イマジンコード・オーバー・ザ・シンギュラリティ~少年は幻想魔剣の夢を見るか~

儀仗空論・紙一重

文字の大きさ
18 / 48
4.GAME 0.ver.

しばらくの平穏を楽しめるか

しおりを挟む
「やい、侵入者ども! 我はここの守護者だ! ここに入りたくば貢ぎ物を持ってこい!」

 オレの(そう、いつの間にかみんな集まりやがっているが、オレ“だけ”のだ)拠点である図書館の扉の前でずばーんッと仁王立つは。

「いつからスパイじゃなくて守護者になったんだ。早く入れろ、ほのか」

 ちっさいうさ耳少女なんかに一切の威圧感のへったくれもないけど、その自信ははたしてどこから来るのか。

「はい、これ、ワタシのお母さんの手作りクッキー」

「おぅふ、かたじけない。外殻の食べ物は我の口に合わなくてな」

「外殻じゃ食事なんてしてるやつの方が少数派だしな」

「あっさり入れてくれるんだな、ほのかちゃん」

「図書館で食事はやめて!」

 いつの間にか図書館に住み……潜伏し始めたほのかは、しれっとこの学校の生徒として何食わぬ顔で学園生活を謳歌している。カグラ先生が今にも死にそうな表情でこちらを見つめている。仲間になりたいのかな?

 メグリから命のクッキーを与えられ、一瞬にしてすっかり守護者としての威厳がなくなった従順なウサギはあっさりとオレ達を図書館へ招き入れる。

 というか、訪れる度どんどん生活感が増していくのはさすがにまずいような気がするんだが。今日なんていつの間にか本棚の一部がほのかのコスプレ用「潜入用衣装だ!」のクローゼットになってたし。……楽しんでるなあ。

 それにしても、あれだけの重傷を負ってなおほのかがこうして(ウザいくらい)平気でいられるのは。

「良かったな、ほのか。アハルギんちが高度再生医療事業も扱ってて」

 ほのかは内殻出身のスパイで、色んな動物の遺伝子が混じっていて、しかも魔法を使えるように身体改造済みで、こんなのまともな病院じゃ診察すらできない。

「うむ、本当に感謝しているぞ、アハルギ。おぬしは見た目と違っていいやつだな」

「よせやい。見た目のことをいうのは外殻じゃタブーなんだぜ」

 そう言いながらもまんざらでもなさそうなアハルギ。アハルギの義体はあまり表情が出ないようになってるみたいだが、なんとなくバレバレである。頬が赤らむのはその義体の仕様なのか?

「あ、そういえば、ほのかちゃんの活躍でウサギ耳とバニーガールが流行ってるみたいよ」

「何千年越しのバニーガールリバイバルだよ」

「いやー、参ったなー、我、超有名インフルエンサーになっちゃったかー」

「お前は隠れ潜まなくていいのか?」

「健気でかわいかったよな、あの時のほのかちゃん」

「完全にキャラバレしてたもんな。そりゃあ人気出るよ、オレよりも注目浴びてたもん」

「やめろ! 我は別にキャラ作ってたりしてないぞ!」

「ええー、ワタシも見てみたかったなー」

 結局、この魔剣の正体はいつまでもわからないままだった。

 だけど、魔剣を心臓から引き抜く度、オレ自身が人間の定義から外れていくようなそんな不気味さを感じている。

これが、魔法使いが魔力を扱えるということなのか、それとも、魔剣による副作用なのか。

全て不明。

 驚異的な身体能力。

 防御不可の斬撃。

 異常なまでの回復能力。

 そのどれもが既知のどの伝説にも由来しない。

 そもそも、心臓に突き刺さった魔剣、ってなんやねん。

「それっておかしくねえか? 誰にも想像できない魔剣を創造するなんてどう考えてもあり得ねえだろ」

「……まあ、そうだよなぁ」

 そう考えるとあのジャンク屋が怪しいことは間違いない。

 この謎の欠片がただ単に莫大な魔力を貯蔵していただけ、なんて、今この状況からすると考えにくい。

 この魔剣の欠片だけを何故か大事そうに陳列していた。そして、あの異常なまでの警備体制。あのオヤジは正体を知っているんじゃないだろうか。

 この欠片自体に何か秘密がある。

 今度もう一度行ってみるか。

「アウラはなんか知ってるだろうがよ、さっさと教えろよ」

(えへへ、知らぬなあ、おほほ)……怪しいのはいつものことか。

 べらべら良く喋るくせに肝心なことは決して教えてくれない。

 思わせぶりな態度を取ったと思ったら意味なんてまるでない。

 欲しいのは結論じゃなくて同意だなんて訳がわからない。

 いや、待てよ、これって。

 こいつ、ただのめんどくせえ女だわ。

(主はわらわのことが嫌いか? なあ、どうなのじゃ? なあなあ)

「あ、また対戦の申請か、めんどくせえな」

 心臓から脳内に響き渡る戯言を華麗にスルーする。

 こいつの言葉に耳を貸すことは甘ったるい破滅と時間の無駄でしかない。

 だから今はこの時を。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...