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第2話
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チュン……チュン……
鳥の鳴き声が聞こえる。カーテンの隙間からは朝日が入り込んでいた。隣を見ると、そこには裸のミーシャがいた。お互い生まれたままの姿だ。昨日のことを思い出すだけで顔が赤くなりそうだ。いつの間にか寝てしまったようだ。
(まさかあんなことになるなんて……)
「んっ……セリス様?」
「ミーシャ、おはようございます……」
「おはようございます……」
彼女は微笑むと私を抱きしめてきた。その温もりに安心感を覚える。
「セリス様、愛しています……」
「私もです……」
そう答えると、私たちは唇を重ねた。この幸せが続くように祈りを込めて……。
***
宿で朝食を食べてからチェックアウトし、王都へと向かう。今日も馬車に乗っての移動だ。
「セリス様、到着するまで少し時間があるので仮眠されてはいかがでしょうか?」
「そうですね。それじゃあ、お言葉に甘えて……」
目を閉じて意識が落ちそうになったその時、急に馬車が止まった。何事だと思い外を見てみると、目の前には十人前後の傭兵たちが立ち塞がっていた。
「おい貴様ら!そこの馬車を止めろ!」
傭兵の一人が叫ぶと、他の人たちも武器を構えた。
「どういうつもりですか!?」
私は慌てて外に出ると、馬車の前にいる傭兵たちに問いかけた。すると、隊長らしき人物が前に出てくる。
「お前たちは、セリスティア・ラルグリスとメイドのミーシャ・フローレスだな?」
「そうですが……、それで、あなた方はいったいどちら様でしょうか?こんなことをしてタダでは済みませんよ?」
「我々の目的は二人の身柄拘束だ」
「なんですって?それは一体なぜ……」
「悪いが理由は言えない。だが大人しく従えば危害を加えるようなことはしない。だから言う通りにしてくれ」
どうしようか迷っていると、後ろからミーシャの声が聞こえてきた。
「セリス様、ここは素直に従うしかありません」
「しかし……!」
「今は彼らに従いましょう」
「……わかりました」
私は渋々了承すると、馬車から降りた。すると、彼らは私たちの両腕に手錠のようなものをかけた。そして目隠しをされる。
「くっ……」
「セリス様……」
「大丈夫です……」
「よし、それじゃあ乗れ」
私たちは馬車に乗せられた。そのままどこかへと運ばれていく。その間、誰も一言も喋らなかった。
(どうしてこうなったんだろう?)
不安に思いながら馬車に揺られていると、やがて目的地に着いたのか馬車は停車し、目隠しと手錠が取られた。
「さぁ、降りてもらおうか」
「はい……」
馬車を降りると、そこは見覚えのある場所だった。
「ここって……」
「……」
目の前にあるのは、巨大な城だった。私はミーシャと共に、傭兵たちに連れられて城の中を歩く。しばらく進むと、一つの部屋の前で止まった。
「この部屋で待っていてくれ」
部屋の中には大きなテーブルと椅子がある。私はそこに座った。ミーシャも隣に座って待っている。
それから数分後、部屋の扉が開いた。中から現れたのは、一人の男性だった。二十代後半くらいの金髪碧眼の男性だ。男性はこちらに向かって歩いてくると、私の前に立った。
「久しぶりだね、セリスティア」
「ええ、お久しぶりです」
彼こそが私の政略結婚の相手である、隣国の第一王子、エルク・ラインハルト殿下である。
鳥の鳴き声が聞こえる。カーテンの隙間からは朝日が入り込んでいた。隣を見ると、そこには裸のミーシャがいた。お互い生まれたままの姿だ。昨日のことを思い出すだけで顔が赤くなりそうだ。いつの間にか寝てしまったようだ。
(まさかあんなことになるなんて……)
「んっ……セリス様?」
「ミーシャ、おはようございます……」
「おはようございます……」
彼女は微笑むと私を抱きしめてきた。その温もりに安心感を覚える。
「セリス様、愛しています……」
「私もです……」
そう答えると、私たちは唇を重ねた。この幸せが続くように祈りを込めて……。
***
宿で朝食を食べてからチェックアウトし、王都へと向かう。今日も馬車に乗っての移動だ。
「セリス様、到着するまで少し時間があるので仮眠されてはいかがでしょうか?」
「そうですね。それじゃあ、お言葉に甘えて……」
目を閉じて意識が落ちそうになったその時、急に馬車が止まった。何事だと思い外を見てみると、目の前には十人前後の傭兵たちが立ち塞がっていた。
「おい貴様ら!そこの馬車を止めろ!」
傭兵の一人が叫ぶと、他の人たちも武器を構えた。
「どういうつもりですか!?」
私は慌てて外に出ると、馬車の前にいる傭兵たちに問いかけた。すると、隊長らしき人物が前に出てくる。
「お前たちは、セリスティア・ラルグリスとメイドのミーシャ・フローレスだな?」
「そうですが……、それで、あなた方はいったいどちら様でしょうか?こんなことをしてタダでは済みませんよ?」
「我々の目的は二人の身柄拘束だ」
「なんですって?それは一体なぜ……」
「悪いが理由は言えない。だが大人しく従えば危害を加えるようなことはしない。だから言う通りにしてくれ」
どうしようか迷っていると、後ろからミーシャの声が聞こえてきた。
「セリス様、ここは素直に従うしかありません」
「しかし……!」
「今は彼らに従いましょう」
「……わかりました」
私は渋々了承すると、馬車から降りた。すると、彼らは私たちの両腕に手錠のようなものをかけた。そして目隠しをされる。
「くっ……」
「セリス様……」
「大丈夫です……」
「よし、それじゃあ乗れ」
私たちは馬車に乗せられた。そのままどこかへと運ばれていく。その間、誰も一言も喋らなかった。
(どうしてこうなったんだろう?)
不安に思いながら馬車に揺られていると、やがて目的地に着いたのか馬車は停車し、目隠しと手錠が取られた。
「さぁ、降りてもらおうか」
「はい……」
馬車を降りると、そこは見覚えのある場所だった。
「ここって……」
「……」
目の前にあるのは、巨大な城だった。私はミーシャと共に、傭兵たちに連れられて城の中を歩く。しばらく進むと、一つの部屋の前で止まった。
「この部屋で待っていてくれ」
部屋の中には大きなテーブルと椅子がある。私はそこに座った。ミーシャも隣に座って待っている。
それから数分後、部屋の扉が開いた。中から現れたのは、一人の男性だった。二十代後半くらいの金髪碧眼の男性だ。男性はこちらに向かって歩いてくると、私の前に立った。
「久しぶりだね、セリスティア」
「ええ、お久しぶりです」
彼こそが私の政略結婚の相手である、隣国の第一王子、エルク・ラインハルト殿下である。
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