転生転移を司る女神は転生する

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一年黒組

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実施調査と言われる物が100年単位に一回行われる。
女神が実際に転移して、その世界に送った勇者が死なない為には何が必要かを探るのだ。

この世界こと、D-201は大規模転移の下調べで200年ほど前に訪れた。

その為、転生した人間はかなり上位の身体強化や魔力適性を得る。

「さらに昔に、二千年以上前にもこの世界への転生者記録があったはずです。調べて集めなければ」

12歳にしては聡明である。
その一方で12歳にしては足らな過ぎるほど、人間味を欠いている。

「しかし、おわりが見えませんね」

この世界は100年以上前に、大規模転移により来た勇者が世界を救った後である。

「せきむから逃れた私ですが、なすことがあるならばこなさねば」

やることと言えば勇者の残した記録から微かに記憶に残る正負の因果を探し当てること。

「なーに独り言いってるの!小説のくだり?」

同室のアーフェリアが声をかけてきた。

アーフェリア・ミネーリ(12)
金色髪、碧色の瞳
D系統に良く見られるお嬢様と言われるタイプ

「しょうせつ、あ…ほんかえしわすれてた」

思考が現実に戻されるとともに薄れていく女神としての記憶。

「まったくしっかりしてよね。ミネーリ公爵の娘と同じ寮の子がぼけっとしてるなんて知られたら大変よ」

「たいへん?」

「そうよ。民の蛮行は貴族の非行に程出るというものです」

「つまり私がぼーっとしてるとアーフェの家が悪くなると」

「わかっているならよろしいわ」

「ところでこれどう着るっけ」

「やっていけるかしら、」

2人で支度をして寮を出た。

上級生は食事前にやってきて衣装の点検やらマナーやらを見るとのこと。

「メェルアーの担当はどなたでしたの?」

アーフェリアは室内と外で大きく喋り方を変えている。
理由は分からない。

「わたしは、主席先輩」

「シュセキ?聞いたことのない家名ね」

「アーフェは?」

「私はアイアンベリー先輩よ」

「ふむアイアンベリー、名前聞いた事がある」

「商家ですわよ。とても大きい所の」

「そっか、私とは無縁の世界だ」

食堂に着くと早速先輩達が現れた。

「メェルアーちゃんおはよう。しっかりと着こなせているようだね」

「リーナ先輩おはようございます」

「え、シュウセキ先輩じゃなくて主席の先輩ってことでしたの?!」

隣にいたアーフェリアが驚きの声を上げる。

「はっはは、そんな教え方されてたの僕。初めましてリーナ・ワードルズです」

笑顔で一礼をする先輩を前にアーフェリアも頭を下げる。

「アーフェリア・ミネーリよ、以後お見知り置きを」

「ミネーリ…って公爵家じゃないかこれはとんだ無礼を」

「あーいたいた、アーフェリア嬢探しましたよ」

「アイアンベリー先輩、それからワードルズ先輩。この場では普通にアーフェリアかアーフェの名称でお呼びください、学校では年齢が序列ですのよ」

「失礼アーフェ。ところでリーナ、隣の子は?」

「わたしはメェルアー・オレンズです」

「よろしくメェルアーちゃん」

食事中はとても騒がしかった。
主に上級生の指導の声が響き渡ること。

「こーらメェルアーちゃん、フォークを突き立てたらダメだよ」

「うう、フォーク苦手」

女神の時は食事をとる時に道具はいらなかった。
礼拝堂で過ごした日々も、素手でどうにかなった。

「アーフェリア流石です」

「当然ですわ、私が民の象徴でなければいけないですもの」

「アーフェはえらいだったね」

「そうですわ、陛下の異母兄弟であるミネーリ公爵が娘、アーフェリアなのですから」

「ということは、私だけばちがい?」

「メェルアーちゃんは確かマナリス婦人が経営する孤児院出身だったよね」

「マナリス婦人か、商会のお得意様だ」

「感謝することですわ、能力さえあれば誰でも受け入れる学校体制を」

「うん感謝している。わたしはずっとこんな生活をゆめみていたのかもしれない」

食事後は初の授業。
同室ということは勿論アーフェリアと同クラスである。

「それじゃ、学園生活を楽しんでね!私たちは昼休みにまた来るから」

二人の先輩に別れを告げて教室に入った。

「黒組はここですわね、席は自由にとの事ですが」

「わたしはアーフェと隣ならどこでもいいよ」

二人で手前の席へ腰を下ろした。
ちょうど教室の真ん中の席に。
窓に近い通路側がアーフェリアで、真ん中がメェルアーとなっている。

教室は教壇から見やすいように段々と上に上がるように作られている。

「黒組は有名な方ばかりですわね」

入る生徒はこちらへ向き、主にアーフェリアへ会釈をして席について行く。

「君、隣いいかな?」

三人掛けの席だ、当然隣は空いている。

「どうぞ」

入り口に近い側の通路に面した席に黒髪の少年が腰をかけた。

「ちょっとメェルアー、男性を近くに座らせていいのですか?」

「え、なにがです?」

何も理解していないメェルアーに教えても無駄と思い頬杖をつくアーフェリア

「初めまして僕はエンリアル・オロー。オロー王国の第三王子なんだよろしくね」

エンリアル・オロー(12)
黒色の髪、ブラウンの瞳。
チャラそうなはずなのにどこか品が感じられる存在。

「わたしはメェルアー・オレンズ、えっと礼拝堂の頼れるリーダー」

相手の素性を知りアーフェリアは立ち上がり見るからにばつの悪そうな顔をし出した。

「おひさアーフェ」

「なんで同じ学校に居るのですか、エンリアル」

「なんでって、婚約者と同じ学校に居ることが悪い?」

「わ、悪くはありませんが」

「君が最後の懇親会で悲惨な思いをしたのは分かる。僕だって同じなんだ割り切っていかないと」

「よくわかりませんが二人はしりあいだったんですね」

国の中を取り持つ為に行われる政略的縁談。

アーフェリアは元々、カー帝国のアルバード第二王子との縁談があった。
しかしオロー大国とカー帝国の中が悪くなり、こちらの国としてもオロー大国側であると示す為のもの。

「まぁ良いわ学校では他人よ、話しかけてこないで」

「えぇー…あ、メェルアーちゃんは僕と友達になってくれるよね?」

「もちろん、礼拝堂のみんなに自慢したい」

「メェルアー!ダメよこんなやつと仲良くしたら」

「じゃぁ僕の隣に座る?」

「あなたが席を代わりなさいよ」

そうこうしている合間に始業のチャイムが鳴った。

「ここは頼れるリーダーに任せて。こっこうもんだいさえ解決するかけはしになる」

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