転生転移を司る女神は転生する

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交友

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「えーでは、出席は終わったので軽く先生の自己紹介をさせてもらいます」

魔導具を器用に扱い、手を使わずに文字を書いていく。

モロン・ディラー(?)
白髪、メガネ
年寄りと言えば年寄りだが、若いと思えば普通に若く見える。
魔導研究家の権威である。

「まぁこれくらいか。次は君たちの自己紹介をしてもらおうか。黒組ともなれば名の知れた者ばかりだがね」

席順に自己紹介が始まった。

「アーフェリア・ミネーリですわ、みなさまとは学友です。気軽にアーフェとお呼びください」

「メェルアー・オレンズ。わたしがすきなものはシスター・マナリスのパンです」

「エンリアル・オローだ。オロー大国?王国どっちだった?あ、王国の第三王子です。さっきのアーフェと同じで気軽にエンリアルで」

着々と自己紹介が進んでいった。

「皆さんありがとうございました。それでは、これから6年間に渡り何を学ぶか教えていきます」

一年-実演・筆記
二年-実演・筆記・研究
三年-実演・筆記・探索
四年-実演・筆記・探索
五年-実演・筆記・就活
六年-論文

「大雑把に書きますと、こんな流れです。皆さんに必要な一年時の内容を重点的に話していきます」

実演を交えた基礎学習から。
まずは前期休校週間前に行われるクラス対抗戦に向けた訓練。

前期休校週間が終わった後からは後期休校週間に向けた、基礎能力向上訓練。

後期休校週間が終わった後からは昇級試験への対策訓練。

「と言った具合です。まぁ進み具合やその年の気候などに応じて変わるからその辺は留意しておくこと」

「メェルアーはちゃんとメモを取りまして?」

「うん、げいじゅつてき」

メェルアーの手帳には変な生き物が描かれていた。

「おぉ可愛いな、トカゲか?」

「ちがう、ドラゴリューデラ」

「今日はこの後クラスごとに学校探検なんて楽しい事をするので、順番が来るまで交流を深めてください」

先生が教室を出るといろんな席に人が固まり始めた。
ここも例外ではない。

「エンリアル様はどこの寮ですか!」

「同じ寮だろが」

「オロー式の剣術教えてください」

「良いけどまず名乗れよなー」

「アーフェリア様の好きな食べ物は!」

「好き嫌いはしませんのよ」

「アーフェリア様の同室はどなたですの?もし過ごしにくかったら」

「過去1番過ごしやすいですわ」

ざわざわと人が集まる。
公爵令嬢と第三王子がいれば当然のことだろう。

ちらほらとメェルアーに刺さる言葉も飛んでくるが、特に気に留める様子もない。

「なんか浮いてるきがする」

人混みをすり抜けて上の方へ登って行く。

「ふぅ、くうきが悪い」

「お前も孤児院上がりだろ?あんな奴らと組まずにこっちこいよ」

後ろにも人が集まっていた。
ガラの悪い四人組。

「たしかマーリス君とミューちゃんとリリアナちゃんとヒュース君だったね」

「よく覚えてラァ」

このクラスにいるということはこの不良も適正やらが全体的に高い傾向である。

「わたしはいい、それにあんな奴らじゃない。ともだち」

「そうかよ」

窓を開けて空気を浴びる。

「(あれから"10"年、わたしのいない天界は大丈夫かな)」

俗にいう女神の声というものは転移者に対して特別処置で行われる物。
一から始めれる転生者は、天界からもこちらからも接触する手立てはない。

「(電子遊戯式に確立したG-46あたりの世界でしたら電子郵便でやり取りできたのですが)」

記憶が蘇り始めた頃から定期的に女神像へ礼拝を行ってみたが不可能だった。

「(転移者の特権というものも今の所わかりません、女神権限が失われた今、確認する方法はないですね)」

思考を段々とこちらに戻して行く。

「よっと」

窓を閉めて教室の隅、1番上の1番角側に一人で座る少女の元へ向かった。

「それ"勇者冒険譚"だよね?わたしもすきだよ」

シスター・マナリスに無理言って用意させた勇者の実録本。
そのシリーズの中でも割と最近になって翻訳されたものである。

「そ、そうです?!」

「わたしもよんかんまでよんだ」

「ちょうど盛り上がるところだね。あ、ごめんなさいその…」

アラミシア・カナール(13)
桃色髪、琥珀色の瞳。
スタイルよく、メガネを外せば容姿もかなり良いだろう(メェルアーの勝手な予想)

「アラミシアちゃんと仲良くしたいなって」

「え、あっこんなわたしでよければ」

内気なのか、突然すぎて理解が追いつかないのかあたふたとしている。

「わたしはきがるにメェルアーと呼んで」

「わ、私もアラミシアで大丈夫です」

「おもしろい本がみつかったらまた話にくる。アラミシアも見つかったらおしえて」

質問者だらけだった前の席もだいぶ減ったようで、メェルアーは落ち着いて席に着いた。

「メェルアーどこいってたのよ」

「ともだちつくり、わたしはひとりつくった」

「やったじゃないか。俺とアーフェリアは質問攻めに媚び諂いで、まともな交友は難しそうだな」

「そればかりは同意見ですわね」

「しっかしなぁ、第三王子と公爵だぜ?絡んだところでなんの益もないぞ」

「子供なんてみんなおやをみてそだつ」

「そうですわね。親が親なら子も子ですわ、寄ってきたのはパーティーなどで毎度擦り寄ってくる者ばかり」

「なら私がともだちをつくって紹介しよう」

「メェルアーと先に仲良くなった子であれば確かに、ですがもう私たちが同じ席に居るということは周知の事実」

「まー大丈夫でしょ。俺ら目当てでメェルアーちゃんに近付いても、この能天気さについて行こうとはならない」

「確かにそうですわね」

「わたしわるくいわれている?」

ポカンと首を傾げるメェルアー。
二人はおかしそうにその様子を笑った。
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