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天羽7
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※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
~前回の適当なあらすじ~
天羽は呼び出しを回避しようとして失敗した。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
成績上位者3名には寮の個室以外に、棟内最上階にあるプライベートルームが振り分けられている。
朔夜君のプライベートルームに連れて行かれた僕は、大きなソファにその姿を確認した瞬間、スライディング土下座をかました。
「モンブランはもうしばらくお待ちくださいぃ!」
最後の母音がプライベートルームにこだまする。
「顔上げて、ここに座って。数日振りだね」
僕は指示通り朔夜君の隣に座る。
「……はい、そうですね。あの、モンブランはあと1週間程お待ちいただきたいです!」
「ん、そんなに急がなくてもいいよ。あれは人気らしいし……」
「パティシエが系列店の者だったので、何とかお願いをして時間を割いてくれることになりました。ただ、一部の原料の入荷に1週間程かかるそうで……すみません……」
「天羽グループはケーキ屋さんも手がけてるんだね」
「はい、僕が甘いものが好きなので10歳の誕生日に祖父がつくってくれました」
「天羽君は……甘いものが好きなんだね」
「はい……」
そう、僕は甘いものが大好きだ。
毎日走ってもこの体型の理由、ほんとはわかってる…………ごめんなさい、毎食デザートまで食べてます。間食のスイーツもやめられない!
むしろパシラレてるからちょいぽちゃの子豚体形を維持できてるのかもな!
「陸とは正反対だな」
「え?」
「海、……煩い」
「ほんとのことじゃん。陸はね、塩っ辛いものが好きなんだよ」
「じゃあ、なんでモンブランなんか」
モンブランは結構甘々な部類なのではないのだろうか……
「たまに……、甘ったるいものが食べたくなる時がある……。おかしいか?」
僕が精一杯首を横に振ると朔夜君はほっとした吐息をもらして小さく笑った。
何それ、殺人級なんですけど! 今更だけどすごいイケメンだな! 今の微笑みだけでそこいらの乙女なら一発で恋に落ちちゃうよ!
その笑顔に見惚れる僕の頬に手を添えて、朔夜君は呟く。
「天羽君のほっぺたすげぇ柔らかいね」
「ふぇ?」
「甘いもんばっか食べてる天羽君のほっぺたは……やっぱり甘いのかな?」
そう言って僕のほっぺたを撫でる朔夜君を見ていると、朔夜君の顔が次第に僕の顔に近づき――――――
ほっぺたを食まれた。
はむはむと何回か甘噛みされ、そのままぎゅっと抱きしめられる。
「うん、甘い」
耳元で囁かれて全身に稲妻が走る。
ほっぺたが甘いわけ無いのに今起こったことが衝撃的すぎて反論の言葉も出ない。
か、顔が熱いっっっ!
僕は糸目の目を見開いて体を固まらせた。
「陸、マジか。マジなのか? ふざけてんのか?」
「俺はいたって真面目だよ」
「なお悪い……考え直せ。天羽じゃお前の相手なんかもたねぇよ」
「……なんで?」
「……………………………………………………はぁ、駄目だこりゃ。天羽、どっちみち逃げられねぇんだ。さっさと諦めて陸とつきあっ――……あぁ~駄目だ。顔真っ赤にして白目むいて固まっちゃってるわ、かわいそうに……」
「あっ、ほんとだ。真っ赤になって固まってる。………………かわいい……チュッ」
「おいっ、同意も無く既成事実作ろうとするな!」
「デコチューぐらいいいだろ」
すぐ側で交わされる2人の会話が耳に入らないほど、僕の頭の中は沸騰していて、思考回路をショートさせていた。
~前回の適当なあらすじ~
天羽は呼び出しを回避しようとして失敗した。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
成績上位者3名には寮の個室以外に、棟内最上階にあるプライベートルームが振り分けられている。
朔夜君のプライベートルームに連れて行かれた僕は、大きなソファにその姿を確認した瞬間、スライディング土下座をかました。
「モンブランはもうしばらくお待ちくださいぃ!」
最後の母音がプライベートルームにこだまする。
「顔上げて、ここに座って。数日振りだね」
僕は指示通り朔夜君の隣に座る。
「……はい、そうですね。あの、モンブランはあと1週間程お待ちいただきたいです!」
「ん、そんなに急がなくてもいいよ。あれは人気らしいし……」
「パティシエが系列店の者だったので、何とかお願いをして時間を割いてくれることになりました。ただ、一部の原料の入荷に1週間程かかるそうで……すみません……」
「天羽グループはケーキ屋さんも手がけてるんだね」
「はい、僕が甘いものが好きなので10歳の誕生日に祖父がつくってくれました」
「天羽君は……甘いものが好きなんだね」
「はい……」
そう、僕は甘いものが大好きだ。
毎日走ってもこの体型の理由、ほんとはわかってる…………ごめんなさい、毎食デザートまで食べてます。間食のスイーツもやめられない!
むしろパシラレてるからちょいぽちゃの子豚体形を維持できてるのかもな!
「陸とは正反対だな」
「え?」
「海、……煩い」
「ほんとのことじゃん。陸はね、塩っ辛いものが好きなんだよ」
「じゃあ、なんでモンブランなんか」
モンブランは結構甘々な部類なのではないのだろうか……
「たまに……、甘ったるいものが食べたくなる時がある……。おかしいか?」
僕が精一杯首を横に振ると朔夜君はほっとした吐息をもらして小さく笑った。
何それ、殺人級なんですけど! 今更だけどすごいイケメンだな! 今の微笑みだけでそこいらの乙女なら一発で恋に落ちちゃうよ!
その笑顔に見惚れる僕の頬に手を添えて、朔夜君は呟く。
「天羽君のほっぺたすげぇ柔らかいね」
「ふぇ?」
「甘いもんばっか食べてる天羽君のほっぺたは……やっぱり甘いのかな?」
そう言って僕のほっぺたを撫でる朔夜君を見ていると、朔夜君の顔が次第に僕の顔に近づき――――――
ほっぺたを食まれた。
はむはむと何回か甘噛みされ、そのままぎゅっと抱きしめられる。
「うん、甘い」
耳元で囁かれて全身に稲妻が走る。
ほっぺたが甘いわけ無いのに今起こったことが衝撃的すぎて反論の言葉も出ない。
か、顔が熱いっっっ!
僕は糸目の目を見開いて体を固まらせた。
「陸、マジか。マジなのか? ふざけてんのか?」
「俺はいたって真面目だよ」
「なお悪い……考え直せ。天羽じゃお前の相手なんかもたねぇよ」
「……なんで?」
「……………………………………………………はぁ、駄目だこりゃ。天羽、どっちみち逃げられねぇんだ。さっさと諦めて陸とつきあっ――……あぁ~駄目だ。顔真っ赤にして白目むいて固まっちゃってるわ、かわいそうに……」
「あっ、ほんとだ。真っ赤になって固まってる。………………かわいい……チュッ」
「おいっ、同意も無く既成事実作ろうとするな!」
「デコチューぐらいいいだろ」
すぐ側で交わされる2人の会話が耳に入らないほど、僕の頭の中は沸騰していて、思考回路をショートさせていた。
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