158 / 235
interlude.underground
ーーこの新異世界の片隅でーー③
しおりを挟む
月も星も音もなく、そして、舗装もされていない暗い獣道は、どうやったって歩きにくくて、この素敵なショートブーツ、ラステスファルテスじゃなきゃ歩きにくくてすぐにバレガサッパキッ「ギャッ」
「おや、こんなところに小さなお嬢さんがいるなんて珍しいね、どうしたんだい、迷子かい?」
……え、ええ、あっさり見つかるじゃん。夜目に眩いランタンの灯りを向けられると、思わず無意識に右耳のピアスに触れてしまう。
自身が立ててしまった盛大な騒音に観念してあっさり姿を見せるも、虚ろなもの達はそんなわたしを心配する素振りすら見せるほど友好的だった。ま、まあ、ドレスのようなワンピースを着た少女であるわたしの姿は明らかにただの迷子で人畜無害だったけど。でも、なんだ、思ってたんと違うぞ?
「あ、あの、そ、そうなの。迷子になってしまって、えっと、そうしたら、アナタ達を見つけたから……」
もっともらしいことを並べ立ててみる。彼らに敵対の意思はなさそうに見えるけど、なぜか警戒心だけはどうしても解けず。どうしてか、いたって普通の格好をして、会話もできるこの心優しき彼らが、村の人々と同じ種族だとは思えず。この胸の内にもやもやとわだかまる違和感はなんだ。
「そうですか、それは大変怖かったでしょう。そうだ、明るくなるまで私達と一緒にいましょう」
「あ、あの、アナタ達はどこに向かうところなのでしょうか?」
何気ない質問のつもりだった。実際、人さらいの類でなければ特に気にするようなこともない当たり障りのない質問だと思う。え、もしかして、人さらい?
「私達はウボ=サスラという街からやってきたんだ、その帰り道なんだ」
無言でぐりんと一斉に振り向いたその動きがあまりにも無機質で、「ひッ」思わず息を呑んでしまう。初めから用意されていたような答えの、優しい声音から滲む変な違和感に怖気づいてそのまま何も言えず。
「あ、あ、その、ウボ=サスラ、って……」
「ああ、ウボ=サスラというのはね……」
ーーIt shall not find me. God, that hand! The window! The window!
「おや、こんなところに小さなお嬢さんがいるなんて珍しいね、どうしたんだい、迷子かい?」
……え、ええ、あっさり見つかるじゃん。夜目に眩いランタンの灯りを向けられると、思わず無意識に右耳のピアスに触れてしまう。
自身が立ててしまった盛大な騒音に観念してあっさり姿を見せるも、虚ろなもの達はそんなわたしを心配する素振りすら見せるほど友好的だった。ま、まあ、ドレスのようなワンピースを着た少女であるわたしの姿は明らかにただの迷子で人畜無害だったけど。でも、なんだ、思ってたんと違うぞ?
「あ、あの、そ、そうなの。迷子になってしまって、えっと、そうしたら、アナタ達を見つけたから……」
もっともらしいことを並べ立ててみる。彼らに敵対の意思はなさそうに見えるけど、なぜか警戒心だけはどうしても解けず。どうしてか、いたって普通の格好をして、会話もできるこの心優しき彼らが、村の人々と同じ種族だとは思えず。この胸の内にもやもやとわだかまる違和感はなんだ。
「そうですか、それは大変怖かったでしょう。そうだ、明るくなるまで私達と一緒にいましょう」
「あ、あの、アナタ達はどこに向かうところなのでしょうか?」
何気ない質問のつもりだった。実際、人さらいの類でなければ特に気にするようなこともない当たり障りのない質問だと思う。え、もしかして、人さらい?
「私達はウボ=サスラという街からやってきたんだ、その帰り道なんだ」
無言でぐりんと一斉に振り向いたその動きがあまりにも無機質で、「ひッ」思わず息を呑んでしまう。初めから用意されていたような答えの、優しい声音から滲む変な違和感に怖気づいてそのまま何も言えず。
「あ、あ、その、ウボ=サスラ、って……」
「ああ、ウボ=サスラというのはね……」
ーーIt shall not find me. God, that hand! The window! The window!
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる