転生転移を司る女神は転生する

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波乱

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二日めの朝がやってきた。
昨日で学校案内が終わったため、今の食事も終われば初授業。

「メェルアー、起きないから叱れるのよ」

「しすたーはやさしかった、うう」

半泣きになりながら朝ご飯を食べるメェルアー。

「私の時も似た感じだったし気にすることはない、私ら怒られっけど!」

高笑いをする先輩。
先程まで、教育不足と叱られていたばかりだ。

教室に入ると席配は大きく変わっていた。

主に質問攻めしていた生徒達は前の方に集まっていた。

「うーん、やりにくい場所だな」

「そうですわね、好奇の目に晒される機会は多かったですがこれは流石に」

先生が教壇に立ち魔術の説明を始めた。

「魔術は大きく分けて二属性、全属性と副属性です。オレンズ君は副属性の内訳を応えれますか?」

「ふくぞくせいはあんこくとたくさんのひかり」

「はい正解です。副属性は主に闇属性と光属性の適性を纏めて書いた項目になります」

「では隣のオロー君。魔王を撃ち倒したとされる勇者の最大適性は?」

「そりゃもう簡単でしょ、火属性!火炎よってね」

手の平に火の玉を作り消すエンリアル。

「流石です。たまに光属性と書かれる論文もありますが、これは強すぎる火属性魔術の輝きが綺麗過ぎてのことです」

先生が喋る内容をメモして行く。
多くは兵団や家職を継ぐため、文字が綺麗に書けなければいけない。

「うーん、よめない」

「はっは男の俺より雑じゃんか」

オローとメェルアーは昨日より距離が縮まったのか、書いたメモを見せ合っている。

「では逆に魔王が得意とした魔術適性は?モーヤン君、わからなければ教科書を"開いて"も構いませんよ」

「はい、魔王は闇属性が得意とあります」

「正解です、先生も産まれていない頃なので本当かはわかりませんが、この王都を丸ごと飲み込むほどの暗闇を作ったとも言われています」

「基礎魔術史なんて貴族では通説です」

「だよなー」

モーヤン家の長男の愚痴に取り巻きたちがガヤガヤと騒ぐ。

「静かに。貴方たちは学ぶためにここに居るのです、嫌なのであれば外へ出て遊んでいても構いませんが」

「相変わらずだな、モーヤン家の坊ちゃんは」

「そうですわね」

モーヤン家
魔術史を語るなら外せない名家。
古くから多くの魔術開発に携わり、王家に支えてきたと言われている。

「おい、そこの二人聞こえてるぞ。権力があるとかないとかは学校内で関係ないんだろ?」

「えぇ、ですから貴族で通説であろうとも関係なく聞いてくださらない?」

「っ、なんだと」

モーヤンが立ち上がり喧嘩ムードになり始める。

「け、喧嘩はダメだよモーヤン君」

隣の席に座るアラミシアが止めに入ろうとするが軽く飛ばされて壁にぶつかった。

「平民の分際で触れたなぁ?!」

原則剣は持ち歩く。騎士になる者も多いので慣れるために。
だが、危険なため抜刀は出来ないように魔術回路で固定されているはず。

「剣出したぞ!誰か止めろよ」

「お前いけよ」

モーヤンはその剣を抜いてアラミシアに斬りかかろうとしていたのだ。

「ゆうじんに手をださないで」

いつの間にか席を立ち、モーヤンの振り翳した剣を止めていたメェルアー。

「な、お、お前は孤児院の。ふざけるな、ふざけるなよオレンズ!!」

「校則を違反するなら許せません。モーヤン君、"痺れてください"」

先生が杖を向け魔術を放った。だが、位置的にメェルアーが近い位置に居たためモーヤンには当たらない。

「あぶなっい!」

飛んできた魔術は鞘で弾かれ明後日の方向へと弾いた。

「剣を抜くってことは、いはんこういだよ」

「う、うるさい!!」

再度振り下ろされた剣を握りしめ、ぐにゃっと曲げてしまう。

「どうするの、けんはつかえないよ」

突然手の平を見せられたメェルアーはキョトンと固まる。

「メェルアー!避けなさい!」

「先生!はやく解除術式の展開を!」

「そうはさせるか!!"燃えろ"」

至近距離で放たれた魔術が禍々しい色を持ってメェルアーにあたった。

先生はさっきの魔術でやらかした事に気付いたのか下手に手を出せずオロオロとしている。

周りの生徒も角に追いやられた二人が居る以上、下手に動けない様子。

「いったい」

ぽけーとした顔から真顔に変わるメェルアー。

鼻頭や、頬、額と突起とした部分が擦りむけた様に赤くなり、髪の毛が一部焼けたようにチリチリとなった。

「すぅ、はぁぁ!!」

鞘に入ったままの剣を思いっきり叩き落とすメェルアー。
鞘が割れて中の剣先が、モーヤンの顔に一線を入れた。

「あぁ!俺の顔が!」

このタイミングとほぼ同じだろう、制服とは違った格好の人間が複数人教室に流れ込んできた。

「生徒会だ!不正な剣使用を感知してきた!」

血を流し転がるモーヤンの上に立ち、剣を喉元に当てる。

「お、おい!あの子か?」

生徒会の人間が二人ほど止めに入るが、高威力で振るわれた半壊の鞘に飛ばされる。

その勢いで剣が吹き飛び両手が空いたメェルアーは拳を握り締める。

「おいやばくねぇーか?メェルアーが疑われているぞ」

「でも下手に出ましては」

二人は上の段まで来ていたが動けない。

正確にはメェルアーが明後日の方向に飛ばした魔術から生徒を守るためにだが。

「お前たち怯むな。相手は黒組といえど下級生だ」

一人だけ格好がまた違う男が教室に入ってきた。

「七クラスもあってどうしてどのクラスもこう暴れるかね。全く説明してくれるかな?エンリアル」

「げぇ、兄貴」

「オロー大国第二王子、ムリアス・オロー様…私が代わりに説明を」

「僕は今生徒会の身だ、会長か先輩でいい。それより説明を」

「はい、ではムリアス会長で。本事件はモーヤン君による授業の不振行為を示唆したところ、逆上した上に剣を抜きカナールさんに手を上げた事で発生しました」

「なるほど、それであの子はなんだ?」

刺し殺す様な目で暴れるメェルアーを見るムリアス。

「兄貴、メェルアーはカナールさんを助けに入ったのに先生に魔術撃たれて、モーヤンの野郎に焼かれたんだ。気が動転してるだけだ」

慌ててエンリアルが止めに入った。

「事実とは一部から聞いただけで整理しても意味はない。とりあえず取り押さえさせてもらうぞ」

ばっと飛び跳ね、馬乗りになりながらモーヤンを殴るメェルアーの意識を落とした。

「あんまり手荒な真似は嫌いだがね。医務室へ、女生徒2名が優先だ。モーヤン家か、お前の兄貴も似た様な事件を過去に起こしたな」

怪我人が運ばれていき、騒然とする教室に生徒会が指揮をとった。

「事件当時の話を個別に聞く。それから先生、生徒に向けて魔術を放ったと報告があるので校長の元まで連行願いますよ」

「は、はい…」




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