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天羽8
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※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
~前回の適当なあらすじ~
天羽、ほっぺたを食まれた後の記憶がない。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「お前いったい何したの!?」
翌日、やはりクラスに足を運んですぐに僕は高橋君に詰問されることになった。
ですよね~。気になるよね~。
学園のカースト上位者に連れてかれたからね~。
僕もびっくりです……
「何で御堂さんがお前を呼びにくんの? 御堂さんが言ってた名前の人って……いや、まさか――」
「……朔夜君の事です」
「――っほんとお前なにしたの!!?」
「……先日、先輩達にからまれてるところを朔夜君に助けてもらいました」
「ああ~……うぇ!? 助けてもらいましたって……――あの朔夜陸に!?」
「そうです」
「なんでお前が……朔夜さんが……そんな――」
高橋君はかなり動揺しているようだ。
「天羽、呼ばれてるぞ!」
クラスの誰かが僕を呼んだ。
ドキッとしながら恐る恐る教室の扉を見て……、僕は心底ほっとする。
僕を呼んだのは琴吹さんだった。
僕は高橋君に軽く頭を下げると、琴吹さんのところへと向かった。
「琴吹さん、先日はありがとうございました!」
「いいや、いいんだよ。そんなことより……あの後、大丈夫だった? 僕、転入してきたばかりで知らなかったんだけど、あの2人結構ヤバイって聞いて……」
「ああ~、そんなこと無いですよ。噂ほど悪い人達ではないです。ちょっと冗談がきついだけで……あの日も僕を寮まで運んでくれましたし……いい人達ですよ」
嘘ではない、昨日だって意識のない僕を寮まで運んでくれたし、基本いい人達だと思う。
それに、あんまり余計なことは言えない。
主人公の攻略対象に対する印象に関わる。
へたげなことを言って恋路を邪魔したら馬に蹴れるどころか2人に殺されかねない。
「……そう。まあ、何か困ったことがあったら何時でも相談してね」
「え? いいんですか?」
「いいよ! 僕達、友達になろうよ!」
「よ、よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしく! ……なんだか話し方がこの前より硬いね。もっと砕けていこ?」
「はいっ、あ……うん!」
いや~、うれしい!!
この男子棟で、唯一の女の子である主人公と友達になれるなんて夢のよう!!
「あ、あの琴吹さん、連絡先交換しよう?」
「うん、いいよ」
「俺も交換する」
「じゃあ、俺も」
それは一瞬のことだった。
ピロンッ……
QRコードを出した瞬間に横から腕が伸びてきて友達登録されてしまう。
「さささ朔夜君とみみみ御堂君っ……どどうして普通クラスに? ふふふ2人も、僕と友達になりたいの?」
青ざめた僕がそう聞くと、御堂君は片眉を器用に上げて言った。
「ああ?……お前ビビり過ぎだろ。 俺のはおまけだよ、お・ま・け。……これから長い付き合いになりそうだからな。お前も早く登録しろ」
できればケーキの件が片付いたらもう会いたくない。僕はそう思いながら苦笑いしてスマホを操作する。
一方、朔夜君は……早速何か打ち込んでいる――――
「俺は違う。天羽君と友達になりたいわけじゃない」
はっきりそう言われて少し胸が痛くなった。
昨日のことを思い出して、腹が立ってくる。
イケメンの距離感はおかしいのだろうか?
今すぐ、ブロックしてやろうか…………ばれたら怖いからしないけど……
「俺は天羽君の彼氏狙い」
恥ずかしげも無くそう言い放つ朔夜君に僕は顔を赤らめた。
ちょっとぉぉぉ! それダメでしょ! その発言アウトでしょ! 琴吹さん石みたいに固まってるよ!!
苛立ちはなくなったが別の意味で胸の痛みが増してしまった。
「さ、朔夜君ってば冗談――」
ピロンッ
朔夜君が僕のスマホを鳴らす。
【お昼、2人で一緒に食べよう?】
2人でって……僕は御堂君の方を見た。
御堂君は僕の視線に気がつくと煩わしそうに軽く手を振って答えた。
ピロンッ
【デザートは北海道の某スイーツメーカーのチーズケーキだよ!】
チーズケーキ!! 某スイーツメーカーってまさかあの――!
