この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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目的、この物語のテーマ

―― Re:【倫理狂い    】   ――②

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 彼の姿はこの世界にぽつりと空いた白い孔のようで、それはまさに、目的も動機もテーマも魅力すらもない物語、まだ真っ白なだけのページ、何も持っていなかった以前のわたしの姿だった。

 そして、そんな無色透明な彼が一体どんな物語を綴れるというのだろうか。

 だけど、様々な出会いと別れによって彩られてきたわたしとは違って、彼はこの陰鬱な地下街で何色にも染まるどころか、自身の唯一の色彩さえ手放してしまった。

 もし、あのとき囁き森に不時着してケヴィンと出逢えていなかったら。

 もし、無色透明何も知らないままのわたしがこの地下街みたいなところに墜ちていたら。

 わたしは何が正しくて何が悪いのかわからないままにこの世界を彷徨っていただろうか。そう、まさに、無知で傲慢な彼らのように。

「……ねえ、【倫理狂い・制度霊】って何? それに自分のことを【倫理狂い・副上肢】とも言っていたわ。アナタ達のお名前は【倫理狂い】じゃないの?」

「ああそうさ、ぼくらは【倫理狂い】だった。そう、善悪を司るぼくらを以て世界は完成した……はずだった」

「はず?」

「キミが現れてばくらは最新鋭ではなくなった。ばくらの機能ではこの錯誤世界はまだ完成しないということなのか、それとも……」

 それは独り言のようで、あたかも呪詛のようだった。

 わたしが墜ちてきたことで、自身が旧式の型落ちになってしまった、とそう言いたいのか。そんなの八つ当たりもいいところだ。いや、もしかしたらこの世界を創ったわたしの方こそが一番最初の機能かもしれないのに。

 それに、“始源拾弐機関”ってそういうものじゃないはずだ。

 それぞれが他の物語とは違う錯誤世界秩序機能を司っていて、それ自体に優劣なんてあるはずがない。そのどれもがこの世界にはとっても大事で、ましてや顕現した順番なんてなおさら意味なんてない。年功序列なんて悪い文明だ。

 だって、わたしには善悪なんてさっぱりわからないもの。【倫理狂い・制度霊】とのあの淫らな行為のどこが善悪だというのか。

「【倫理狂い】とは呪縛だ。この錯誤世界に縛り付けられて消滅することもなく、機能を全うすることもなく、永遠に不全で在り続けている」

 彼の薄い嘲笑から零れ出すのはほとんどが自身への冒涜ばかりでわたしには聞き取れず、それでも、なおも続いた。それはまるで、自身を軽んじるこの世界の全てを唾棄すべきだと吐き捨てるような陰鬱な呪詛だった。
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