この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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世界観、導入

――  むかしむかしあるところに   ーー⑦

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「……ここが図書館……!」「ちょ、キティちゃん!」「図書館ではお静かに!」

 びっくりしすぎて思わず叫んでしまいそうになるのをふたりに全力で止められた。ふう、助かりました。危うく他の利用者の鋭すぎる視線に耐えかねて何もできないまま退散するところでした。

 見上げても天井が見えない、その前にわたしの頭が背中に付いちゃいそう。

 外から見たときだって、そのあたりの大きさにお城かと思ったけど、中に入ると余計にその壮大さに圧倒される。

 そして、そんなあまりにも広大な図書館が誇る壁一面を覆い尽くす本棚! まるで大量の本で壁が出来ているみたい!

 でも膨大な蔵書を格納する容量は全然足りていないらしく、なんと! 増設されたのだろうか新しめの本棚がふわふわ浮かんでさえいる! その中も隙間なく本でびっしりだったけど。

 調べるべき資料が多すぎて、わたしが処理できる情報が少なすぎて。

 わたしはただあんぐりと口を開けて茫然とその場に立ち尽くすことしかできなかった。何から手を出せば、どこに向かえばいいのか、というか、この図書館のマナーすらよくわからなかった。

「とりあえず、神話とか歴史とかのコーナーに行ってみよっか、……ねえ、キティちゃん?」

「オレが読んでいた本はこっちにあるぞ」

「……はっ!」

 リイサにぽんっと肩を叩かれてようやく我に返る。きっと、魂が抜けてちょっと意識を失っていたに違いない。意識不明の重体から奇跡の復活を遂げたわたしはケヴィンとリイサに連れられて図書館を奥へと進む。

 気難しそうに俯いて本の世界に没頭するひと達を脇目に眺めながら、足早に連行されるわたしは、この無類の本好きでこだわり派のひと達が納得して楽しめるような物語を、世界観を創ることができたのだろうか、などと思ってみる。

いや、きっとできていないんだろうな。ゼロから世界を構築するには、わたしはまだまだ勉強不足だ。いつかきっと、世界中のみんなが楽しんでくれるような物語を創って見せるんだから!

「それじゃあ、オレ達もキティが何か思い出せるようなヒントがないか探してみるよ」

「何か困ったことがあったら近くにいる司書さんに訊いてみてね」

「うん、わかった! ありがとう!」

「しーッ!」「図書館ではお静かに!」「あ、ごめん」

 そして、ふたりと解散して、雪崩が置きそうな途方もない蔵書たちの中で呆然と立ち尽くし、ちょっとだけうろうろしてみて、いやいや、これは一体何をしたらいいのかさっぱりわからなくて、早速、

「ねえ、お姉さん、“始源拾弐機関”のことを知りたいの」

「あ、あえ?」

 わたしは、危なっかしい足取りで大量の本を目一杯抱えながら、ついでに数冊の本を魔法で浮かせて棚にしまっている眼鏡のお姉さんに話しかけ……てしまった。あ、よりによってめっちゃ忙しそうな人に声かけちゃった。

「あ、ご、ごめんなさい、お仕事中に」

「いえいえ、気にしないで。それにしても、“始源拾弐機関”なんてよくそんなこと知っているわね、とっても物知りなお嬢さん。で、でも、ちょっと待っててね」

 お姉さんが大量の本を魔法も使って手際良く本棚に仕舞い終えると、ようやくお姉さんの全容が見えた。

 この図書館の司書さんの制服なのだろうか、ゆったりとしたその紺色の装いが良く似合う落ち着いた雰囲気の大人なお姉さん。

 リイサとは同じくらいの年齢だと思うけど、穏やかだけど活発なリイサとはまた違った理知的な印象だ。
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