君と巡る星の力と世界の物語(仮題)

ルアル

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第二章

第5話◆星の力と世界ダリスについて◇

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「異世界だぁ~?!」
「異世界にゃ~?!」

 ザイガとシュナリが同時に叫ぶ。

「いやいや嘘だろ。ありえねぇ」
「本当だ」
「記憶喪失とたいして変わらねーじゃねえか」
「本当のことにゃら仕方ないにゃ」
「記憶喪失よりまだましか…?」
「…すまない」

 ザイガがボヤくのを見て謝罪する。

「そのあれだ拾っちまったモンは仕様がねぇ。最後まで面倒を見るのが責任ってもんだ。お前が悪いじゃあねえから謝るな」
「ありがとう。面倒をかける」
「良いってことよ。それから報酬云々は気にするな。そんなもん払って貰う気はねえ。…まぁなんだ。俺達が困った時に助けてくれりゃあいい。シュナリもそれでいいか?」
「構わないにゃ」
「恩に着る」

 2人のありがたい申し出に感謝を込めて頭を下げる。

「じゃあ早速星の力について話するにゃ?」
「あぁ」
「任せるにゃ」

 ザイガは俺とシュナリのやり取りを聞くと、部屋の隅に行き腕を組んで立ったまま目を瞑る。シュナリが教えてくれるようだ。

 シュナリが口許に握った手をもっていき、わざとらしく咳をして話し出す。

「ゴホン。じゃあ先ずは星の力の歴史について話すにゃ。この世界がつくられた話、まぁ伝承みたいなものにゃ」
「伝承?」
「古~い時代の話なゃから確かなモノじゃないにゃ。もしかしたらお城とかに行けば、詳しい資料があるかもしれにゃいけど、一般人にはみれにゃいと思うにゃ。古い資料は貴重にゃ」
「そうか…」
「だから庶民に知られている話をするにゃ。小さい頃に誰でも親から聞かされる昔話にゃ」
「よろしく頼む」
「にゃ」

 シュナリが頷き話し始める。

「―――むかしむかし、独りぼっちの神さまがいたにゃ。神さまは寂しさのあまり、世界をつくったにゃ。最初に大地を、次に川や海を草花や森をつくり、たくさんの動物や生き物をつくったにゃ。最後に神さまは、自分と姿を似せた色んな形をした人をつくったのにゃ。ワーフ、エルフ、獣人、人間にゃ。…そして、星の力を生きる手助けちからとして人と動物や生き物にあえてくれたのにゃ。星の力は火をおこし、水を出し、風をふかせ土を耕したにゃ。そうして神さまにつくってもにゃったこの世界を、神さまの名前をもらい《ダリス》そう呼ぶように、にゃたのにゃ。庶民の間ではここまでしか伝わってないにゃ」



