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Dream of a clockwork girl in a toy garden

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 深夜2時、もうおとなは寝る時間。

 わたしはベッドからこっそり抜け出して、この暗い部屋から飛び立つの。

 この翼はもうずっと前からボロボロ。だって誰も修理してくれないんだもの。

 でも大丈夫、わたしは飛べる、どこにだって行ける。だって、壊れてしまったって構わないもの、そうでしょ?

 寝静まった機械仕掛けの街を見下ろした。つまんないね。

 見上げれば、お月さまとお星さまがわたしをそっと照らしてくれる。だから、怪物だらけの夜だって全然怖くなんてないもん。あら、エンゼルフィッシュさん、御機嫌いかが? そんな挨拶だってできちゃうんだから。

 魔法が使えなくたって何にでもなれる。背中から千切れたコードが飛び出しているのだけはどうしても気に入らないけど。発条が弾け飛んでいるのも可愛くない。

 あら、いけない、もうこんな時間。怒られないうちに戻らなきゃ、おとなはとっても心配性だから。

 ずいぶんと前から怒られなくなったような気がするけど、きっとわたしがいい子にしているからね。ふふふ、わたしがちょっと悪い子だって誰も気付きやしないのね。

 わたしは誰にも気付かれないようにまたベッドに潜り込む。

 おやすみなさい、明日はきっといい日になるね。
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