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最終章:第二次新異世界大戦
ーー 新異世界転生先は世界を救った勇者の子孫!?ーー③
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「アナタなら魔王と勇者の物語の真相も知っているはずじゃないの?」
「ああ、知ってるぜ。でもよ、そんなのオレには関係ねえじゃん、オレは伝説の勇者の子孫、それだけで十分だ」
にやりと気持ち悪く口角を上げるその笑みだけで、彼が勇者の名のもとにどんなことをしてきたのかなんとなく察してしまって吐き気すら覚えてしまう。こいつは一体どれくらいのひとを傷付けてきたんだ?
この世界の誰もがその物語を知っているような、子どもの、いや、冒険者を目指す全ての大人すらもが憧れている存在である勇者を、それも転生者なんかがこんなにも容易く貶めてしまうなんて。
「……最悪だ」
大切にしていた物語をこんな形でめちゃくちゃにされるなんて。わたしだけじゃない、ケヴィンも、この世界の全ての子ども達もだ。
これじゃあ、勇者も魔王も報われない。世界の平和のためのはずの協定が、コイツに都合のいい免罪符に成り下がってしまっている。
「つーか、むしろあんなことバラされたらこっちの威厳がなくなっちまうしな」
へらへらしながら聖剣を拾い上げる。
確かに魔王と勇者は戦ってなくて、それどころか親友同士なのだと世界が知ったら、コイツへの評価もまた変わってくるかもしれない。
コイツがどうなろうと知ったこっちゃない。だけど、コイツの悪行を知らしめる、なんて陳腐な目的のために、勇者と魔王が交わした密約を明かしてしまうのも癪だ。
「アナタの名前なんて知りたくもない。そのままわたしの記憶から消えて」
「へぇ」にやりと。
「……ねえ、やめて、聞きたくない」ぼつりと。
イヤな予感しかしなくて耳を塞ぎたくなる。だけど、それはなんとなくコイツに敗北したような気がするから、その代わり、キッと彼を睨み付ける。
「なら、教えてやるよ。これから愛し合う仲で名前も知らねぇなんて不憫じゃねぇか」
「やめてって言ってるでしょ」
「伝説の勇者の子孫であるオレの名前は」
「黙れ、クソ野郎!」
怒り任せの地団駄! 呼応、黒革のショートブーツが爆裂飛散、錆び付いた機械部品のド発展、第一関節が勇者の子孫を騙る不届き者へと急襲。
「おっと」
軽く後方へとステップしただけ。彼はそれだけで常人離れした跳躍。あっさりと定義指針、ラスタスファルテスを躱し、上空を優雅なまでに翔ぶその姿はほとんど飛行に等しく。
「おいおい、なんだそれ。テメェ無機物かよ、ラブドール相手とかクソ萎えんだけど」
腹立たしい軽口と共に銀色の塔もとい、ビルのひとつの屋上に降り立つ。
「ただの出来損ないの機械ごときがオレに勝てると思ってんのか?」
何を勘違いしているの、わたしは、そう言いかけて、いや、わたしは何なんだろう、と口を噤む。いや、確かに、わたしは生き物じゃない、だけどそれは関係ない。
わたしは、わたしだ。
「ああ、知ってるぜ。でもよ、そんなのオレには関係ねえじゃん、オレは伝説の勇者の子孫、それだけで十分だ」
にやりと気持ち悪く口角を上げるその笑みだけで、彼が勇者の名のもとにどんなことをしてきたのかなんとなく察してしまって吐き気すら覚えてしまう。こいつは一体どれくらいのひとを傷付けてきたんだ?
この世界の誰もがその物語を知っているような、子どもの、いや、冒険者を目指す全ての大人すらもが憧れている存在である勇者を、それも転生者なんかがこんなにも容易く貶めてしまうなんて。
「……最悪だ」
大切にしていた物語をこんな形でめちゃくちゃにされるなんて。わたしだけじゃない、ケヴィンも、この世界の全ての子ども達もだ。
これじゃあ、勇者も魔王も報われない。世界の平和のためのはずの協定が、コイツに都合のいい免罪符に成り下がってしまっている。
「つーか、むしろあんなことバラされたらこっちの威厳がなくなっちまうしな」
へらへらしながら聖剣を拾い上げる。
確かに魔王と勇者は戦ってなくて、それどころか親友同士なのだと世界が知ったら、コイツへの評価もまた変わってくるかもしれない。
コイツがどうなろうと知ったこっちゃない。だけど、コイツの悪行を知らしめる、なんて陳腐な目的のために、勇者と魔王が交わした密約を明かしてしまうのも癪だ。
「アナタの名前なんて知りたくもない。そのままわたしの記憶から消えて」
「へぇ」にやりと。
「……ねえ、やめて、聞きたくない」ぼつりと。
イヤな予感しかしなくて耳を塞ぎたくなる。だけど、それはなんとなくコイツに敗北したような気がするから、その代わり、キッと彼を睨み付ける。
「なら、教えてやるよ。これから愛し合う仲で名前も知らねぇなんて不憫じゃねぇか」
「やめてって言ってるでしょ」
「伝説の勇者の子孫であるオレの名前は」
「黙れ、クソ野郎!」
怒り任せの地団駄! 呼応、黒革のショートブーツが爆裂飛散、錆び付いた機械部品のド発展、第一関節が勇者の子孫を騙る不届き者へと急襲。
「おっと」
軽く後方へとステップしただけ。彼はそれだけで常人離れした跳躍。あっさりと定義指針、ラスタスファルテスを躱し、上空を優雅なまでに翔ぶその姿はほとんど飛行に等しく。
「おいおい、なんだそれ。テメェ無機物かよ、ラブドール相手とかクソ萎えんだけど」
腹立たしい軽口と共に銀色の塔もとい、ビルのひとつの屋上に降り立つ。
「ただの出来損ないの機械ごときがオレに勝てると思ってんのか?」
何を勘違いしているの、わたしは、そう言いかけて、いや、わたしは何なんだろう、と口を噤む。いや、確かに、わたしは生き物じゃない、だけどそれは関係ない。
わたしは、わたしだ。
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