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最終章:第二次新異世界大戦
新異世界をスマホで楽勝攻略
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「おいおい、そんなに熱くなるなって。熱血系は流行ってないんだよ」
次元手繰るべき無限匣庭の賢者、と呼ばれている特にこれといった特徴もない黒髪の青年はそう言いながら、片手に持った小さな金属の板を一生懸命人差し指で叩き続けている。
彼曰く、それはスマホという異世界の道具らしい。
「“早神点(クイック・トーカー)”、このスマホにボクの知りたいことを入力するだけで、瞬時に解決方法を検索してくれるんだ」
まるっきりの他力本願かよ。いや、わたしが言うのもなんだけどさ、それでずっとうつ向いてそれを覗き込んでるってわけね。
ただのご都合主義じゃん。
その設定、なんか面白くなる要素ある?
大した努力もなく、友情も薄っぺらで、与えられた勝利はとてもぬるい。
わたし達は一体何を見せられているのか。バトル系じゃなくて、さっきからそこでイチャイチャしている女の子達とのただのハーレム系ラブコメにしときゃいいのに。
「少しは自分の力で事件を解決しなさいな。物語の山場をそのしょーもない金属板なんかに明け渡すのはもったいないよ?」
そもそも、その元いた世界のスマホは一体どこから異世界であるはずのこの錯誤世界の情報を得ているのか、そんなこともわからないんでしょ?
それをなんかテキトーに、神様の力だとか、チート能力だから全く不明だとかしちゃうから馬鹿にされちゃうわけで、そもそもそれがどんな異能なのかを解明する、そんな物語にしてみても良かったんじゃないかな、と。ま、わたしだってダメ出しできるような技量も持ってないんですけどね!
もうこれ以上設定の粗探しをするのも面倒だし、こういう頭空っぽでぬるく読める物語を読者が求めているのならそれはそれでアリなんだろう。わたしにはその良さはさっぱりわからないけど。
「え、そんなの必要なくない? だってボクの力で事件を解決したことには変わりないじゃん」
「まあそうよね、それで検索すればなんでも一発で解決しちゃうんだもんね」
「そういうこと。だから、そんなに熱くならなくてもいいんだよ」
「だけどさ、それじゃあ、アナタが主人公じゃなくてもいいってなっちゃわない?」
「いや、それはないよ。だって、このスマホはボクのだもん」
まるでスマホの方が主人で、わたしと目も合わさず無感動にスマホを叩いているだけの少年の方が操られている人形みたいだ。彼はスマホの指示に従って動いているだけ。そこにドラマは生まれない。そこに感情は必要ない。
それならその物語はまだ肉付けもされていないプロット段階で、その地点でボツなんじゃないか。少なくともわたしの心は震えなかった。
「わたしは少しくらい熱くなってもいいと思うけどね」
その小さな機械が一体どこからどこへと送受信されて、どんな情報を得ているのかわたしにはわからない。だけど。
「あの子が、【超弦骨格暫定式・波動帝國】――世界を震わせるものが言っていた、繋がる、って、そういうことじゃないと思うの。以心伝心が一方通行なんて寂しいだけよ」
スマホを叩くだけの物語なんて、そのリアルは作りものでしょ?
わたし達は世界と、アナタと、誰かと響き合ってこそ物語を綴れるんだから。
「とりあえずこっち向け。そのちっぽけな機械ばっかり眺めていてもこの世界じゃ何も解決しないぞ」
わたしの歌声なんかでひねくれ者な彼の心を震わすことができるだろうか。いや、そんなこと考える必要はない。わたしはありのままただ心のままに歌うだけ。
わたしの歌声は、この世界の振動だ。
緊張してたら声も出せない。わたしは大きく深呼吸。……よし。
「わたしの歌を聴け、共鳴絶奏、ラ・ヴィクトリア・リア」
ーーIt's long long good-bye……
次元手繰るべき無限匣庭の賢者、と呼ばれている特にこれといった特徴もない黒髪の青年はそう言いながら、片手に持った小さな金属の板を一生懸命人差し指で叩き続けている。
彼曰く、それはスマホという異世界の道具らしい。
「“早神点(クイック・トーカー)”、このスマホにボクの知りたいことを入力するだけで、瞬時に解決方法を検索してくれるんだ」
まるっきりの他力本願かよ。いや、わたしが言うのもなんだけどさ、それでずっとうつ向いてそれを覗き込んでるってわけね。
ただのご都合主義じゃん。
その設定、なんか面白くなる要素ある?
大した努力もなく、友情も薄っぺらで、与えられた勝利はとてもぬるい。
わたし達は一体何を見せられているのか。バトル系じゃなくて、さっきからそこでイチャイチャしている女の子達とのただのハーレム系ラブコメにしときゃいいのに。
「少しは自分の力で事件を解決しなさいな。物語の山場をそのしょーもない金属板なんかに明け渡すのはもったいないよ?」
そもそも、その元いた世界のスマホは一体どこから異世界であるはずのこの錯誤世界の情報を得ているのか、そんなこともわからないんでしょ?
それをなんかテキトーに、神様の力だとか、チート能力だから全く不明だとかしちゃうから馬鹿にされちゃうわけで、そもそもそれがどんな異能なのかを解明する、そんな物語にしてみても良かったんじゃないかな、と。ま、わたしだってダメ出しできるような技量も持ってないんですけどね!
もうこれ以上設定の粗探しをするのも面倒だし、こういう頭空っぽでぬるく読める物語を読者が求めているのならそれはそれでアリなんだろう。わたしにはその良さはさっぱりわからないけど。
「え、そんなの必要なくない? だってボクの力で事件を解決したことには変わりないじゃん」
「まあそうよね、それで検索すればなんでも一発で解決しちゃうんだもんね」
「そういうこと。だから、そんなに熱くならなくてもいいんだよ」
「だけどさ、それじゃあ、アナタが主人公じゃなくてもいいってなっちゃわない?」
「いや、それはないよ。だって、このスマホはボクのだもん」
まるでスマホの方が主人で、わたしと目も合わさず無感動にスマホを叩いているだけの少年の方が操られている人形みたいだ。彼はスマホの指示に従って動いているだけ。そこにドラマは生まれない。そこに感情は必要ない。
それならその物語はまだ肉付けもされていないプロット段階で、その地点でボツなんじゃないか。少なくともわたしの心は震えなかった。
「わたしは少しくらい熱くなってもいいと思うけどね」
その小さな機械が一体どこからどこへと送受信されて、どんな情報を得ているのかわたしにはわからない。だけど。
「あの子が、【超弦骨格暫定式・波動帝國】――世界を震わせるものが言っていた、繋がる、って、そういうことじゃないと思うの。以心伝心が一方通行なんて寂しいだけよ」
スマホを叩くだけの物語なんて、そのリアルは作りものでしょ?
わたし達は世界と、アナタと、誰かと響き合ってこそ物語を綴れるんだから。
「とりあえずこっち向け。そのちっぽけな機械ばっかり眺めていてもこの世界じゃ何も解決しないぞ」
わたしの歌声なんかでひねくれ者な彼の心を震わすことができるだろうか。いや、そんなこと考える必要はない。わたしはありのままただ心のままに歌うだけ。
わたしの歌声は、この世界の振動だ。
緊張してたら声も出せない。わたしは大きく深呼吸。……よし。
「わたしの歌を聴け、共鳴絶奏、ラ・ヴィクトリア・リア」
ーーIt's long long good-bye……
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