真里亞はたくさんの不幸に見舞われた
オウガとのデートで角にぶつかり転んだり、
クラスでの連合大会で失敗するなど真里亞の立場は悪くなっていきついには一人になってしまった。

「これもあの道化師さんのおかげかしら 感謝もしきれませんわ」

機嫌良くボールを当てると丁度歩いていた真里亞にぶつかってしまった。

「あはははごめんあそばせ」しかし真里亞には
暗い表情でそのまま歩いていた。

「??」

レイナは反応がない真里亞を見つめていた。


帰り道

真里亞は公園のベンチに座って、音楽を聴いていた。

「何聴いてるの」

真里亞が声のした振り向くと前にぶつかった男が笑顔で立っていた。

「あっ貴方は…」
馴れ馴れしく隣に座る男はスマホ画面の動画を見ていた。

「これマキシマムトンコツの曲じゃん ロゴですぐに分かった」

「はい…私ロックが好きで…でも言い出せないんですよね…」

虚な目をしながら答える

「なんでだい?」

「…幼馴染のオウガくんが…私がイメージ通りの事してくれないと機嫌悪くなるんです…オウガ くんは相手が自分の思い通りにイメージ通りになるように行動を監視してくるんです…前もライブに行きたいと言ったら叩かれたんです」

悲しそうに答える真里亞は話を続ける。

「進路もオウガくんが全て決めてきて…この学園に通うのだって私の意思ではなくオウガくんが
両親もオウガくんには逆らえなくて…」

男は真顔で答える

「まるで操り人形のようだね…」

男は飴を舐めると真里亞にこう答える。

「もし願いが叶うなら何がしたい?」

真里亞は望みのない言葉を言う。

「…自由になりたいです…自由に好きなことができて常に監視されないで生きたい」

「…わかった」

男は立ち上がり 道化師の姿に変わる。

「君の願い叶えてあげるよ」

道化師はにっこり微笑むと真里亞の目は輝いた。

その光景を物陰から見ていたレイナは複雑な気持ちになっていた。

真里亞が自分の婚約者に色目をつかっていたことは単なる誤解であり、それから婚約者の本性が相手の行動を縛るDV男である事を知ってしまったことに

「謝っても許してはもらいないわ…だけど陰ながら手伝いますわ」

ある場所に電話をするレイナ。

そして翌日の朝礼にて理事長の息子である
尾霊オウガが挨拶をしていた。

「おはようお前ら 俺がわざわざ直々に挨拶してやっているんだからな 感謝しろよ」

相変わらず俺様ムーブのオウガを苦笑いしながら見る生徒と先生。

その時「礼儀も知らない人に感謝しろとか言う上から目線で言うのはどうかと思う」

オウガ はその声の主を指差し睨みつける。

「初めまして ボクは幸福サーカス団のジョーカーこの学園に特別参加しているよ~」

ピョコッと現れたジョーカーがステージに上がるとマイク片手に説明する。

「今日は真里亞ちゃんから特別な言葉があるよ」

真里亞は静かに足を運んだ。

「ほう真里亞 寂しくて俺のステージに上がったのかさすがは俺の女」

真里亞はオウガ に対してこういう

「あの いつから貴方の女になったのですか
正直気持ち悪いです」

「えっ」

周りは沈黙に包まれていた。

「私はオウガくんに長年に渡りやる事を全て監視されていました 好きなアーティストを完全否定されたり 逆らうと殴られ暴言も吐かれました 私はオウガくんの中では理想の女の子かもしれませんが…私は貴方の召使いでも人形でもありません 立派な人間です」

その言葉をいい終わるとステージに真里亞へのDV映像と暴言の数々が流されていた。

「こんなのでたらめだ!」

「デタラメではありませんわ」

ステージから現れた婚約者のレイナと自身の両親が険しい顔で現れた。

「オウガ これはどういうことだ」
「尾霊家の男が女性に手をあげるなんて言語道断です」

両親は怒りの表情でオウガ を見ていた。

「違うんだ あの女が悪いんだこの俺を誘惑…」

レイナはオウガを顔を思い切りぶん殴った。

「黙れこのクソ男がァァァ」

レイナは叫んだ。

その光景をジョーカーはくすくす笑っていた。

「レイナちゃんかっこいい」

その後

オウガは今までの悪行により両親に勘当され地方の学園に転校これからは厳しい叔父さんのもとに預けられるもちろんレイナちゃんとの婚約は破棄された。

オウガの両親は息子による圧力で家族を狂わせた事を謝り、多額の賠償金を払った。

真里亞ちゃんは今まで通り学校に通っているが
最近はロック部に所属したらしい。

レイナちゃんは両親の意向からフランスの学校に転校することになった。

空港でレイナちゃんにお別れの花を渡した真里亞は公園で誰かを探していた。

「あっ」

公園でコーラを飲むある人を見つけニコニコと隣に座った。

「道化師さんですよね」

「いや人違いだよ」
ある人は否定するがそれでも真里亞はくすくす笑う。

「私 道化師さんにお礼言いたいのです…ありがとうございますって…」

「へーそうなんだ~」

興味もなさそうに答えるとソフトクリームを持った律子が名前を言う。

「ジョーカー そんなところで何しているの」
場が悪かったのか律子の口を塞ぐジョーカー、

「律子ちゃん 状況をよく考え…」

「ジョーカーさんという名前なんですね」

キラキラオーラを放つ真里亞を横目にジョーカーは(あーめんどくさいな)という顔をした。















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