 ―――――…さみしぃ…――…は…らい…―――――



 不意に胸が締め付けられる。一瞬過った誰かの感情。

「――っ」

 ポタ

 涙が次々と溢れては頬を濡らし床に落ちる。悲しい。寂しい。


「どうしたにゃ?!あっ、もしかして美声のあまり感激して涙がでたにゃ?流石わたしにゃ」
「いやどう見ても違うだろ」

 ぺしっ

 うんうん頷いていたシュナリの頭を、いつの間にか近くにきていたザイガが突っ込みつつ軽く叩く。

「痛いにゃ!か弱い乙女に何するにゃ!」
「何が、か弱い乙女だ。そこら辺の冒険者でも敵わね~よ」
「そんなことにゃいにゃ。失礼しちゃうにゃ」
「フフッ」

 そんな2人見て大切な友人2人のやり取りを思いだし、笑いがこぼれる。

「もう泣き止んだかにゃ?」
「話を中断してすまない。続けてくれ」

 ザイガは俺が泣き止んだのを見計らって、また部屋の隅に戻る。

「わかったにゃ。続けるにゃ。星の力の属性は、火、水、風、土、闇、光、聖、無、だったにゃ。因みに火、水、風、土に関しては上位の物があるにゃ。火は炎、水は氷、風は雷、土は地にゃ。ここまでで質問はあるかにゃ?」
「無ってのはどんな星の力なんだ?」
「んにゃ。無の星の力は、物理、空、後は錬金だったかにゃ。物理は早い話、身体能力の上昇のことにゃ。空は空間のことで、時を止めた空間に物を入れたり出来る星の力にゃ。錬金は薬草を使って薬を作ったり、鉱石を使って物を作ったりかにゃ。空間に関しては解ってない事が多いにゃ。ここまではいいかにゃ?」
「続けてくれ」
「星の力を使うには体の何処かに、星の欠片しるしが無いと使えないにゃ。人によってある数が違うにゃ。1コから最大6コまであるにゃ。数によって引き出せる力の強さが違うにゃ。数が多ければ多いほど引き出す力は強くなるにゃ。ちなみに6コある人は『ダリスの愛し子』って呼ばれてるにゃ。中々6コ持っている人はいないから、そう呼ばれる様になったにゃ。いても大抵は国か教会に囲われてるにゃ。」
「星の力の使い方は?」
「使い方は使いたい属性の星に願うにゃ。自分が使いたい力をイメージに近い言葉を選んで発動させるにゃ。星の力については以上にゃ」
「星の欠片しるしがある場所は決まってるのか?」
「決まってないにゃ。人によってはお尻にあったりするにゃ。乙女には見れにゃいから、後でガイザに見てもらうにゃ!」
「お尻…」
「次はこの世界ダリスについてにゃ。年号はカファリス暦1685年今日は風の星2の月17日にゃ。月は火の星、水の星、風の星、土の星の月があって、それぞれ1の月、2の月、3の月まであり全部で12カ月あるにゃ。1カ月、30日間にゃから1年間は360日あるってことにゃ。わかったかにゃ?」
「あぁ、解りやすい」
「次はお金レーンについてにゃ。胴で作られた物は銅貨、銀で作られた物は小銀貨、銀貨、大銀貨、あとは金で作られた小金貨、金貨、大金貨、白銀で作られた白銀貨、大白銀貨があるにゃ。銅貨10レーン、小銀貨100レーン、銀貨1000レーン、大銀貨10000レーン、小金貨100000レーン、金貨1000000レーン、大金貨10000000レーン、白銀貨100000000レーン、大白銀貨1000000000000レーンそれぞれの一枚の価値にゃ。白銀貨、大白銀貨は額が大き過ぎて一般には使われないにゃ。大体パン一つで30レーンかにゃ。安い宿だと一泊150レーンくらいにゃ」
「随分、安いんだな…」
「そうでもないにゃ。一般人の1カ月の稼ぎは3000~5000レーンくらいにゃ」
「3000レーンそう考えると、パン一つ30レーンは高いくらいだな」
「そうにゃ。だから中には養えなくて子供を捨てたり、奴隷商人に売る親もいるにゃ」
「奴隷商人?奴隷がいるのか?」
「ハクトの世界にはなかったにゃ?ダリスにはいるにゃ。モノとして扱われるにゃ。主従契約を交わしたら、主人には逆らえないにゃ。奴隷の首輪っていう物があって、主人に逆らうと雷が死にゃない程度に流れる仕組みになってて、自分では外せない様になってるにゃ」
「そうか…」

 嫌な制度に眉を顰める。少し頭を振り気持ちを切り替え、シュナリの話しに集中する。

「にゃ!次は国と大陸についてにゃけど、それは追々でいいんじゃないかにゃ。とりあえず大陸の名前だけ教えるにゃ。大陸は大きくわけて4つあるにゃ。1つ目はファー大陸にゃ。2つ目はラーク大陸で、3つ目はカカスカ大陸で、4つ目はツィータス大陸にゃ。此処マーデリス国はファー大陸にある国にゃ。以上でおわりにゃ」
「ありがとう。解りやすかった」
「さすがにずっと喋ってて疲れたにゃ。ザイガ、星の欠片しるし見てあげて欲しいにゃ。部屋の外にいるにゃ」
「おう。分かった」

 ザイガが答えて近づいて来る同時に、部屋からシュナリが出ていきドアを閉める。

 ぱたん

「じゃあ先ずは見えるところから。手はねぇな…袖捲ってくれ。腕もないな。首もねぇ。頭は、髪の毛少し掻き分けるぞ」
「あぁ。構わない」
「頭もねぇな。すまんが服脱いでくれるか」
「上下か?」
「そうだな、面倒くせ~から全部一気に見ちまうか。靴も脱いでくれ」
「分かった」

 履いていた長袖のTシャツとジーンズ靴下とブーツ脱いでいく。

「脱げたな、前はねぇな。後ろ向いてくれ…ねぇな。足の裏はねぇな。マジかよ。すまんが尻見るぞ。……ないな。股間はさすがに見たくねぇ。自分で見てくれ。パッと見花びらにも見えるヤツだ。別名、星の花とも呼ばれるからな。ほら俺のは腕にあるから見てみろ」

 言われてガイザの腕を見ると、確かに花びらに見えるモノが3枚ある。

「分かった。見てみる」

 ザイガに背を向け、見せてもらった欠片しるしの記憶を頼りに探すが何処にもない。

「…無いみたいだ」
「…まじ?」
「あぁ。ないな」

 どうやら俺には星の欠片しるし、力は無いようだ―――――









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