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4章:荳也阜縺ッ繝ッ繧ソ繧ッ繧キ縺ァ蜃コ譚・縺ヲ縺?k?
ーー残響、【超弦骨格暫定式・波動帝國】 ーー⑦
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この瞬間、わたし達は確かに響き合って共鳴した。
わたしの頬を熱い何かが伝った。それが何かわたしにはまだわからなかったけど、胸の奥が熱くなって溢れ出したのだから、きっとわたしの心が震えたその余韻だ。
「わたしはこの世界を歌うよ、これからずっと」
なんだかわたしの声じゃないみたい。わたし自身がはじめてわたしの声を聞いたみたいだ。はじめて喉を震わせた気さえしてる。そんなはずないのに。
ああ、この囁くような唸るような軋むような苦しむような声は、どう変わったのだろうか、彼女にはどう聞こえるだろうか。
この陰鬱な不協和音は、やっぱりわたしの声に他ならず。だけど、もう嫌いじゃない。
わたしの声はもう、世界を響かせることができる。
わたしの歌はもう、世界を繋げることができる。
わたしの振動はもう、世界を伝えることができる。
「キミが歌う限り、この世界から音は消えない。キミの物語に音楽が絶えないことを願うよ」
何気なく、いつもと何も変わらない調子でふらりとそう言って、【超弦骨格暫定式・波動帝國】の最期の演奏は終わった。終わってしまった。
もうわたしの髪を使った絃は切れてしまって、どうやったって彼女は何も奏でではくれない。何も聞こえない、もう、ただのガラクタだ。ついさっきまでとは明確に違う何かになってしまった。その遺骸は崩れたりはしなかった。ただ、静かにその演奏に幕を閉じた。
ああ、彼女はもういない。もっともっと早く出会えていれば、小生意気な彼女はきっといい妹分になれたのに。
膝をつく。身体に力が入らなくて、思わず彼女の大きな身体にもたれかかる。
ほんのちょっと会話をしただけ。それなのに、彼女の物語が終わったその時に、【超弦骨格暫定式・波動帝國】とわたしの世界がひとつ喪失してしまった。
出会いもあれば別れもあるのは知っている、物語ってそういうものだ。だから、知っているつもり、頭ではわかっている……つもり。だけど、それでも、理解したくない、納得したくない、このまま前だけを見て進んでいくなんてできやしない。どうして、こんな理不尽で唐突なお別ればかり経験しなきゃいけないんだ。
こんな物語、イヤだ。こんな物語なんて望んでいない。わたしの横に誰もいないそんな悲しい物語になんてしたくないのに。
わたしの物語は、夢と希望の大冒険で満ち溢れていたはずなのに。
どこにいたって、どう進んだって、誰に出会ったって、そこには女神様と転生者に壊された物語の残骸しか残っていない。
それを、残響、なんて呼びたくない。そんな綺麗な言葉にしたくない。
わたしの頬を熱い何かが伝った。それが何かわたしにはまだわからなかったけど、胸の奥が熱くなって溢れ出したのだから、きっとわたしの心が震えたその余韻だ。
「わたしはこの世界を歌うよ、これからずっと」
なんだかわたしの声じゃないみたい。わたし自身がはじめてわたしの声を聞いたみたいだ。はじめて喉を震わせた気さえしてる。そんなはずないのに。
ああ、この囁くような唸るような軋むような苦しむような声は、どう変わったのだろうか、彼女にはどう聞こえるだろうか。
この陰鬱な不協和音は、やっぱりわたしの声に他ならず。だけど、もう嫌いじゃない。
わたしの声はもう、世界を響かせることができる。
わたしの歌はもう、世界を繋げることができる。
わたしの振動はもう、世界を伝えることができる。
「キミが歌う限り、この世界から音は消えない。キミの物語に音楽が絶えないことを願うよ」
何気なく、いつもと何も変わらない調子でふらりとそう言って、【超弦骨格暫定式・波動帝國】の最期の演奏は終わった。終わってしまった。
もうわたしの髪を使った絃は切れてしまって、どうやったって彼女は何も奏でではくれない。何も聞こえない、もう、ただのガラクタだ。ついさっきまでとは明確に違う何かになってしまった。その遺骸は崩れたりはしなかった。ただ、静かにその演奏に幕を閉じた。
ああ、彼女はもういない。もっともっと早く出会えていれば、小生意気な彼女はきっといい妹分になれたのに。
膝をつく。身体に力が入らなくて、思わず彼女の大きな身体にもたれかかる。
ほんのちょっと会話をしただけ。それなのに、彼女の物語が終わったその時に、【超弦骨格暫定式・波動帝國】とわたしの世界がひとつ喪失してしまった。
出会いもあれば別れもあるのは知っている、物語ってそういうものだ。だから、知っているつもり、頭ではわかっている……つもり。だけど、それでも、理解したくない、納得したくない、このまま前だけを見て進んでいくなんてできやしない。どうして、こんな理不尽で唐突なお別ればかり経験しなきゃいけないんだ。
こんな物語、イヤだ。こんな物語なんて望んでいない。わたしの横に誰もいないそんな悲しい物語になんてしたくないのに。
わたしの物語は、夢と希望の大冒険で満ち溢れていたはずなのに。
どこにいたって、どう進んだって、誰に出会ったって、そこには女神様と転生者に壊された物語の残骸しか残っていない。
それを、残響、なんて呼びたくない。そんな綺麗な言葉にしたくない。
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