ピロンッ
【プライベートルームで待ってる。来てくれる……よね?】
朔夜君のコメントの中で、白いうさぎがかわいく頭を傾げている。
僕は頭を悩ませた。
考えて考えて考えて――――訳がわからなくなった僕は、結局考えるのを放棄し、朔夜君のスマホのバイブを鳴らす。
【行きます】
気づいたらそう打っていた。
結局僕はスイーツには抗えなかった。
それを機に、朔夜君は味を占めたかのように毎日スイーツをえさに僕をお昼に誘うようになった。
そして、恐れていたことが現実となる。
~前回の適当なあらすじ~
天羽、ほっぺたを食まれた後の記憶がない。
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「お前いったい何したの!?」
翌日、やはりクラスに足を運んですぐに僕は高橋君に詰問されることになった。
ですよね~。気になるよね~。
学園のカースト上位者に連れてかれたからね~。
僕もびっくりです……
「何で御堂さんがお前を呼びにくんの? 御堂さんが言ってた名前の人って……いや、まさか――」
「……朔夜君の事です」
「――っほんとお前なにしたの!!?」
「……先日、先輩達にからまれてるところを朔夜君に助けてもらいました」
「ああ~……うぇ!? 助けてもらいましたって……――あの朔夜陸に!?」
「そうです」
「なんでお前が……朔夜さんが……そんな――」
高橋君はかなり動揺しているようだ。
「天羽、呼ばれてるぞ!」
クラスの誰かが僕を呼んだ。
ドキッとしながら恐る恐る教室の扉を見て……、僕は心底ほっとする。
僕を呼んだのは琴吹さんだった。
僕は高橋君に軽く頭を下げると、琴吹さんのところへと向かった。
「琴吹さん、先日はありがとうございました!」
「いいや、いいんだよ。そんなことより……あの後、大丈夫だった? 僕、転入してきたばかりで知らなかったんだけど、あの2人結構ヤバイって聞いて……」
「ああ~、そんなこと無いですよ。噂ほど悪い人達ではないです。ちょっと冗談がきついだけで……あの日も僕を寮まで運んでくれましたし……いい人達ですよ」
嘘ではない、昨日だって意識のない僕を寮まで運んでくれたし、基本いい人達だと思う。
それに、あんまり余計なことは言えない。
主人公の攻略対象に対する印象に関わる。
へたげなことを言って恋路を邪魔したら馬に蹴れるどころか2人に殺されかねない。
「……そう。まあ、何か困ったことがあったら何時でも相談してね」
「え? いいんですか?」
「いいよ! 僕達、友達になろうよ!」
「よ、よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしく! ……なんだか話し方がこの前より硬いね。もっと砕けていこ?」
「はいっ、あ……うん!」
いや~、うれしい!!
この男子棟で、唯一の女の子である主人公と友達になれるなんて夢のよう!!
「あ、あの琴吹さん、連絡先交換しよう?」
「うん、いいよ」
「俺も交換する」
「じゃあ、俺も」
それは一瞬のことだった。
ピロンッ……
QRコードを出した瞬間に横から腕が伸びてきて友達登録されてしまう。
「さささ朔夜君とみみみ御堂君っ……どどうして普通クラスに? ふふふ2人も、僕と友達になりたいの?」
青ざめた僕がそう聞くと、御堂君は片眉を器用に上げて言った。
「ああ?……お前ビビり過ぎだろ。 俺のはおまけだよ、お・ま・け。……これから長い付き合いになりそうだからな。お前も早く登録しろ」
できればケーキの件が片付いたらもう会いたくない。僕はそう思いながら苦笑いしてスマホを操作する。
一方、朔夜君は……早速何か打ち込んでいる――――
「俺は違う。天羽君と友達になりたいわけじゃない」
はっきりそう言われて少し胸が痛くなった。
昨日のことを思い出して、腹が立ってくる。
イケメンの距離感はおかしいのだろうか?
今すぐ、ブロックしてやろうか…………ばれたら怖いからしないけど……
「俺は天羽君の彼氏狙い」
恥ずかしげも無くそう言い放つ朔夜君に僕は顔を赤らめた。
ちょっとぉぉぉ! それダメでしょ! その発言アウトでしょ! 琴吹さん石みたいに固まってるよ!!
苛立ちはなくなったが別の意味で胸の痛みが増してしまった。
「さ、朔夜君ってば冗談――」
ピロンッ
朔夜君が僕のスマホを鳴らす。
【お昼、2人で一緒に食べよう?】
2人でって……僕は御堂君の方を見た。
御堂君は僕の視線に気がつくと煩わしそうに軽く手を振って答えた。
ピロンッ
【デザートは北海道の某スイーツメーカーのチーズケーキだよ!】
チーズケーキ!! 某スイーツメーカーってまさかあの――!
ピロンッ
【プライベートルームで待ってる。来てくれる……よね?】
朔夜君のコメントの中で、白いうさぎがかわいく頭を傾げている。
僕は頭を悩ませた。
考えて考えて考えて――――訳がわからなくなった僕は、結局考えるのを放棄し、朔夜君のスマホのバイブを鳴らす。
【行きます】
気づいたらそう打っていた。
結局僕はスイーツには抗えなかった。
それを機に、朔夜君は味を占めたかのように毎日スイーツをえさに僕をお昼に誘うようになった。
そして、恐れていたことが現実となる。
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